FC2ブログ
03≪ 2021/04 ≫05
123456789101112131415161718192021222324252627282930
2021-04-09 (Fri)
先日(4月6日)、さいたま市南西部にある田島ケ原(サクラソウ生息地;写真2)を(マスク着用で)訪れたところ、同地で大切に管理されているサクラソウ Primula sieboldii E.Morren, 1873 (写真1、3~5)が一杯に花をほころばせていました。

田島ケ原のサクラソウ
写真1 田島ケ原のサクラソウ Primula sieboldii (写真はクリックで拡大します)

写真2田島ケ原ですが、サクラソウが一面に咲いているというのではなく、ところどころに咲いているといったほうが近いです。

サクラソウ咲く田島が原
写真2 サクラソウ咲く田島ケ原

写真3は、園路に近いところで比較的まとまってサクラソウが咲いていたのを撮ったものです。

田島ケ原のサクラソウ
写真3 サクラソウ Primula sieboldii 

咲いているサクラソウの花弁の色は、白味のある薄いピンク色のもの(例、写真4の中央上)から、紫色がかった濃いピンク色のもの(例、写真5)まで変異があり、なかなかバラエティーに富んでいます。

田島ケ原のサクラソウ
写真4 サクラソウ Primula sieboldii 

田島ケ原のサクラソウ
写真5 サクラソウ Primula sieboldii 


田島ケ原におけるサクラソウ保全活動

このように、ふんだんにサクラソウを観察できるのは、この田島ケ原がサクラソウ自生地として特別天然記念物に指定され、その維持・管理に大きな労力と知恵が注がれてきたからです。

その維持・管理の内容は以下の通りです「さくらそう通信 31  号」、2021)。

(1) サクラソウ生育状況調査
(2) 植生調査
(3) 外来植物等の除去、抑制
(4) 樹木剪定
(5) 草焼き
(6) 潅水実験
(7) 自然科学分析調査

このうち、草焼きは、「枯草を焼却し、地表に陽光が当たるようにしてサクラソウの芽吹きを促す」(「さくらそう通信 31 号」、2021)もので、2021年の場合は 1 月 13 日に実施されました(さいたま市、2021)。 


なぜ草焼きをするのでしょう?

サクラソウ保全のために、なぜ草焼きをするのでしょうか? 

焼かれる対象のオギやススキはどちらも密生して高く伸び、そのまま放置していては、日陰を作ってしまい、春先のサクラソウの生長や開花を妨げるだろうことは素人にもわかります。

でしたら、焼かなくとも刈り取って田島ケ原の外に運び出せばよさそうなものです。

実際に江戸時代には茅葺屋根や葦簀(よしず)の材料とするために、田島ケ原で毎年大規模な刈り取り、運び出しが行われていたそうで(礒田、2010)、これがサクラソウの一大生息地が長期にわたって維持されてきた大きな要因であったことは明白です。

明治以降、茅葺屋根や葦簀のためのオギ・ススキの需要が急激に減少していき、刈り取り・搬出の量が先細りになっていったことも容易に想像できます。

そんな中、全国的にサクラソウの生息地が減少していき、保全の必要性が叫ばれるようになるのも必然です。

その保全のために、なぜ刈り取り・搬出でなく草焼きが選ばれたのでしょうか?

それは荒川の河川管理が行き届くようになって、田島ケ原を上流からの栄養を運ぶ荒川の氾濫水が覆う機会が激減したために、田島ケ原から刈り取り・搬出を続けると土壌中の養分が貧弱化していくことが予測され、それを避けるために草焼きをしてその灰を現地に残す道を選択したのだそうです(礒田、2010)。

礒田(2010)により、この指定地(約41000平方メートル)のオギ・ヨシ群落とつる植物群落を草焼きすることで10㎏入り園芸用化学肥料6650袋分あまりに相当する窒素・リン酸・カリウムをその場に残すことができることが明らかにされています。

