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2016-03-09 (Wed)
当ブログでご案内した、3月5日の私の特別講演が滞りなく終了しました。

この講演は、埼玉昆虫談話会平成27年度総会、研究・情報交換会の行事の一つとして行われたものですが、『広報おごせ』を通して町民の皆様にも広く案内されました。

当日は梅まつりの最中とあって、会場に至る道路は車が渋滞するほどでしたが、トンボの話の人気は今ひとつだったようで、談話会メンバーが大部分を占める約30人を前にしての講演とあいなりました。

越生、生方講演、江村氏撮影
写真:おごせ昆虫と自然の館で講演する筆者(生方秀紀)。撮影:江村薫氏(埼玉昆虫談話会会長)

「トンボの適応と進化 ~3億年の環境変化を超えて~」と、大きいタイトルをつけましたので、ご紹介した話の内容はコーベット博士の『トンボ博物学』(椿・生方・上田・東、監訳、海游舎刊):
http://dranathis.blog.fc2.com/blog-entry-81.html
からの借り物となりましたが、会場にお集まりいただいた皆さんには短い時間に詰め込んだ壮大なストーリーをそれなりにお楽しみいただけたのではと思っています。

トンボの系統分類については、昨今の分子系統解析の手法の発展、データの蓄積とグローバルな研究者の協力ネットワークの拡大により、格段の進展を遂げており、上記写真はその一端をご紹介しているところです。

講演では、それに引き続いて、古生代から現代にいたる地球の環境変動や古生物・古生態などについても最近の知見をご紹介し、それらの環境変動にトンボ類は形態・生理・生態・行動などの面でどのように進化的に対応してきたかについてお話しました。

講演内容が多かったため、質問タイムは短くなってしまったのですが、小学生の男の子からムカシトンボについての質問がでたこともあり、和やかな雰囲気の中で講演を終えることができました。

お世話いただいた埼玉昆虫談話会の役員・幹事の皆様、会場を提供された越生昆虫と自然の館の関係者に感謝したいと思います。

なお、トンボの行動・生態・進化・保全などの話題を豊富な資料を図示しながらの講演は、全国どこへでも出前いたしますので、お気軽にご相談ください。

 →連絡メールアドレス:
    info.idnh★gmail.com (★をアットマークに置き換え)

参考:

広報おごせ3月号(越生町)の講演関連記事抜粋:
http://dranathis.blog.fc2.com/blog-entry-193.html

埼玉昆虫談話会公式ホームページ:
http://saitama-konchu.jp/

おごせ昆虫と自然の館ホームページ:
http://homepage3.nifty.com/sundog/ogose/


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| トンボ自然史研究所 | COM(0) | | TB(-) |
2016-03-02 (Wed)
私(生方秀紀)がトンボの講演をします。

今週土曜日3月5日(土)に埼玉県越生町で以下のような内容でお話をすることになりました。

講演案内2016年3月

埼玉昆虫談話会総会後の特別講演になりますが、会員以外の方々にも公開されますので、お近くの方は梅見がてらご来場ください。
入場無料です。

上掲切り抜き写真および下記データともに、広報おごせ 平成28年3月号からの抜粋です。

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特別講演会:トンボ・3億年の歴史
 トンボの適応と進化、3億年の環境変動を越えて現在に至るトンボの話はいかがでしょうか。越生はトンボの宝庫です。
日 時 3月5日(土) 午後4時~5時
場 所 梅園コミュニティ館 多目的室
講 師 生方 秀紀(うぶかた ひでのり)氏
(北海道教育大学名誉教授/元世界トンボ協会会長)
------------------------------------

* * *

会場周辺地図は下記です。

https://www.google.co.jp/maps/place/%E3%81%8A%E3%81%94%E3%81%9B%E6%98%86%E8%99%AB%E3%81%A8%E8%87%AA%E7%84%B6%E3%81%AE%E9%A4%A8/@35.9681516,139.2676873,17z/data=!3m1!4b1!4m2!3m1!1s0x60192c8e6ed5aaef:0x9573c89b64a5713a

当日は梅まつりで、八高線生越駅からシャトルバスが毎時1,2本出るそうです。
梅園小学校下車徒歩5分。


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| トンボ:一般 | COM(0) | | TB(-) |
2016-03-01 (Tue)
日本のトンボで「生きている化石」というとムカシトンボEpiophlebia superstes写真:外部リンク)が真っ先に思い浮かびます。
   写真出典:http://tombon.com/ak-mukasito.html

