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2015-12-31 (Thu)
以前の記事で、「教えてgoo」からの「トンボは指回しで眼を回すか」という質問への回答を掲載しました。

指回しでトンボを採った経験は、小学生の頃、そしてトンボを研究テーマとした大学院生の頃、そして息子の虫採り遊びと付き合ったウン十年前にありましたが、そういえば最近はご無沙汰していました。

今年10月上旬の晴天の日、近くの公園にデジカメ持参で出かけ、久しぶりのクルクル作戦を決行しました。

3度目のトライで動画に収めることに成功しました。
ピントがとても甘いのですが、gooでの回答の自前のバックグラウンドとなるものなので、Youtubeにアップしました。

Hunting Sympetrum dragonfly with a turning finger tip
https://www.youtube.com/watch?v=x5MzEXQYuek

なぜ捕まえることができるのかについての私の解釈は、下記をご覧ください。

指回しをしたとき、トンボは眼をまわすか?
http://dranathis.blog.fc2.com/blog-entry-134.html

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2015-12-30 (Wed)
前2回の記事(その1その2)では、私が撮影した動画および静止画をもとに、アキアカネの産卵動作の分析をしました。

高速度撮影した動画のスロー再生を見ることで、動作の分析をより深めることができるはずです。

海野和男氏は、日本を代表する昆虫写真家の一人で、静止画はもとより、動画についても素晴らしい作品をインターネット上で公開しておられます。

その作品の一つ、「アキアカネの産卵 スーパースロー」(2015年10月6日の撮影。10倍スローの映像):
http://www.goo.ne.jp/green/life/unno/movie/movie.html?movieid=1444126234
は、私の期待に応えて余りある情報密度たっぷりの動画です。

以下、その作品を視聴して私が気づくことができたアキアカネの連結産卵の動作の細部について、時系列に沿って記述します。

このアキアカネの雌雄連結したペアは、全部で10回打水(打泥)している(空振りを含む)。

シーンが二度切り替わっているので、最多で三つの別ペアである可能性もある。

1回目、見事に打水。

2回目、空振り。
雄にとって、水面は光を反射するため、泥面にくらべて、自分との距離を測りにくいのかもしれない。
このとき、雌の腹は前下方へカーブしており、雌が出水(打泥)ポイントに腹端を当てようとしていることがうかがえる。
つまり、雄による打水動作によって受動的に振り回されているだけではなく、雌も独自の動作を付け加えていることがわかる。
まさに夫唱婦随、息がピッタリの協調行動をとっていることがわかる。
夫婦といっても産卵が終れば、離れ離れになり、翌日以降は別の個体とカップルになるのだが。

3回目、土の壁を打っており、これもミス。

4回目、藁屑と藁屑の間のスポット水面を狙うも、藁屑を打っており、残念。
そのあとの5,6、7回目は、藁屑の隙間のこれらスポット水面または泥面ををうまく打水(打泥)している。

8,9,10回目では、雌も腹を下前方にスイングしているのが見てとれる。
その際、雌は腹を各節間で折り曲げて全体をカーブさせるというよりも、ほぼ一直線だった胸部の前後軸と腹部の前後軸の間でヘの字型に折れ曲がるようにスイングしている。
つまり、胸部後端と腹部第1節の間をつなぐ筋肉のうち、背側でなく腹側のものが収縮していることになる。

9回目。打水後、飛び上がりながら、向きを変えるとき、雄の頭が先にそちらの方向を向いていることがわかる。

10回目。打水後、雌を引き上げるときの雄は必死なことが翅の羽ばたき頻度の増加や頭部・胸部を左右に揺する動きからうかがえる。

全体を通して、雄雌よく協調して羽ばたいている。

雌は腹部に大量の卵を抱えるため、産卵最盛期には体重は雄よりも、相当程度重くなるに違いない。

雄は、その♀の後頭部中央を尾部付属器でピンセットのように挟み付けて連結し、その♀を上下に打ち振りながら飛び回り、打水動作までするのであるから、人間で言えばスーパーマン並みの体力(瞬発力、持続力、正確さ)を持つ存在である。

現在の人間の工学技術力をもってしても到底足元にも及ばない。
トンボを始め昆虫達のもつ素晴らしい能力には感嘆せざるをえない。


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2015-12-13 (Sun)
前回の記事では、私がYouTubeに投稿したアキアカネ Sympetrum frequens の連結産卵の動画をもとに、連結産卵における基本動作のサイクルを分析的に記述してみました。

今回は、上記の動画と同じ場所、同じ時間帯に撮影した多数の静止画を素材に、静止画ならではの各個体の挙動の細部を読み解くことを試みます。

ここで、アキアカネの連結産卵における基本動作のサイクルをまとめておきます。

→ 「水平飛行」 → 「雄主導の水面方向へのダイビング」 →
「雄の動作に促されての雌の腹端の打水(または打泥)」→
「雄主導の上空方向への飛び上がり」 → 「水平飛行」→

