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2016-10-10 (Mon)
An article on the life cycle of the Ground crickets singing in winter and its evolution has been published. I am among the co-authors of the article.

私も共同研究に参加した、北海道東部の噴気孔原に生息するマダラスズDianemobius nigrofasciatus (Matsumura) の生活史とその起源についての論文が、日本昆虫学会の会誌「Entomological Science」の最新号に掲載されました。

北海道阿寒町の噴気孔原とそこに棲むマダラスズ
A fumarolic field ('bokke ') where Dianemobius nigrofasciatus calls also in winter. (Click!)
冬も鳴くマダラスズの生息地の一つ、北海道阿寒町の噴気孔原(ボッケ)。(クリックで拡大)
成虫♂の標本写真は相馬昌之氏撮影、景観写真は生方秀紀撮影。


The summary and the bibliographic information of the article follow:

以下にその要約を書誌情報とともにご紹介します。


 
Ground crickets singing in volcanic warm “islets” in snowy winter: Their seasonal life cycles, photoperiodic responses and origin

雪の冬の火山性の温暖な「小島」で鳴くコオロギ―その季節的生活環、光周反応および起源
by 著者
Sinzo Masaki,Masayuki Soma,Hidenori Ubukata,Haruo Katakura,Rie Ichihashi,Zhuqing He,Nobuaki Ichijô,Norio Kobayashi, Makio Takeda 正木 進三、相馬 昌之、生方 秀紀、片倉 晴雄、市橋 里絵、何 祝清、一條 信明、小林 憲生、竹田 真木生



Abstract 要 約
    The ground cricket 
Dianemobius nigrofasciatus overwinters as an egg in Japan, being univoltine in Hokkaido and northern Honshu and bivoltine farther south.

マダラスズDianemobius nigrofasciatusは、北海道と本州北部では年一化、更に南では二化で、日本では卵越冬する。
     In Hokkaido, however, this cricket is heard singing in winter in several fumarolic fields covered with moss and grasses locally known as “bokke”.  しかし、北海道では、現地では「ボッケ」という名で知られている、コケや草本で覆われたいくつかの噴気孔原で、マダラスズが冬期に鳴いているのを聞く。
     In such warm “islets” the adult density was high in early summer and again in autumn, indicating that the cricket is bivoltine in contrast to the univoltine life cycle outside the bokke habitats in Hokkaido.  そのような暖かい「小島」で成虫の密度は、初夏と、そして再度秋に高かった。このことは、マダラスズが、北海道のボッケ以外の生息地で一化の生活環をもつのとは対照的に、二化性であることを示す。
     Eggs laid by females collected at regular intervals from a bokke habitat showed a clear seasonal cycle of diapause incidence.   一つのボッケ生息地から定期採集された雌が産んだ卵は、休眠率の明確な季節サイクルを示した。
     At 26°C, the bokke 
strains produced non-diapause eggs under long days and diapause eggs under short days as in the southern bivoltine populations, although the critical day-length was longer than in the south.
 
 26°Cにおいて、ボッケ由来集団は長日の下では非休眠卵を、短日の下では南の二化集団と同様に休眠卵を産んだ。ただし、臨界日長は南の集団に比べて長かった。
     Several strains derived from non-bokke habitats in Hokkaido and northern Honshu produced high percentages of diapause eggs under long days as well as short days as expected for the univoltine life cycle.  北海道と本州北部における非ボッケの生息地に由来するいくつかの集団は、一化の生活環から予想された通り、短日下はもとより、長日下でも、高比率で休眠卵を産んだ。


    Winter adults singing inbokke habitats could be either survivors of the autumn generation or individuals derived from eggs laid in autumn and then matured in response to the high soil temperature. ボッケの生息地で冬鳴いている成虫は秋の世代の生き残り、あるいは秋に産卵された卵に由来し、高い地温の影響で成熟した個体のいずれの可能性もある。
     In the laboratory, the proportion of egg diapause in short days was decreased by selection only for several generations.  実験室内では、短日の時期の卵休眠率は、わずか数世代の人為選択によって減少した。
     Phylogenetic trees of bokke and non-bokke populations, based on both the nucleotide sequence of the mitochondrialCOI gene and four allozyme loci, suggest that bokke
populations have not been isolated from non-bokke populations for an evolutionarily significant time.
ボッケ集団と非ボッケ集団の系統樹(ミトコンドリアCOI遺伝子のヌクレオチド配列および4つのアロザイム遺伝子座のそれぞれに基づいて作成された)は、ボッケ集団は進化的に意味のある期間にわたって、非ボッケ集団から隔離されていなかったことを示唆する。