確かに、ムカシトンボは、均翅亜目との共通祖先から不均翅亜目が進化する途上で不均翅亜目から別れた原始的グループであるムカシトンボ科Epiophlebiidae*を、ヒマラヤおよび中国に分布する三つの種とともに構成していますし、形態の特徴からも生きている化石と呼ばれるに十分な資格を持ち合わせています。

(*ちなみにムカシトンボ科をムカシトンボ亜目の唯一のメンバーとして扱う見解と、不均翅亜目に含める見解とが現在並立している状態にあります。→私の以前の記事「トンボ目の系統樹」を参照)

今回からシリーズで数回にわたってご紹介するムカシヤンマ科Petaluridaeも、「生きている化石」と呼ばれるにふさわしい、注目すべきグループです。

日本にもムカシヤンマ科に属する数少ない種のうちの1つである、ムカシヤンマTanypteryx pryeri(下の写真)が分布しています。

Tanypteryx_pryeri_from_wikimedia
 ムカシヤンマ♀ (写真出典:Wikimedia

ムカシヤンマの生態については、私も生息地を訪れて直接を観察する機会があると思いますので、いずれその経験も交えながら紹介できるかと思います。

それはそれとして、このシリーズではムカシヤンマ科全体についてとりあげます。

科の和名「ムカシヤンマ科」は、不均翅亜目(ムカシトンボ科を含めていない)の中ではもっとも古く系統が別れたグループと考えられたことからつけられています。

それに対して、科の学名Petaluridaeは、ギリシャ語のpetalon葉+ourá尾を合成したものです。
写真(外部リンク)Petalura giganteaの♂ですが、尾部上付属器が見事に葉のように広がっていることがわかります。
この形態的特徴がPetaluridae(科)とPetalura(属)の学名の由来になっているというわけです。
   Source: http://photos.rnr.id.au/2015/01/07/dragonfly_Petalura_gigantea_m_Aasgard150107-1993.jpg

この葉のような尾部上付属器と、その下部にある尾部下付属器とで雌の後頭部を挟んで連結し、更に交尾するわけで、挟まれたほうの雌は後頭部に違和感を感じないのでしょうか?
しかし、これは彼らから見て訳のわからない生き物が勝手に想像しているだけで、彼らにとっては当たり前のことなのでしょう。

ムカシヤンマ科の仲間には、チャンピオンがいます。

それは、「世界最大級のトンボ」という称号を持つ、Petalura ingentissima('テイオウムカシヤンマ';オーストラリア北東部固有種)で、翅を拡げた両端間の距離(翼幅)は雌で158~162mm*あります。

写真(外部リンク:Rosser Garrison Collection)の左中央が'テイオウムカシヤンマ'Petalura ingentissima 。その真上に、世界最小級のハッチョウトンボNannophya pygmaea(シンガボール産;日本にも産する)1♂が配置されていますので、このムカシヤンマの大きさを感じ取ることができるでしょう。
   Source: http://ucanr.edu/blogs/blogcore/postdetail.cfm?postnum=1904

(*ちなみに、日本最大のトンボ、オニヤンマAnotogaster sieboldii の成虫(雌)の最大翼幅142mm程度です;杉村光俊ほか[1999]『原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑』 [北大図書刊行会]の実物大写真を筆者が計測。図[外部リンク]のオニヤンマ雌からは翼幅137mmの計測値が得られます。)
   写真出典:http://net1010.net/2012/07/id_5390/

上で最大級という表現を用いた理由は、同じかそれより少し大きいトンボはが他にまだ存在するからです。
それらについては別の機会にご紹介したいと思います。

ここまでは現存種の話でしたが、時代を一気にさかのぼる約3億年前の古生代石炭紀には、翼幅65cmにもなる巨大なトンボ、メガネウラMeganeura spp. が湿地林の中を羽ばたいていたことが知られています(写真:外部リンク)。
   Source: http://www.surfacevision.com/meganeura-image.html

ただし、メガネウラは原トンボ目(げんとんぼもく)Protodonataに属します。
原トンボ目は、トンボ目Odonataと最も近い親戚にあたりますが、直系の祖先というわけではありません。
いずれにせよ、メガネウラは現代の大型トンボたちにとって、あこがれのアイコンであるといえるでしょう。

このシリーズ記事の次回では、ムカシヤンマ科内各属の系統分岐とその分岐時期について見ていきたいと思います。


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