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2017-08-15 (Tue)
虫友の夏目英隆さんに案内されての、昨年7月上旬の他県へのトンボ・トリップの成果報告、3回目の今回は、最初の立ち寄り地、農地に囲まれた溜め池群およびその周辺の湿生草原で撮影したトンボの第3報として、トンボ科3種を取り上げます。 

第1第2報にアップしたコバネアオイトトンボやアジアイトトンボを撮影した湿生草原とは小径で隔てられた小さな水田の畔近くの稲の葉に、1頭のアキアカネSympetrum frequens (Selys, 1883)♂がとまっていました(写真1)。

アキアカネ♂羽化直後
写真1 アキアカネSympetrum frequens ♂ (写真はクリックで拡大します)。

写真を撮ろうと近寄ると、同じ株の根元近くにトンボの羽化殻が残っていました(写真2,3)。

アキアカネ♂と多分その羽化殻 
写真2 写真1のアキアカネSympetrum frequens とその直下の羽化殻

アキアカネと思われる羽化殻
写真3 写真2の羽化殻に接近して撮影したもの

この羽化殻を幼虫図鑑と見比べて同定を試みましたが、イナバウアーのようなこの姿勢をこの角度から写したものだけでの種までの判定は至難の業で、アキアカネと断定するに至りませんでした。

ただし、アキアカネではないという証拠も得られず、アキアカネの可能性は残されました。

シチュエーションから見て、写真1のアキアカネが脱ぎ捨てたものである可能性が高いですが、100%の確信があるわけではありません。

このような、奥歯に物のはさまった言い方をしないで済むようにするには、羽化殻を採取してラベルをつけて持ち帰るべきでした。

いずれにせよ、この溜め池の周りの水田で、アキアカネまたは同属の種の幼虫が生育を完了できる環境条件が揃っていることが想像できます。

これは、殺虫性あるいは昆虫の生育阻害性の高い農薬が多量に使われていないことをも意味しています。

トンボがスクスクと育つ水田で収穫された米に対して、政府等が環境保全助成金を出すなどして自然農法を奨励することも一方法なのではないでしょうか。

話題は変わりますが、当ブログでは、アキアカネは主役として出演する機会が思いの他、多かったようです(文末リスト参照)。

さて、話を本題に戻します。

溜め池の周りの、低木も生えている草原沿いの小径を歩いていると、コシアキトンボPseudothemis zonata (Burmeister, 1839)の♀が小さな枯れ枝の先に、ぶら下がるようにとまっていました(写真4)。

コシアキトンボ♀
写真4 コシアキトンボPseudothemis zonata

瑞々しいほどに新鮮な皮膚に、不透明感の残る複眼から、羽化当日の個体であることが伺えます。

コシアキトンボは北海道には分布していないトンボですので、北海道から関東に移住した私にとっては鮮烈な印象を与えた存在です。
そのためか、本種が主役となった過去記事は4件となっています(文末リスト参照)。

今回の溜め池群のトンボ類、しんがりに控えしは、ウスバキトンボPantala flavescens (Fabricius, 1798)♀です(写真5)。

ウスバキトンボ♀
写真5 ウスバキトンボPantala flavescens 

ヨシ類の枯れた茎にぶらさがるようにとまっています。

この個体も拡大して見ると、新鮮で汚れがありません。

このことから、太平洋を越えて渡ってきたというよりも、それらがこの溜め池群で交尾し、産み付けた卵から孵化した幼虫が育ち、羽化したものである可能性が指摘できます。

このほか、コフキトンボDeielia phaon (Selys, 1883)のオビトンボ型♀を夏目さんがネットインした写真などを撮ったところで、今回のトンボ・トリップの次の目的地に向いました。





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| 昆虫:多様性・保全 | COM(0) | | TB(-) |
2014-11-21 (Fri)
2014年度日本トンボ学会大会に参加したついでに、会場の兵庫県立人と自然の博物館の展示物も見学させていただきました。