このように、自然愛好者がサクラソウや数々の野生植物を愛でることができるのも、関係者による地道な努力が続けられているお蔭であり、私も一人の愛好者として感謝の気持ちを忘れないようにしたいと思います。


ノウルシ

今年の3月12日にここを訪れたときにはサクラソウは咲いていませんでしたが、ノウルシ Euphorbia adenochlora C.Morren et Decne.の黄色い花はすでにほころんでいました(こちらの過去記事参照)。

今回(4月6日)もノウルシの開花が見られました(写真6)。

ノウルシ
写真6 ノウルシ Euphorbia adenochlora 

花の雰囲気が3月12日のそれ(こちら)と少し違っていますが、どちらもノウルシに違いありません。

ノウルシの場合、季節が進むと、先に成熟していた雌花の子房が大きく膨らみ、その下部の雄花が遅れて成熟するのだそうです(HiroKen, 2014)。

4月6日の場合は、この季節が進んだ後のステージということになります。


ヒキノカサ

ヒキノカサ Ranunculus ternatus Thunb.も黄色の花を咲かせていました(写真7)。

ヒキノカサ
写真7 ヒキノカサ Ranunculus ternatus Thunb.

ヒキノカサは、キンポウゲ科キンポウゲ属の多年草です(Wikipedia)。

写真7の一番左の花には小さなハナアブ?がとまっています。

写真8はその6秒後に撮影した同一個体です。

ヒキノカサ
写真8 ヒキノカサ Ranunculus ternatus の花にとまるヒメヒラタアブ属の1種 Sphaerophoria sp.

ネット検索で、Ichige(2021閲覧)ほかがヒットし、ハナアブ科 Syrphidaeのヒメヒラタアブ属の1種 Sphaerophoria sp. というところまでは見当がつきましたが、種名は保留としておきます。


引用文献

HiroKen(2014)花さんぽ:ノウルシ。
https://www.hanasanpo.org/野山の花アルバム/トウダイグサ科/ノウルシ/

Ichige, Katsuyoshi (2021閲覧)ハナアブの世界:Syrphini(ヒラタアブ族)(Page 3)
http://syrphidae.a.la9.jp/tribe/syrphin3.htm

礒田洋二(2010)田島ケ原の「草焼き」と「刈り取り」。
さくらそう通信 25号
https://www.city.saitama.jp/004/005/006/002/003/p078962_d/fil/sakurasou25-34.pdf

さいたま市(2021)国指定特別天然記念物「田島ケ原サクラソウ自生地」での草焼きは終了しました(2021年)。
https://www.city.saitama.jp/004/005/006/007/004/kusayakisyuuryou2021.html

Wikipedia(2021閲覧)ヒキノカサ
https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒキノカサ



ブログランキング:よろしければ、それぞれをクリックして応援してください。

★(↓)FC2ブログランキング(お陰様で、当ブログが2020年の年間首位(独自集計)を達成!



★(↓)その他のブログランキング

 にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ 



ハッシュタグ:
#春の風景 #日本の春 #関東の春 #田島ケ原 #サクラソウ生息地 #サクラソウの保護活動 #サクラソウの保全活動 #桜草公園 #さくら草公園 #サクラソウ #ヒラタアブ #ノウルシ #ヒキノカサ #ヒメヒラタアブ属 #さいたま市の自然 #さいたま市の植物 #さいたま市の花 #野草 #特別天然記念物

| 植物一般 | COM(0) | | TB(-) |
2021-04-03 (Sat)
昨日(4月2日)、さいたま市西区にある花の丘農林公苑に(マスク着用で)立ち寄ったところ、チューリップ Tulipa gesneriana L.桜 Prunus subg.  Cerasus spp. のどちらも満開で、春爛漫の雰囲気を醸し出していました(写真1~2、4)。

大宮花の丘農林公苑
写真1 大宮花の丘農林公苑のチューリップ Tulipa gesneriana と桜 Prunus subg.  Cerasus sp.  (写真はクリックで拡大します)

大宮花の丘農林公苑
写真2 大宮花の丘農林公苑のチューリップ Tulipa gesneriana と桜 Prunus subg.  Cerasus spp.  