Published in:

掲載誌
Entomological Science, Vol. 19, Issue 4,
October 2016, Pages 416–431.
エントモロジカル・サイエンス、
19巻4号、2016年、416-431頁  
DOI: 10.1111/ens.12199DOI: 10.1111/ens.12199

以上。
※論文タイトルおよび要旨の日本語表記は私による仮訳です。

A PDF of this article will be sent upon request to those researchers who want to read.
E-mail to: info.idnh [at] gmail.com

★この論文を引用または参考のために通読したい研究者(プロ、アマ、院生、学生を含む)の方には私宛にメール(氏名、所属、希望内容明記)を頂ければpdf形式の別刷を添付にてお送りいたします。
メール宛先:info.idnh★gmail.com (★をアットマークに置き換え)



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| 昆虫:生態と行動 | COM(0) | | TB(-) |
2016-10-09 (Sun)
暑い夏も終わり、本州では本格的な秋を迎えるこの時期、北海道からは初雪の便りもちらほら聞こえます。

北海道は、真冬の氷点下が20度以下になることも珍しくなく、多くの地域で12月頃から3月頃まで雪にお覆われます。

そのような環境では、昆虫たちも厳しい寒さを回避するために、越冬に適した発生ステージ・生理状態で冬をやり過ごせるよう、
休眠によって卵期間や成虫の未成熟な期間の長さを調節することが知られています。


マダラスズ

マダラスズ Dianemobius nigrofasciatus (Matsumura) (下の写真)は、日本全国の草むらに住む、小型の昆虫(バッタ目コオロギ科[または、ヒバリモドキ科])で、成虫♂がジーッ、ジーッと鳴く、私たちに身近な昆虫のひとつです(マダラスズの生態写真[外部リンク]「ご近所の小さな生き物たち」)。

東北地方北部では秋に一度、それより南では初夏と秋の二度、成虫が現れ、繁殖します。

マダラスズ♂、標本写真

写真。マダラスズ成虫♂、標本写真(相馬昌之氏撮影)


北海道でも、もちろん、下記の例外を除いては、秋成虫が出現する一化の生活史をとっていて、9~10月頃には道内のあちこちでマダラスズの鳴き声を聞くことができます。


マダラスズが冬も鳴く場所:噴気孔原

ところが、北海道東部の温泉地や火山周辺にある噴気孔原(地面の穴から高温の火山性水蒸気が噴出している場所)では真冬でもマダラスズが鳴いています。

下の写真は、3年前の3月に北海道の弟子屈町の国立公園内で撮影した景観写真です。

マダラスズが生息する噴気孔原(弟子屈町)
写真.マダラスズ Dianemobius nigrofasciatusが生息する噴気孔原(北海道弟子屈町、3月).生方秀紀撮影。 (クリックで拡大)


後方の林床には根雪が残っているのに対し、近景には雪がありません。これは決して除雪したからではありません。
火山性の地熱によって雪がすぐに解けて、積もらない場所、つまり噴気孔原だからです。

写真の左下に、メロン1個がはいるくらいの穴が見えていますが、その孔をはじめ、いくつかの同様の穴から熱い水蒸気が噴き出しています。
そのような穴には落葉なども積もっていて、そこが冬そこで生き延びているマダラスズのシェルターになっています。

その周辺の緑色に見える部分は、このような噴気孔原に特有なコケで、これ以外にもイネ科草本なども繁茂しています。
冬でも陽射しが暖かいときはマダラスズはこのような草むらを歩き回り、餌や配偶者、産卵適所を探すというわけです。

下の写真は、阿寒町(現在は釧路市と合併し、釧路市阿寒町)にある大規模な噴気孔原です(10月に撮影)。
真冬の1、2月にこの場所を訪れると、近くのスキー場はスキー客でにぎわっているのに、この噴気孔原だけ積雪がなく、湯気のように立ちのぼる噴気が醸し出す独特な風景の中で、あちらこちらから湧き起こるマダラスズの鳴き声が交錯します。

マダラスズが生息する噴気孔原(阿寒町)
写真.マダラスズが生息する噴気孔原(釧路市阿寒町、10月).生方秀紀撮影。 (クリックで拡大)


噴気孔原のマダラスズの謎

昆虫を研究している者にとっては、マダラスズのこの奇妙な生態は強い好奇心をくすぐる存在です。

◎ 噴気孔原でのマダラスズの生活環は年に何化(年に何世代)なのか?