テーマをはっきりさせ、興味深い展示物を効果的に配列していて、社会教育施設として完成度が高いという感想を持ちました。

特別展示の「江田 茂氏コレクション-世界からやってきた美麗な昆虫たち」では、世界の美麗な蝶類、巨大なヘラクレスオオカブト、奇妙な形のナナフシ類など、図鑑や写真集でしかなかなか見る機会のない昆虫の標本に対面することができました。

スタッフから写真撮影およびブログへのアップをご快諾いただいたので、持ち合わせのコンパクトデジカメで標本箱のガラス越しに、インパクトの強い種の標本を撮影しました。

その中から、比較的写りのよいもの2点をご紹介します。


ゴライアストリバネアゲハ♂ Ornithoptera goliath

ゴライアストリバネアゲハ ♂
  ↑クリックで拡大します。

開帳28cmになり、世界で二番目に大きい蝶とされます。
♂はこのようにエメラルドグリーンと黄色と黒の3色の大胆なコントラストを見せていますが、♀では、前翅は黒地に白斑、後翅は黒、白、黄色に染まっていて地味です。
そのため、捕食者(鳥)に目立つ♂は翅を閉じてとまり、♀は開いていることが多いようです。
ニューギニアの熱帯雨林に生息し、樹冠を突き抜けて飛び回ります。
(以上、Wikipedia英語版、日本語版を参考)


サカダチコノハナナフシ♀ Heteropteryx dilatata

サカダチコノハナナフシ ♀
  ↑クリックで拡大します。

「ずいぶん、ごっつい虫だな」とカメラを向けました。
今売り出し中の新関脇逸ノ城を彷彿とさせます(失礼!)。
マレーシア、インドネシア、タイにかけて分布し、♀は体長17cm、体重70gにもなり、最も重い昆虫の1つだそうです。
卵も昆虫のものとしては最大(長径9mm、重さ70mg)で、土中に1個ずつ産みつけられます。
卵が孵化するのに8~18か月かかります。
♂はもっと小型で細身、そしてより長い翅をもちます。
(以上、Wikipediaドイツ語版、フランス語版を参考)


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| 昆虫:多様性・保全 | COM(0) | | TB(-) |
2014-08-29 (Fri)
昆虫多様性モニター法を特集している、昆虫の月刊誌「昆虫と自然」2014年9月号について、一件前の記事でご紹介しました。

この号の表紙写真は私が撮影したものです。

釧路市の阿寒国立公園内の沼で撮影したオオルリボシヤンマ♀です。

岸に接した浅い水辺の朽木にせっせと産卵していたため、そっとカメラを近づけても逃げることなく数カットの被写体になってくれました。

私のホームページ「昆虫自然史研究所」のギャラリーで、同じ個体の別カットを見ることができます。

よろしければ御笑覧ください。


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| 昆虫:多様性・保全 | COM(0) | | TB(-) |
2014-08-29 (Fri)
昆虫の月刊誌「昆虫と自然」2014年9月号が出ました。

昆虫多様性モニター法を特集しています。

目次から引用:

◇昆虫相の変遷をモニターする/ 山根正気 氏

◇チョウ-トランセクト法/山本道也 氏

◇トンボ多様性の変化を追う
 -トンボ成虫群集モニタリングのプロトコール-/生方秀紀・・・・・私です。

◇誘引トラップを用いたスズメバチ類のモニタリング法/牧野俊一 氏

◇港の外来アリをモニターする/山根正気 氏・原田 豊 氏

私の友人の山根氏が企画・編輯したものです。

一昔前、二昔前にくらべて身の回りの昆虫が減ってきたと感じる人は多いと思いますが、どの種類がどのくらい減ったのかということになると、明確に答えられる人はなかなかいないのが実際のようです。

昆虫群集のモニタリングは、規格化した方法でデータを蓄積しておくことで、将来この疑問に答えらえる基盤を与えるものです。

でも、モニタリングなんて面倒くさそう!? という声が聞こえそうです。

この特集は、昆虫のどれかのグループ(例:蝶、トンボ、蜂、アリ、etc.)に興味のある人なら簡単にモニタリングに参加できるような方法を提案しています。

トンボの項は私が担当しました。

書店または出版元(ニュー・サイエンス社)から購入できますので、よろしければご覧ください。


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