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2017-02-09 (Thu)
北海道東部の標茶町で長年にわたって活躍された昆虫研究家,飯島一雄氏(壮年期の飯島さんの姿;外部リンク)が2016年11月7日に88才で逝去された。

飯島さんは,標茶町を基点に広く釧路・根室地方をフィールドとし,蛾類を中心に昆虫全般の分布・出現期を解明することをライフワークとされた。

本職の林業の作業の合間や休日に採集した膨大な数の昆虫標本を,帰宅後やシーズンオフにせっせと同定し,そのリストを着々と報文の形で公表された。

少しでも疑問の残る標本は,それぞれの分類群の分類学者に同定を依頼することで,完璧を期す方針に徹しておられた。

こうして蓄積された標本コレクションは散逸させることなく,釧路市立博物館および標茶町郷土館に寄贈する方針を早くから表明しておられた。

トンボ研究者にとっての飯島さんといえば,何といっても,エゾカオジロトンボとイイジマルリボシヤンマの日本最初の発見者(朝比奈、1957~1973)として記憶されている。

しかし、それらの発見が飯島さんにとってはエピソードにすぎなかったことは、飯島さんが1957年からの約40年間にトンボ関係だけでも50編を超える,主に分布記録に関する著作物を公表されたことから明らかである(トンボ関連業績リストは,このブログの次回記事参照)。

私も,トンボ研究者として駆け出しの頃の1970年代前半に,標茶町の飯島宅を訪れ,昆虫研究への情熱にほだされたのだった。

1993年に釧路市で開催された国際シンポジウム「トンボの生息環境とその保護」(北海道トンボ研究会も全面的に協力し,筆者もコーディネーターを担当して,世界7カ国から専門家を招聘)では,専門家の基調講演に先立つ「トンボ保護の現地報告」の部で,飯島さんにも登壇していただいた。

そこで標茶町におけるトンボ生息地復元や森林再生の取り組みを紹介し,地球環境の保全にまで言及した飯島さんの報告(飯島,1995)は,海外からの専門家にも「北海道に飯島あり」との強い印象を与えたであろう。

私とのかかわりを通して見た、飯島一雄さんのお人柄、道東の昆虫人脈の中でのご活躍ぶりの詳細については、北海道トンボ研究会報(印刷中)を参照されたい。


外部リンク出典:

釧路市立博物館、Twitter @kushiro_museum:22:29 - 2016. nov. 14.
https://twitter.com/kushiro_museum/status/798412582029819904


引用文献:

朝比奈正二郎,1957.本邦未記録のエゾカオジロトンボ(改称).昆虫,25:32.

朝比奈正二郎,1961.エゾカオジロトンボの日本産亜種の記載.『日本昆虫分類図説.第1集第1部』,57-58頁.

朝比奈正二郎,1972.イイジマルリボシヤンマ(新称)の発見.Tombo,15:9-10.

朝比奈正二郎,1973.エゾカオジロトンボの発見とその意義.標茶町社会教育係(編)『エゾカオジロトンボ調査報告書』,1-3頁.標茶町教育委員会.


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