チューリップの株間には黄色い花のビオラ(スミレ属 Violaも咲いていて、正確には桜、チューリップにビオラを加えたトリオによるコラボということになります。

それでも、スーッと背伸びして鮮やかな紅色の大きな花をつけたチューリップが主役になってしまうのは、いたしかたないところです。

どこか人間社会にもありそうなシチュエーションです。


チューリップの花のつくり

そのチューリップの花の中を久しぶりに覗いてみました(写真3)。

チューリップ
写真3 チューリップ Tulipa gesneriana

チューリップの花の中の中央に3叉した雌しべが、その周りに葯の部分がこげ茶色の6本の雌しべがあることは、植物の素人でもすぐにわかります。

そして花びらが6枚と言いたいところでしたが、調べたところ、そのうち3枚が花びら、で残りの3枚は萼(がく)なのだそうです(Wikipedia,英語版)。

この6枚は形や色がほぼ同一であるため、花被片と呼ばれ、通常花弁状(花びらのような)で、鮮やかな色になります(Wikipedia,英語版)。

チューリップは、ユリ目 Liliales、ユリ科 Liliaceae、チューリップ属 Tulipaに分類されています(Wikipedia)。


この1枚では桜が主役

同じ花壇を反対側から、低いところまで枝を伸ばした桜の花越しに撮ったものが写真4です。

大宮花の丘農林公苑
写真4 大宮花の丘農林公苑のチューリップ Tulipa gesneriana と桜 Prunus subg.  Cerasus sp. 

鮮やかな色彩を放ちながら、整然と配列されて植えられているヨーロッパ方面原産のチューリップとビオラを背後に、淡いピンクで控えめに化粧した桜の花はいかにも日本的な風情を漂わせています。


なんと、紅葉と桜と若葉のコラボ

この公園の樹々や草花を見て歩く中で違和感を感じたのは、春なのに真っ赤に紅葉したモミジの存在でした(写真5)。

大宮花の丘農林公苑
写真5 イロハモミジ Acer palmatum Thunberg

ネット検索したところ、イロハモミジ Acer palmatum Thunberg の品種のうち、静崖や出猩々は春に赤色の若葉を拡げるとのことです(福岡市植物園、2020)。

写真5のモミジがこの品種かどうか今のところ確認できませんが、桜と黄緑色の若葉をつけた樹枝とのコラボはなかなか得難い風景ではないかと思います。


引用文献

福岡市植物園(2020)秋でもないのに・・春の紅葉(2020.4.4)
http://botanical-garden-city-fukuoka.blogspot.com/2020/04/202044.html

Wikipedia(2021.4.2.閲覧)チューリップ
https://ja.wikipedia.org/wiki/チューリップ

Wikipedia(英語版)(2021.4.2.閲覧)Tulip
https://en.wikipedia.org/wiki/Tulip



ブログランキング:よろしければ、それぞれをクリックして応援してください。

★(↓)FC2ブログランキング(お陰様で、当ブログが2020年の年間首位(独自集計)を達成!



★(↓)その他のブログランキング

 にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ 



ハッシュタグ:
#春の風景 #日本の春 #関東の春 #桜 #サクラ #ソメイヨシノ #チューリップ #ビオラ #紅葉 #イロハモミジ #春の紅葉 #花の丘公園 #花の丘農林公苑 #さいたま市の自然 #さいたま市の植物 #さいたま市の花

| 植物一般 | COM(0) | | TB(-) |
2021-03-20 (Sat)
先日(3月17日)、さいたま市の河川堤防(写真2)上で停止飛翔から急降下して叢にしばし居座り、また舞い上がって停止飛翔をつづけたチョウゲンボウ Falco tinnunculus Linnaeus, 1758 (写真1)を観察・撮影することができました。

チョウゲンボウ
写真1  チョウゲンボウ Falco tinnunculus(写真はクリックで拡大します)


