08≪ 2015/09 ≫10
123456789101112131415161718192021222324252627282930
2015-09-14 (Mon)
昨日の記事の続きです。

秋雨前線が移動して晴天になった日、埼玉県西部の丘陵地への観察行。

渓流に沿った田舎道沿いを歩いていると小さな廃田のような地形の場所に浅い水たまりがありました。

真っ先に目に飛び込んだのはオオシオカラトンボ♂です(下の写真)。

オオシオカラトンボ♂、なわばり静止

さいたま市内ではシオカラトンボに比べて見かける機会が少ないので、腹部の濃いめの青と複眼のコーヒー色が私の眼を刺激します(笑)。

シオカラトンボもいます。
個体数はオオシオカラよりも多い。

目ざとく1匹の♀を見つけた♂が、あっというまにつかみかかり、交尾態になり、水面上を飛び回っては、岸の草にとまります。
その間、ほかの♂に邪魔されます。

シオカラトンボ、交尾、続きあり

間もなく、交尾態を解き、♀は草にとまります。
♂は少しの間その上空でホバリングしましたが、たの♂を追い払いに行きました。

いつもであれば、♀はすぐ近くの水面で打水産卵を行い、その上を交尾相手だった♂がホバリングしながらガードするのですが、この♀は草にとまったきりです。

シオカラトンボ♀、交尾直後

この♀が未熟なためなのか?
あるいは高齢気味なためなのか?
それとも?

写真を拡大してみると、翅の後縁の一部が破損していて、翅の膜も多少汚れています。
ですから、十分成熟している個体です。高齢化どうかまではわかりませんが。

翅の角度を見ると左右非対称ですし、元気がありません。

長い秋雨で十分餌を採れなかったための空腹のためか?
しかし、観察の前日も晴天でしたので、栄養補給は十分できたものと思われます。

そうなると、やはりお歳のせい?

これを確かめるには採集して解剖し、卵巣の状態や消化管内容を実体顕微鏡で観察すれば、かなりのことがわかるはずです。

皆さんも、観察中にこのような疑問を持たれたら、このような疑問解決法があることを思い出してはいかがですか?

この場所での観察にはおまけがあります。

そろそろ別の場所へ移動しようとカメラを肩に掛けなおそうとしていたら、この水たまりの向こう側からこちら側へ、細身のヘビがくねくねと蛇行して水面上を移動してきました。

ヤマカガシ

口から黒くて長い舌をピロピロと触角のように動かしていて、精悍な印象を与えます。
それでも黄白色の襟巻模様や、赤い色や青い色のまじったまだら模様を見せびらかしていて、ちょっとおしゃれで可愛い感じさえ与えています。

家に帰ってネットで調べたところ、ヤマカガシの若い個体であることがわかりました。

滅多に咬まないヘビですが、咬まれて死ぬ人もある毒蛇だとのこと。

この日は携帯電話を忘れて家を出たので、もし咬まれたら救急車を呼ぶこともできず、大変なことになるところでした(笑)。


ブログランキング(↓):両方ともクリックで応援してください。



にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村

| トンボ:生態と行動 | COM(2) | | TB(-) |
2015-09-13 (Sun)
私が住んでいる さいたま市は開発が進んでしまい、豊かな森林に囲まれた汚染のない河川や池沼はもはや存在しません。
そこで、より多様なトンボ達に出会うためには、数十キロメートル車を走らせ、県境近くの丘陵地を目指す必要がでてきます。

9月の秋雨前線が北へ押し上げられて久しぶりの晴天になった昨日、待望の丘陵地行きを敢行しました。

最初に行った場所は里山の棚田に沢からの細流が流れ込んでいるところ。

お目当てのオニヤンマ、去年は見たのですが、今年は中々現れず、賑やかなシオカラトンボ達には目もくれずに次の場所に移動。

今度は沢地形のところに小さな溜池のあるところ。
シオカラトンボが飛び回る水面から少し離れたところに一匹のアカトンボ♀。

マユタテアカネ♀、翅斑型

写真:マユタテアカネ♀(クリックで拡大します)

翅の先に褐色の斑紋があり、ノシメトンボ、コノシメトンボ、リスアカネを真っ先に連想するところですが、体が小さいですし胸部側面の黒紋が繊弱です。
マユタテアカネ?

