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2016-04-11 (Mon)
私の旧いトンボ友達の一人、Ken Tennessenさん(アメリカ)から、「トンボの俳句の本を出したので、日本の人に広めてもらえないか」とのメッセージが届きました。

タイトルは、''Dragonfly Haiku"(トンボの俳句)、著者はKobayashi Issa, Ken Tennessen, and Scott Kingとなっています。

もちろんIssaは小林一茶、日本人にはおなじみの江戸末期の俳人です。
一茶と、アメリカのトンボ研究者のとりあわせの妙、それにテーマがトンボとなれば、まずは読んでみたくなります。

注文して2週間ほどで海外のネット書店から1冊が届きました(写真)。

Dragonfly_haiku_by_Tennessen_and_King

読了してからの写真なので、本に開きぐせがついています。

本は、序文に続いて一茶のトンボに関する句とそのKingさんによる英訳と訳注、 Tennessenさんの句、Kingさん (以下敬称略)の句の順の章立てとなっています。
全103頁。

小林一茶は生涯に約22,000句を残し、そのうち蜻蛉を詠みこんだものが84句知られています(一茶研究会 一茶弐萬句データーベース作成プロジェクト、 2016)。

一茶の句の多く(約1万句)は、すでにDavid G. Lanoue (2016) によって英訳され、ウエブサイトで自由に閲覧できるようになっています。

今回、Kingは、一茶によるトンボ関連31句について、Lanoueの訳を全面的に参照しつつも、新しい解釈のもとで改訳しています。

私が見るに、Lanoueの訳が原文にかなり忠実なものであるのに対し、King によるものはトンボの生態についての知識や経験に裏付けされ、更に作者の一茶、訳者そして読者がその句から何を感じ取るかについて大胆な解釈を採りいれている点で、オリジナリティーが付加されています。

以下に、各章の中から私の気に入った2句とその訳を紹介したいと思います。
英語の俳句には私の訳句を添えてみました。


一茶の句:
(Haiku by Issa, translated by Scott King)

蜻蛉やはったとにらむ富士の山

The dragonfly --
who can stare longer
at Mount Fuji?


朝寒もはや合点のとんぼ哉

Cold morning
slow to get out of bed
the dragonfly


Ken Tennessenの句:
(Haiku by Ken Tennessen, translated by Hidenori Ubukata)

The path winding
ever skyward
is the dragonly's

天高く巻き昇りたるとんぼ哉


Yesterday's song
afloat --
a dead dragonfly

在りし日の唄が漂う浮き蜻蛉


Scott Kingの句:
(Haiku by Scott King, translated by Hidenori Ubukata)

The red dragonfly
a small amount of sunset
trapped in its wings

落日の朱を羽根に留め赤蜻蛉


One dragonfly --
even the most silent of ponds
comes alive

とんぼ来りて静寂の池の息吹かな


引用文献:
(Reference)

Kobayashi Issa, Ken Tennessen, and Scott King (2016) Dragonfly Haiku. Red dragonfly Press, Northfield MN.
http://www.odonatacentral.org/docs/Haiku_release.pdf

一茶研究会 一茶弐萬句データーベース作成プロジェクト (2016) 一茶の俳句データベース(一茶俳句全集V1.30).
http://ohh.sisos.co.jp/cgi-bin/openhh/jsearch.cgi?group=hirarajp&user=guest/

David G. Lanoue (2016) Haiku of Kobayashi Issa.
http://haikuguy.com/issa/

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