写真2の中央上方に写っている黒っぽい鳥が今回モデルとなったチョウゲンボウです。

チョウゲンボウ
写真2 堤防の上空で停止飛翔中のチョウゲンボウ Falco tinnunculus

堤防の斜面には菜の花が満開の状態になっていて、その堤頂のほぼ真上がチョウゲンボウの停止飛翔の恰好の場所になっていたようです。

写真3は、この日、小さ目の猛禽類が同じ場所、それも比較的低空で停止飛翔しているのをグッドチャンスと考え、250mmの望遠端で撮った最初のカット(画像未調整)です。

チョウゲンボウ
写真3 チョウゲンボウ Falco tinnunculus。 これのみ画像未調整 (時刻;‏‎13:45:18

写真4は、同じ個体の4秒後のカットをPhotoScapeを用いてトリミングし、明るさとクラリティーを大幅にアップしたものです。

チョウゲンボウ
写真4 チョウゲンボウ Falco tinnunculus。 上空から急降下する直前の様子 (13:45:22)

私は鳥には素人ですので写真3の状態では種の同定はできませんが、画像調整後の写真4になってようやく羽の色彩パターンは判別可能となり、とりわけ尾羽のストライプ模様の特徴からチョウゲンボウであると確信することができました(ズカンドットコム, 2021 を参考)。

この個体は写真3の1~2秒後に土手の堤頂部に向かって急降下し、写真5のように叢に突入しました。

チョウゲンボウ
写真5 チョウゲンボウ Falco tinnunculus。 堤防の草むらに向かって急降下したところ (13:45:24)

チョウゲンボウがこのような停止飛翔から急降下して餌動物をとらえる習性があることはよくしられており(Wikipedia 2021a)、今回も餌動物を発見しての急襲だったに違いありません。

この個体は、その8秒後までには叢から舞い上がってほぼもとの高さで停止飛翔を再開しました(写真6)。

チョウゲンボウ
写真6 チョウゲンボウ Falco tinnunculus。 叢から上空に舞い戻ったところ‏‎13:45:32

写真1(再掲)は、写真6の34秒後に撮影したもので、撮影者から見て右側に停止飛翔位置を変えています

チョウゲンボウ
写真1(再掲) チョウゲンボウ Falco tinnunculus13:46:06

そのため、逆光の度合いが緩和されて頭部の斑紋がいくらか識別できます。

写真7はその6秒後のカットで、この間羽ばたいてはいますが、写真1とほぼ同じ体勢で写っています。

チョウゲンボウ
写真7 チョウゲンボウ Falco tinnunculus ‏‎13:46:12

ただし、首は写真1より強く下側に曲げていて、地表に餌動物はいないかジッと凝視している様子が伝わってきます。

 写真2(再掲)写真7の22秒後のもので、この時点までに堤頂伝いに撮影者から見て右奥方向へ停止飛翔位置をずらしています。

チョウゲンボウ
写真2(再掲) チョウゲンボウ Falco tinnunculus 13:46 :34)


チョウゲンボウ、ハヤブサ科の分類学的位置

チョウゲンボウは、ハヤブサ目 Falconiformesハヤブサ科 Falconidaeに属する鳥の一種です(Wikipedia 2021a)。

このハヤブサ科は伝統的に、昼行性猛禽類であるタカ類(タカ科など)・コンドル科と同じタカ目 Accipitriformes に分類されてきました(Wikipedia 2021b)。

私も、今回調べるまで、ハヤブサ類はワシ・タカ類と同じ猛禽類で同一の分類群を構成しているとばかり思っていました。

しかし、近年の分子系統解析(核DNAの19遺伝子座を使用)により、ハヤブサ科 Falconidaeはスズメ目Passeriformesとオウム目Psittaciformesの姉妹群Aと姉妹群Bを形成し、この姉妹群Bを含む系統群は、タカ科 Accipitridaeとコンドル科 Cathartidaeからなる姉妹群E(タカ目に相当)を含む系統群と、より大きな姉妹群Fを形成していることが判明しました(Hackett et al., 2008)。