自宅に帰り、図鑑で調べたところマユタテアカネでした。
以前住んでいた北海道では透明の翅の個体ばかりでしたし、この同じ場所で去年見たときの雌も透明翅でしたので、少し感動しました。

この翅端に出現する褐色斑の適応上の意義は何かを考える上で、同一種の中にこの斑紋がある個体とない個体が存在することは考えるヒントになりそうです。

♂にあって♀になければ、♂の♀に対する性的アピール、もしくはナワバリを巡っての♂間の威嚇などの機能が考えられますが、両性に存在する場合は同種の認知、あるいは捕食者や餌動物に対する迷彩色もしくは攪乱ということも考えられます。

ただし、翅端の褐色斑のあるトンボが羽ばたいていると、少なくとも人間の眼にはよけい目立ちますので、迷彩の可能性は低そうです。

この後、別の場所に移動してちょっと面白い発見をしましたが、それについてはまた明日書きます。


ブログランキング(↓):両方ともクリックで応援してください。



にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村


| トンボ:系統と分類 | COM(0) | | TB(-) |
2015-09-09 (Wed)
トンボの胸と腹の役割は?

節足動物の進化を考えた場合、その初期には(ムカデやヤスデがそうであるように)沢山あった体の節には胸と腹の区別はありませんでした。

昆虫が地球上で大繁栄したのは、胸に移動のための器官である脚を集め、さらには背面に大きな翅を生やし、その一方で残りの多くの体の節を「内臓を覆う容れ物」すなわち腹部に特化させたことで、環境適応力の潜在力を高め、それらの特性を変化させながらさまざまな微環境に進出できたからです。

実際、トンボの胸の中には翅を動かす大きな筋肉の束がぎっしりと詰まり、脚の基部を動かす筋肉もしっかりと入り込んでいます。胸を覆う鎧のような外皮は羽ばたきや脚の運動によって生じる力を受け止められるだけの厚みと形をもっています。

腹部は内臓(消化器、内部生殖器、排出器など)の主要部分を包み込んでいる場所で、とりわけ雌の卵巣(正確には卵巣小管の束)がそのほぼ全長にわたって伸びていて、成熟した雌は「数の子」を連想するほどの数の成熟卵を腹いっぱいに貯えています。雄には精巣がありますが、これはサイズ的にはそれほど大きくありません。

トンボの場合、それに加えて、腹部を、成虫雌が卵を産み付けるときの「腕」として自在に動かします。

成虫雄も、雌と交尾するときに腹の先のピンセット(尾部付属器)で雌の頭部または胸部前方を挟む際、また、さらに挟んでから雌に交尾(ハート型の連結)を促す際に、腹部全体を自分の意図通りに動かします。

このほかにも、個体間の威嚇や求愛誇示のため相手に目立つ色のスポットを見せ付けたり、翅の表面についたゴミなどを取り除いたりするために、腹部を器用に曲げて動かします。


ブログランキング(↓):両方ともクリックで応援してください。



にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村

| トンボ:形態と機能 | COM(0) | | TB(-) |
2015-09-09 (Wed)
トンボの寿命は何年くらい?

トンボの成虫は終齢幼虫から脱皮してから、通常、最大2か月程度生存します。長いものでは成虫が夏眠(生殖腺発育の自己抑制)をするオオアオイトトンボとアキアカネでそれぞれ3・4か月と4・5カ月になります。さらに成虫で冬を越すオツネントンボ*では10カ月にもなります。

これらは健康で長生きした場合の最大値で、生理的寿命でとも呼ばれます。実際は、羽化後、天敵に襲われたり、寄生虫や病気に冒されて弱って生理的寿命をまっとうしないで途中で死ぬ個体のほうが圧倒的に多くいます。なお、夏眠や冬眠をしている間は死亡率が意外と低いことが知られています。

卵、幼虫を含めた一生の長さで寿命を見た場合、最長の推定値は幼虫期間の長いムカシトンボで8年というのがあります。短いものでは幼虫期間が約40日のウスバキトンボがあり、この種は海を越えるほどに移動し、一時的な水たまりなどに産卵し、その次の代もまた移動して同様に産卵し、年3世代にもなる頻繁な世代交代をします。 
 
(*2,3の種を除く日本産のトンボは卵または幼虫のかたちで冬を越します。)


ブログランキング(↓):両方ともクリックで応援してください。



にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村


| トンボ:生態と行動 | COM(0) | | TB(-) |
2015-09-09 (Wed)
指回しをしたとき、トンボは眼をまわすか?