このようになっています。

以下、上記のサイクルに沿って、アキアカネの連結産卵の産卵動作における体部の細かい動きや雄雌の連携を、写真に即して見ていきます。
なお、産卵ペアは同一ペアとは限りません。
例によって「である体」での記述になります。
4桁数字は写真ID。

打水と打水の間の水平飛行。典型的な直列飛行になっている。雄雌の息はピッタリで、同じように羽ばたいている。
また、雄雌とも脚をぴったりと翅胸部に密着し、空気抵抗を最小化している。
0495
495_S. frequens_Oviposition


打水の直前。雄は大胆に下前方にダイブしつつ、腹を下方に打ち振り、雌の打水を促す。
雌は雄にひかれるように体を下前方にダイブする。
雌の腹先は鞭の先のように上向きに反っているが、これは打泥した瞬間の腹先への衝撃を和らげる効果があると思われる。
0591
591_S. frequens_Oviposition


打水した瞬間。雄の腹の前方下方への打ち振りにより、雄と雌のなす角度は上下逆のへの字状になっている。
この写真では水が意外に深く(といっても浅いが)、雌の腹は先の3節が水面下にはまっている。
雌の後足の脛節と腿節の角度が緩んでいるのは、雌の若干の焦りの表出か。
0423
423_S. frequens_Oviposition


この打水(打泥)では、適切な高度での打ち付けに成功している。
大部分の打水(打泥)はこのように、うまくいっている。ただし、写真では、たまたま泥の上の枯れ落ち葉を叩いており、雌の産卵弁(産卵孔の前縁についている蓋)へのストレスがかかっている。
朽ちて柔らかくなった枯葉で、柔らかい泥の上にのっているので、たいしたストレスではない。
石やコンクリートを叩くと、ダメージがあるだろう。
もちろん、アキアカネはそのようなことがないように、打水場所を選んではいるが。
0550
550_S. frequens_Oviposition


「おっとごめん!」雄が低空で打水動作をしたためか、雌は顔から水面にぶち当たってしまった。
486
486_S. frequens_Oviposition


この打水(打泥)でも、低空で雄が強く腹を叩きすぎたためか、雌の頭部と胸部が泥に埋まってしまった。
その後も産卵を続けたので、雌も、なんのこれしき、と想定内の出来事であったのだろう。
しかし、幸い、こんなミスが繰り返されることはあまりない。
そのような下手な産卵動作をさせる遺伝子は、産卵数が減ってしまうという罰を受け、次世代で比率(遺伝子頻度)が低下してしまうからだ。
0451
451_S. frequens_Oviposition


通常の打水(打泥)の直後、飛び上がるペア。
この写真では、雄の頭部、胸部はは早々と右上方を向いていていて、雄は打水の前から次の打水地点についてのアイデア(今度は少し右へ行こう)を持っているらしいことをうかがわせる。
0552
552_S. frequens_Oviposition


打水直後、飛び上がるペア。
この写真では雌のはばたき速度が雄のそれに比べて低く、ほとんど雄のはばたきの力だけで上方に飛び上がっていることがわかる。
「男はつらいよ」といいたくなる。
0475
475_S. frequens_Oviposition


打水直後、飛び上がるペア。
この写真では、雌も雄と協調するかのように羽ばたいている。
雄は次の打水に備えて、雌の頭を上方に吊り上げ気味に飛んでいて、この後、強く腹を前方下方に打ち振り雌の打水産卵を誘発することになる。
0549
549_S. frequens_Oviposition


打水と打水の間の水平移動の際、雄の主導で少し右方向へ進路を変更していることが、雄雌の体軸のなす角度からうかがえる。
雄の尾部付属器で雌の頭部天面をしっかりと挟みつけていることも見てとれる。
0499
499_S. frequens_Oviposition


これも雄が右方向に進行方向を変えようとしている。
頭部は微妙ながら、翅胸よりも更に右方向を向いている。
頭部と胸部の間はゴムの細い管のように柔らかいが、どっこい筋肉もはいっていて、やるべきことはやっている。
重い頭をささえ、視線を向けるために自由に頭の向きを変えるし、雌では連結した雄に引っ張られたり振り回されている頭と体重の大部分を占め、空気抵抗の大きい翅を生やした胸部・腹部とがこの細い首のところでちぎれないように、グッと筋肉を緊張させているに違いない。
0504
504_S. frequens_Oviposition


打水を終えて次の打水場所に向けて右にカーブしようとしている雄。
真っ直ぐ進むと稲の切り株にぶつかるので、これは当然の行動。
523
523_S. frequens_Oviposition


これで、アキアカネの連結産卵のサイクルを一通り、見たことになります。
ちっぽけな生きものですが、より身近に感じていただけたとしたら、ブロガー冥利に尽きます。

なお、アキアカネの単独産卵その他いくつかの行動・生態についてもこのブログで記事にしていますので、興味をお持ちの方は、このブログの上右のブログ内検索をご利用ください。


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