簡単に言えば、タカ目を含む系統と別れたあとで、スズメ目およびオウム目に向かう系統と別れたのがハヤブサ目であり、それだけ後者の系統との親戚関係が濃いことになります。

形態面でもハヤブサ目はタカ目と異なり、鉤爪が小さく比較的大きさがそろっており、この比率は生態が大きく異なるスズメ目とほぼ同じ(Fowler et al. 2009;Wikipedia 2021b)と指摘されています。


引用文献

Fowler, Denver W.; Freedman, Elizabeth A.; Scannella, John B. (2009), “Predatory Functional Morphology in Raptors: Interdigital Variation in Talon Size Is Related to Prey Restraint and Immobilisation Technique”, PLoS ONE 4 (11), doi:10.1371/journal.pone.0007999

Hackett, S. J.; Kimball, Rebecca T.; et al. (2008) A phylogenomic study of birds reveals their evolutionary history. Science, 320: 1763–1768. 

Wikipedia(2021.3.閲覧a)チョウゲンボウ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/チョウゲンボウ

Wikipedia(2021.3.閲覧b)ハヤブサ科。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ハヤブサ科
ズカンドットコム(2021.3.閲覧)日本の野鳥識別図鑑 陸鳥  空高く飛ぶ。
https://zukan.com/jbirds/internal15346



ブログランキング:よろしければ、それぞれをクリックして応援してください。

★(↓)FC2ブログランキング(お陰様で、当ブログが2020年の年間首位(独自集計)を達成!



★(↓)その他のブログランキング

 にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ 



ハッシュタグ:
#春の風景 #日本の春 #関東の春 #ハヤブサ #ハヤブサ科 #ハヤブサ目 #猛禽類 #鳥 #鳥の生態 #鳥の分類

| 生物一般 | COM(0) | | TB(-) |
2021-03-15 (Mon)
先日(3月12日)、自宅からそう遠くないところにある田島ケ原(サクラソウ生息地)を(マスク着用で)訪れたところ、主役のサクラソウの開花は見られませんでしたが、アマナノウルシが可憐な花を咲かせ、隣接地の土手の草むらにはシロバナタンポポホトケノザヤハズエンドウほかの春の花々が咲き競っていました。


アマナ

写真1は、田島ケ原で真っ先に目についた花、アマナ Amana edulis (Miq.) Hondaです。

アマナ
写真1 アマナ Amana edulis (写真はクリックで拡大します)

アマナの見た感じは、花茎が短いのに花弁は長く、二頭身くらいのバランスでなかなかの個性です。

赤紫の縦ストライプのはいった真っ白な花弁は、早春に活動する虫たちに向けてよいアピールになっていると思われ、確実に受粉そして子孫の維持を引き寄せる形質になっています。

アマナは、ユリ科アマナ属の在来種(本州の関東から近畿にかけてと四国に分布)で、早春に咲くスプリング・エフェメラルの一員です(Wikipedia)。

春先に草刈りや野焼きの行われるような、里山的環境に見られることが多いといわれています(絶滅危惧II類)(Wikipedia)。

田島が原では絶滅危惧植物種の保全のために毎年晩冬に野焼きが行われていますので、サクラソウ同様にアマナもその恩恵によくしているということになります。


ノウルシ

写真2の田島ケ原ではこの時期、黄色いノウルシ Euphorbia adenochlora C.Morren et Decne.が広い範囲で咲いています。

田島ケ原
写真2 3月中旬の田島ケ原

写真2の中央にはアマナがまとまって咲いているのが写っています

ノウルシ写真3)は、近寄りがたい名前を持ち、春先の草むらに群れて咲く黄色い花なので、一度で覚えてしまう植物です。

ノウルシ
写真3 ノウルシ Euphorbia adenochlora

ノウルシは、トウダイグサ科トウダイグサ属の北海道から九州に分布する多年草で、茎葉に傷をつけるとウルシ(漆)に似た白乳液が出るといいます(有毒植物の一つ)(Wikipedia)。