人がトンボを捕まえるときに、指先などをトンボの視野の中で回すと、意外と簡単にトンボを手づかみすることができるということは実際、多くの人が経験しています。

草や枝の先にとまっているトンボは大きい影の接近に対しては捕食者である可能性のあるものと認識して警戒モードになり、しばしば飛び去って難を逃れようとします。

一方、目の前で不規則に飛び回る小さな物体は餌昆虫である可能性が高く、その動きの特徴をとらえるとともに方向と速度を読み取り、いつ飛びかかろうかと、神経活動を集中させると考えられます。眼の前の餌昆虫の動きに合わせて頭(これには大きな複眼が左右対称に備わっています)をクルン、クルンと向けることもよく見られます。

人の指先をトンボの前でくるくる動かすときにも、同様のトンボの頭の動きが観察されます。人の指先を回して近づけた場合には、トンボにとって、(擬人的表現をすれば)捕食者ではなさそうだが、餌昆虫としては何か様子がおかしい、しかし餌かもしれないと考えて、じっと集中して指の動きを追うのではないでしょうか。

トンボが餌取りモードでこのように集中した状態は、捕食者に対する注意力が大きく低下しているのではないかと考えられます。そのため、指をクルクル回してトンボの眼の前に近づいた人は最後には、ひどく簡単にトンボの翅をつかんで捕まえることができるのでしょう。

以上の説明はあくまでも仮説であり、今後の実験的研究によってテストされなければ真偽はわかりませんが、私個人としては納得できるものです。

質問で「トンボが眼をまわす」という言葉が使われていますが、頭を指に合わせて回すという意味では、答えはイエスです。一方、本来の意味である「気を失う」「気絶する」というのは該当しないでしょう。というのは、クルクル回したあとの捕まえ方が下手であればすぐに飛び去ることが多いので、自分の周りの環境条件に臨機応変に対応する行動をとれる態勢にはあるといえるからです。

参考動画サイト:
https://www.youtube.com/watch?v=lhMvfeTLUaI

【追記】
アキアカネを指クルクルで捕まえるところを「自撮り」したものをYoutubeにアップしました(下記URL)。2015.12.30.
https://www.youtube.com/watch?v=x5MzEXQYuek


ブログランキング(↓):両方ともクリックで応援してください。



にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村

| トンボ:生態と行動 | COM(0) | | TB(-) |
2015-09-09 (Wed)
「教えてgoo」の編集者から取材を受けました。

トンボが目を回すかどうか?
トンボの寿命はどのくらい?
トンボの胸と腹の働きは?

この三つの難問(笑)に私見を披露したものがまとめられています。

http://oshiete.goo.ne.jp/watch/entry/c3ff9567b0deb08f14c73aa349d84952/

ご笑覧ください。

この取材を受けるに際して用意した、これらの設問に対する私の見解をまとめた文書を、この後の三つの記事としてアップしておきます。
私の見解を引用する際はそれら、私のブログ記事から引用されることをお勧めします。


ブログランキング(↓):両方ともクリックで応援してください。



にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村


| トンボ自然史研究所 | COM(0) | | TB(-) |
2015-09-01 (Tue)
昨年(2014年)8月17日に「トンボ自然史研究所」を立ち上げ、ホームページの運用を開始し、同月29日にはこの「トンボ自然史研究所ブログ」をスタートさせました。

早いものでそれから1年が経過しました。

ホームページは運用開始以降大きな更新はしていませんが、ブログは130件の記事をアップし、アクセス数も2300回に達しました。

今年はトンボシーズン入り後、多忙な日が続き、思うように更新できませんでしたが、無事に1周年を迎えることができたことを励みに新しい記事作成に力を注ぎたいと思います。


ブログランキング(↓):両方ともクリックで応援してください。



にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村

| トンボ自然史研究所 | COM(0) | | TB(-) |