◎ 冬鳴いているのは第三世代なのか、それとも第二世代が生き延びたものなのか?

◎ 噴気孔原にいるマダラスズは、それ以外のふつうの場所にいるマダラスズと果たして同種なのか、別種なのか?

◎ 噴気孔原でのマダラスズと、それ以外の場所のマダラスズが同種だとした場合、その間に遺伝子の交流はあるか?


正木進三教授をリーダーとする共同研究の発足

弘前大学教授(現、名誉教授)の正木進三先生は昆虫の生活史調節機構についての研究で多くの先駆的な業績を上げておられましたが、このマダラスズの謎に、もっとも専門的な立場から取り組まれることになりました(1992年から)。

噴気孔原がある阿寒国立公園の膝元にある釧路市に在住の、一條信明さん(高等学校教諭;ショウジョウバエの生活史の研究者)が最初の協力者となり、マダラスズの生息状況調査と生体サンプルの採取・送付を担当し、正木先生がそれらサンプルをいくつかの日長条件のもとで飼育実験・人為淘汰実験などを行う、初期の共同研究がスタートしました。

その後、北海道教育大学釧路校で私の研究室の学生だった相馬昌之さんが1994年から卒業研究でマダラスズの生態に取り組んだことをきっかけに、指導教員の私ともども、上述の共同研究に参入することになりました。

相馬さんは、学部3年生後半から修士課程2年生までの3年半の間、主に噴気孔原および地熱のない一般的な草地におけるマダラスズの生活史と、生息地内の分布様式の調査、室内飼育による孵化日数の季節変化の追跡などに鋭意取り組みました。

指導教員の私は、調査研究のスタートアップの際の手ほどき、正木先生と連絡をとりあいながら、ぬかりのないように計画を立てること、進捗状況を確認すること、野外調査や飼育実験のピンチヒッター、そしてデータを整理分析する際の助言などが役どころでした。

このほかにも、釧路組のこの3名(代表・生方、相馬さん、一條さん)は1996年から97年にかけて前田一歩園財団の助成金を受けて、数カ所の噴気孔原を繰り返し訪れて、それぞれの場所の地熱や植生に関するグリッド状の分布地図を作成するなど、地元ならではのきめ細かい現地調査も実施しました。
植物の同定では釧路市在住の植物研究家、滝田謙譲さんのお世話になりました。

また、上記の助成金による調査の一環として、正木先生もはるばる釧路に現地調査に来訪され、主な噴気孔原を踏査され、その分布上の成果は調査報告書に記載されました。
その前後に設定された講演会では、マダラスズの生活史の研究の意義について、私たち釧路の昆虫研究者・愛好者に熱く語られ、地元組の興味を更に膨らませてくれました。


共同研究グループの発展と論文完成への足取りの発足

その後、北海道大学の片倉晴雄助教授(現、名誉教授)をリーダーとした研究グループ(市橋里絵さん、小林憲生さん)が、マダラスズの噴気孔原集団を含む北海道内のいくつかの集団のアロザイム解析結果を引っ提げて、この共同研究に参加しました。

また、神戸大学の竹田真木生教授(現、名誉教授)と何祝清さん(中国からの留学生)のグループが、マダラスズの噴気孔原集団を含む全国各地の集団DNA解析を担当してくれることになり、やはり共同研究に加わりました。

これにより、噴気孔原集団とそれ以外の集団との遺伝的分化の度合いや系統関係を明らかにした上で、噴気孔原集団の起源を論じることが可能になり、論文の考察を一層深めることが可能となりました。