ノウルシの茎をちぎると出る乳液に触れるとかぶれることがあり、誤って食べると下痢、胃腸炎を起こすことがあるといいます(有毒成分はユーフォルビンなどテルペノイド)(東京都薬用植物園、2021閲覧)。


ユキヤナギ

じっくり時間をかけて探せばスミレの仲間などの花も見つかった可能性がありますが、田島ケ原での観察・撮影は早々に切り上げて、隣接の駐車場に目を向けると、ユキヤナギ Spiraea thunbergii写真4)が満開でした。

ユキヤナギ
写真4 ユキヤナギ Spiraea thunbergii

ユキヤナギの花の穂となった部分は先端に向かうにつれて猫の尻尾のように気ままに曲がりくねっていて、なかなかの楽しさを振りまいています。

ユキヤナギは、バラ科シモツケ属の落葉低木です(Wikipedia)。

写真4の背景左半分の建築物は鴨川と鴻沼川が合流したあと荒川へ向かう途中の水路にある昭和水門です(参考URLはこちら)。

以下は、田島が原そのものではなく、駐車場をはさんで隣接する土手の草むらで観察・撮影した花々です。


オオイヌノフグリ

写真5は、オオイヌノフグリ Veronica persica Poir, 1808 です。

オオイヌノフグリ
写真5 オオイヌノフグリ Veronica persica

属名のVeronicaはどこかで聞いたような響きがあるので、調べてみました。

Wikipediaの「クワガタソウ属」によれば、「Veronicaは聖女ヴェロニカ (聖人)と同じ綴りであるが、この属は元々Vetto-nica(ベットニカ)であったものが変じてVeronicaとなったとみなされており、直接的な関連性はない。」そうです。

それでも、「花言葉は聖女にちなんだものがつけられている。例としては「誠実な女性」(英)、「献身」「聖なるもの」(仏)など」だそうです。

オオイヌノフグリ (オオバコ科クワガタソウ属の越年草)は、この時期、道端の草むらでもよく目にする種で、当ブログにも数回登場しています(こちら)。


ホトケノザ

同じ草むらに、ホトケノザ Lamium amplexicaule L.写真6)も咲いていました。

ホトケノザ
写真6 ホトケノザ Lamium amplexicaule

ホトケノザは、シソ科オドリコソウ属の一年草あるいは越年草です(Wikipedia)。

ホトケノザも、この時期、道端の草むらでもよく目にする種で、過去記事にも1度登場しています(こちら)。

拙宅の庭にも知らぬ間に入り込んであちこちで愛嬌をふりまいています。


コハコベ

写真7コハコベ Stellaria media (L.) Villarsです。

ハコベ
写真7 コハコベ Stellaria media

コハコベは、一般にハコベと呼ばれてきて、家のまわりなど、どこにでも見られるお馴染みの種で、私も幼少時から親しんでいた植物です。

私の手持ちの古い図鑑でもハコベとなっていたので、コハコベという和名があったことは今回ブログ記事化のためのネット検索で初めて知った次第です。

コハコベは、「ナデシコ科ハコベ属(Stellaria)の植物。単にハコベとよばれている種。道端、空き地、畑などに生える。茎は暗紫色を帯び、片側に軟毛が生える。花柱は3個、雄しべは1 - 7個。旧大陸原産」(Wikipedia)です。

ハコベ属には、ミドリハコベをはじめ、近縁種も多いので同定の際は上述の特徴を確認する必要があります。


ハナニラ

写真8ハナニラ Ipheion uniflorum (Graham) Raf. です。

ハナニラ
写真8 ハナニラ Ipheion uniflorum 

ハナニラはヒガンバナ科ハナニラ属に属するアルゼンチン原産の多年草(有毒)で、明治時代に園芸植物(観賞用)として導入され、逸出し帰化植物です(Wikipedia)。 

ハナニラは拙宅の庭にも侵入していて、1株や2株なら可愛いのですが、放っておくと土中深く根を拡げて増え、手をやかせる存在になります。

庭のプランターに本物のニラ Allium tuberosum Rottler ex Spreng. (1825)を植えっぱなしにしていて、種子も散らばっているようなのですが、ハナニラに侵略されつつあるこの地面に生えたニラっぽい植物を、料理に使う気持ちにはなれません。


シロバナタンポポ

同じ草むらには、少数ですがシロバナタンポポ Taraxacum albidum Dahlst. も咲いていました。

シロバナタンポポ
写真9 シロバナタンポポ Taraxacum albidum 

シロバナタンポポはキク科タンポポ属の多年生植物です。

タンポポ属には、多くの種が含まれており、同定には慎重さが求められますが、花弁が白色の種は稀なのと、他のタンポポより舌状花が少ない(Wikipedia)点で、容易にシロバナタンポポにたどりつくことができました。

本種は田島ケ原で記録があり、他のブログ等でも散見されます。


ヤハズエンドウ

この草むらには、ヤハズエンドウ Vicia sativa L. subsp. nigra (L.) Ehrh. はが紫味のあるピンク色の花を咲かせていました(写真10)。

レンリソウ
写真10 ヤハズエンドウ Vicia sativa subsp. nigra

ヤハズエンドウは、マメ科ソラマメ属の越年草で、これが標準和名ですが、カラスノエンドウという名が一般には定着しています(Wikipedia)。

ヤハズエンドウの茎は全体に毛があり四角柱状で、巻きひげがあり、近くのものに絡みつくこともあるが大体は直立するそうです(Wikipedia)。

ヤハズエンドウの名は、小葉の先端が矢筈(やはず)(矢を弦にかける部分)形にへこんでいることから付けられたものです(関西グリーン研究所、2021閲覧)。


引用文献

関西グリーン研究所(2021閲覧)芝地の雑草の見分け方と防除 (16)-カラスノエンドウの仲間-。
http://www.kgu-greenken.or.jp/weeds/miwakekata/karasunoendo.html

東京都薬用植物園(2021閲覧)ノウルシ。
https://www.tokyo-shoyaku.com/wx/pm.php?xid=692

Wikipedia(2021閲覧)アマナ/ノウルシ/ユキヤナギ/クワガタソウ属/ホトケノザ/コハコベ/ハナニラ/シロバナタンポポ/タンポポ属/ヤハズエンドウ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/



ブログランキング:よろしければ、それぞれをクリックして応援してください。

★(↓)FC2ブログランキング(お陰様で、当ブログが2020年の年間首位(独自集計)を達成!



★(↓)その他のブログランキング

 にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ 



ハッシュタグ:
#春の風景 #日本の春 #関東の春 #アマナ #ノウルシ #ユキヤナギ #クワガタソウ属 #ホトケノザ #コハコベ #ハナニラ #シロバナタンポポ #タンポポ属 #ヤハズエンドウ #オオイヌノフグリ #田島ケ原 #サクラソウ生息地 #桜草公園 #さくら草公園 #サクラソウ #さいたま市の自然 #さいたま市の植物 #さいたま市の花 #野草 #特別天然記念物

| 植物一般 | COM(0) | | TB(-) |
2021-03-06 (Sat)
今日(3月6日)、穏やかな天候の中、近隣の田園地帯の土手沿いをゆっくり歩いてみると、一面に咲いた菜の花(セイヨウアブラナ Brassica napus Linnaeus, 1753 )に引き寄せられて、ちらほらと蝶やミツバチが飛び回ったり、とまって吸蜜や休憩をくりかえしていました(参考:昨日が啓蟄)。

それらの虫たちのうち、ベニシジミ  Lycaena phlaeas (Linnaeus, 1761) モンシロチョウ Pieris rapae (Linnaeus, 1758)キタテハ Polygonia c-aureum (Linnaeus, 1758) の写真を撮ることができましたので以下に掲載します。


ベニシジミ

最初にカメラに収まったのはベニシジミです  (写真1~3)。

ベニシジミ
写真1ベニシジミ  Lycaena phlaeas (写真はクリックで拡大します)