この大きな共同研究グループ発足後は、私がモデレーター役を買って出て、電子メールのやりとりを通して、グループメンバー間の意見や補充データの交換などを活発に行いました。

それを通して、正木先生が健筆をふるって作成された論文原稿へのデータ補充、考察内容に関する議論が深められ、噴気孔原のマダラスズの生活史とその進化についての論文が仕上がっていきました。

完成論文は昨年末、日本昆虫学会の学会誌である「Entomological Science」に投稿され、査読者からのコメントに対応した若干の修正を施した再投稿原稿が受理されたことで、足掛け25年間にわたる共同研究にめでたく終止符が打たれました。

大人数の共著論文となりましたが、論文の主要な結論となる実験データの獲得とその分析は、先行研究とからめた考察とともに、正木先生お一人の業績にほかなりません。

相馬さんをはじめとした釧路組メンバーはそのバックグラウンドになる現地における生態を描き出すお手伝いを、アロザイムとDNAの解析を担当したメンバーはマダラスズの系統関係という時間軸を提供するお手伝いを、それぞれすることができたことをもって喜びとすることができるでしょう。

受理された論文の大まかな内容は次回の記事でご紹介する予定です。
お楽しみに。


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2016-10-08 (Sat)
昨日(10月8日)、当研究所から車で数分のところにある小規模な水辺に、カメラをぶら下げて出かけました。

トンボはいないかと、目を凝らしていると、アキアカネSympetrum frequens (Selys, 1883)の連結態が1ペア、心なしかふらふらと飛んできて、ヒメガマの茂みのはずれにある枯葉にとまりました(写真1)。

アキアカネに組みついたコモリグモの一種(1)
写真1.アキアカネSympetrum frequens の連結態(クモがとりついている) (クリックで拡大)

早速カメラを向け、ピントを合わせながら繰りかえしシャッターを押しました。
それと同時に、ファインダー越しに、♀の頭部・胸部付近にクモが1匹からんでいることにすぐ気づきました。

20回ほどシャッターを押したところで、♂に促されるように、このペア―はクモが取りついた状態のまま飛び上がり、どこかへ飛んでいきました(この間、1~2分経過)。

撮影中、その♀に元気がないことにも気づきましたが、ファインダー越しでは細かいところがよくわからず、♀がクモをかかえているのか、それとも逆に♀がクモにとりつかれているのかは、帰宅後の現像の際に確認することにしました。

帰路、同行者(家人)曰く、「クモの巣にかかった♀とつながったんじゃない?」。
私、 「そうかな?連結中に♀がクモを捕まえたのかもしれないよ。ま、翅にクモの糸がついてれば、そのとおりだな。」

というわけで、現像してみました。
冒頭の写真1は、撮影開始から4回目のシャッターでとらえたものです。
下の写真2は、その2回後のシャッターでとらえたほぼ同一のシーンをクロップしたものです。

 アキアカネに組みついたコモリグモの一種(2)
写真2.同じアキアカネ連結態で、クモがとりついている部分を拡大(観察初期) (クリックで拡大)

ご覧のように、クモは♀の頭部から翅にかけての背面にとりついています。
そして、♀の首が180℃ねじれている状態で連結している♂の腹部先端をもクモが左右の第1、第2脚でかかえています。

ですので、♀はねじられた首のまま、背面飛行をさせられる形で♂の連結飛行にお付き合いしていたことになります。
お付き合いといっても、♀はすでに意識不明のようで、断続的に撮影した最初から最後までの1,2分の間、♀の脚や翅の位置に変動はありませんでした。
このことは、写真2と、下の写真3(このペアが撮影場所から飛び立つ直前に撮影)を比べていただけると確認できるでしょう。

アキアカネに組みついたコモリグモの一種(3)
写真3.同じアキアカネ連結態(観察末期;写真2から1~2分経過) (クリックで拡大)

それに対してクモの脚は、よく見ると最初(写真2)と最後(写真3)とで以下のように微妙に動いていることがわかります。

写真2のクモの脚の位置
      → 写真3のクモの脚の位置
右第1脚が前方に伸びていて、見えている。
      → 右第1脚が左第2脚の反対側から♂の腹をはさむ。
左第1脚の先が♂の腹の右側面
      → 左第1脚の先が♂の腹の左背面
左第2脚がより折れ畳まれている
      → 左第3脚が♀の左中脚の脛節をかかえている。
左第3脚がより折れ畳まれている
      → 左第4脚の先は♀の左前翅の後縁にかかている。
右第4脚が浮いている
      → 右第4脚がトンボについている

このことから、♀は死んでいるか、それに近い状態であること、そしてクモは生きて活動的な状態であることがわかります。

したがって、現像前に想定した二つの選択肢
♀がクモをかかえているのか、
♀がクモにとりつかれているのか、
に関しては、後者であったことが確認できたことになります。

もう一つの対立点、すなわち、
クモの巣にかかった♀に♂が乗りかかって連結したのか、
すでに連結中の♀がクモを捕まえたのか、
については、後者はすでに棄却されていて、前者の可能性は残されます。

もし、♀の翅にクモの糸が付着していれば、前者の可能性がぐんと高くなるはずです。
そこで、写真2を見ると、なんとクモの糸のようなものが着いているではありませんか。

クモ類図鑑の手持ちがありませんので、ネット検索で似たクモを探したところ、タナグモ科の種と今回撮影したクモの雰囲気が似ていました。
タナグモ科は造網性ですので、この時点での私の暫定的な結論は、
「クモの巣にかかった♀(まだ生きていた)にこの♂が連結してゲットし、そのときに、クモがこの餌食は渡さないぞとしがみついた」
というものになりました。

この観察・現像の経緯と同じ写真3点を添えて、昆虫関係のフェイスブックに投稿したところ、「第三の予想」がコメントというかたちで提出されました。

愛媛県の飯田貢さん:
「脚の毛等を見ると徘徊性のクモのような気がします。私の考えるシナリオは交尾態のペアが葉に止まったところを背後からクモに襲われたのではないかと…雌は胸部と腹部の付け根辺りが葉に近い状態で止まるので葉の裏に隠れているクモはアタックし易いのではないか」

神奈川県の尾園暁さん:
「水田や湿地に多いコモリグモの一種に見えます。僕が観察した事例では、連結産卵中のメスにクモが地面から飛びつき、この写真と同じような状態になりました。」

尾園さんはその時の写真(すでに尾園さんのブログ「湘南むし日記」に報告済み)へのリンクも添えてくれました。
http://blog.livedoor.jp/photombo/archives/1585425.html

その写真は、クモが♀の胸部左側面からしがみついている点と、♀の首の捻じれが135℃程度なのを除けば、私が撮影したペアとほぼ同じ状況です。
しかも水田で産卵動作中のアキアカネペアへのクモのしがみつきという決定的な瞬間を捕えています。
さすがプロの昆虫写真家。脱帽です。

フェイスブックへの投稿と前後して、私が写したこのクモの種または属の名前を正確に知るために、『クモの巣と網の不思議―多様な網とクモの面白い生活』(夢工房より増補復刻版)の編著者である、池田博明氏に、写真を添えて判断を仰ぐメールを差し上げたところ、次のようなご回答とブログへの転載許可をいただきました。

「コモリグモ科のオオアシコモリグモ属Pardosaの一種で、本州産なら頭胸部の色彩と斑紋から普通種のキクヅキコモリグモと同定できます。」
「コモリグモは網を張らない徘徊性のクモなので連結しているペアの♀にクモが取り付いてかみつき、♀の麻痺が始まった状態であったと思います。」
「このクモではかみついた後で獲物を糸で巻くので糸はその作業で付いたものと思われます。クモにとっては自分が取り付いた♀に♂が連結していて飛行まですることは予想外だったのではないでしょうか。」

クモの専門家による的確な教示と、昆虫写真家による類似事例の紹介を得たことで、撮影・現像時に浮かんだ疑問や誤った推測がそのまま持ち越されることなく、たった2日間で完全整理し、クモの習性についての目から鱗の知見を得ることができました。

このとにより、友人(飯田さん、尾園さんとはトンボ研究・撮影の仲間、池田さんとは大学の学科の同窓)の有難さと、SNSをはじめとしたインターネットによる情報交換の普及の恩恵を再認識した次第です。

池田さんならびにSNSでコメントいただいた飯田さん、尾園さんほかの皆さんに、この場をお借りして感謝したいと思います。


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