幼虫越冬して、春になってから蛹から羽化しただけあって、新調の着物のように艶やかです。

写真2は、同一個体が羽を閉じている瞬間です。

ベニシジミ
写真2 ベニシジミ  Lycaena phlaeas (同一個体)

前翅は閉じて裏面だけになっても、まだ艶やかさがほんのりと残っています。

写真3では、口吻を伸ばして菜の花の蜜を吸っている様子がうかがえます。

ベニシジミ
写真3 ベニシジミ  Lycaena phlaeas (同一個体)

ベニシジミの登場する過去記事はこちらです。


モンシロチョウ 

モンシロチョウ 写真4,5)は日本で一番よく知られている蝶の種の一つですが、色彩がシンプルなのでSNSなどではあまり人気がないかもしれません。

モンシロチョウ春型♂
写真4 モンシロチョウ Pieris rapae 春型♂

モンシロチョウ春型♂
写真5 モンシロチョウ Pieris rapae 春型♂(同一個体)

しかし、「ちょうちょう、ちょうちょう、菜の葉にとまれ、菜の葉に飽いたら、桜にとまれ・・・
」と歌われるほど、その行動は人を惹きつけるものがあるようです。

実際、私の大学院(北海道大学理学研究科、坂上昭一研究室)での同輩だった山本道也(現、流通経済大学名誉教授)、大谷剛(兵庫県立大学名誉教授、故人)の両氏は院生時代にモンシロチョウ成虫の1個体の行動の連続観察に挑戦し、広い北大構内を駆け回っていました。

モンシロチョウは蛹で越冬しますので、ベニシジミ同様、翅は比較的新鮮です。

ただし、写真4,5の個体は翅端にやや欠損があり、自然界での生活の厳しさを感じさせます。

なお、写真4では花の蜜を吸っている様子ですが、写真5では葉にとまっています。

♂ですので葉に卵を産むということはなく、休息がてら♀の到来を待ち受けているのでしょう。

モンシロチョウの登場する過去記事はこちらです。


キタテハ

最後はキタテハです(写真6,7)。

キタテハ
写真6 キタテハ Polygonia c-aureum 

キタテハ
写真7 キタテハ Polygonia c-aureum (同一個体)

キタテハは成虫越冬ということで、前年の秋に羽化してから数カ月経過していることになり、ベニシジミやモンシロチョウに比べれば、より多く世間の荒波を乗り越えて(より正確にいえば生態系の中でのプレッシャーを受け続けて)きたわけで、その分、翅の傷みも多めになると予想されます。

ところが写真6,7の個体は前翅の前側端に小さ目の欠損がある程度で、意外に少ないです。

もちろん、アクシデントによるものなので、個体による差は大きくでるはずですが。

そこで湧いたアイデアは、成虫越冬する蝶では特に越冬型の翅が丈夫にできているのではないか、ということです。

蝶を研究している方(プロ、アマチュアを問わず)、この仮説をテストする価値はありそうですか?

もしテストされる方はその結果を論文にするだけでなく、私にもお知らせいただければありがたいです。

キタテハの関連過去記事はこちらです。



ブログランキング:よろしければ、それぞれをクリックして応援してください。

★(↓)FC2ブログランキング(お陰様で、当ブログが2020年の年間首位(独自集計)を達成!



★(↓)その他のブログランキング

 にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ 



ハッシュタグ:
#春の風景 #日本の春 #関東の春 #キタテハ #モンシロチョウ #ベニシジミ #ちょうちょうの歌 #蝶の越冬 #チョウの越冬 #蝶の翅 #翅の傷み #昆虫のブログ #蝶のブログ #生物のブログ #動物のブログ #科学のブログ #自然科学のブログ #菜の花 #アブラナ #Polygonia c-aureum #セイヨウアブラナ #Brassica_napus  #ミツバチ  #Lycaena_phlaeas #Pieris_rapae #Polygonia_c-aureum

| 蝶一般 | COM(0) | | TB(-) |