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2017-01-08 (Sun)
正月7日の正午前、好天無風の公園で、ナミアメンボ(アメンボ)Aquarius paludum (Motsclsky, 1866)を見つけました(下の写真、再掲)。
前回の記事の続きです。

ナミアメンボ170107 
写真:ナミアメンボ(アメンボ)Aquarius paludum (Motsclsky, 1866)(クリックで拡大します)

一番長い中脚を斜め前方に大きく拡げ、次に長い後脚を斜め後方にやはり大きく拡げ、それぞれの脚先の4点で体重全体を支えている様子が伺えます。
それに対して、短い前脚は、雑巾がけをしている人の両手のように、まっすぐよりも少し開き気味にして前方に向けています。
触角は、水面に触れることなく、若干左右に広げて外側にカーブさせる形に保持しています。

池が浅く、底面が淡褐色系の明るい色をしているので、脚の先が水面をへこませるためにできる
六つの大きな影がよく見えます。

下の写真には、この影をつくる水面の凹み具合が写っています。

ナミアメンボの脚と水面 
写真:ナミアメンボ(アメンボ)の脚先がつくる水面の凹みと、底にできた影

脚先が水面を凹ませることで、その凹んだ部分に真上から差し込む太陽光線は、凹みの中心から離れる方向に屈折しますから、もし凹みができなければ真っ直ぐ底に差し込んだはずだった光線が、中心を頂点とする円錐形の陰を作り出すことになります。

円錐形の陰が凹んだ水面の下側に形成されていることは下の写真からも裏付けられます。

ナミアメンボがつくる水中の陰 
写真:ナミアメンボ(アメンボ)の脚先がつくる水面の陰は円錐形に拡がる

上の写真では、このアメンボは、右斜め上に写っているやや大きい石(水中で斜面を作っている)に向いた方向に水面に浮かんでいます。
そして、浅いほうの中脚の水面の凹みの影は小さく、深いほうの後脚の水面の凹みの影は大きくなっていることがわかります。

もう一つ付け加えれば、水面の凹みは、チューリップの花びらの内側のように空気面方向に湾曲しているのではなく、アサガオの花の内側のように水面方向に湾曲していると考えられます(すなわち、脚がつくる水面の凹みは外側にいくほど水平に近づく)。
その結果、水底にできる水の凹みの蔭の縁には、より凹みの中央に近いところに入射した太陽光が集まることになり、影どころか、むしろ明るい輪をつくりだすことになります。
上の3枚の写真に見られる、影の周りの明るい輪は、これで説明できるのではと思います。

別の写真(下)ではその凹んだ水面が、プリズム効果による虹色を作り出しています。

ナミアメンボの脚先がつくる水面のプリズム 
写真:ナミアメンボ(アメンボ)の脚先がつくる水面のプリズム

これは、水底の白っぽい色の底質から反射する光が、脚によってできた凹みのところで屈折する際に、波長(赤では長く、紫では短い)による屈折率の違いがあることによって作り出した虹色であると考えらえます。

脚がつくる水面の凹みについてはこのくらいにして、次は前脚のしぐさについてです。
下の写真では、少し開いていたはずの左右の前脚を閉じて何か挟んでいるように見えます。
しかも、触角のうちの1本(左のほう)がその両脚に挟み込まれています。

ナミアメンボ、前足で何かを挟む? 
写真:ナミアメンボ(アメンボ)、前足で何かを挟む?

アメンボが水面に浮かんだ餌動物を捕食する際は、前脚で餌食を挟み付け、太い口器を差し込むようにして体液などを吸い取るのですが、上の写真にはそれらしいものは写っていません。
きっと、何か気になる有機物の塊か何かを感知しての反応なのでしょう。

撮影データに残る時刻とフレーム数から推定して、この前脚閉じは、数秒からせいぜい10秒程度の間の出来事であったことがわかりました。

さて、この日は晴天無風、最高気温が10℃を超えましたが、正午頃、同じ公園の横を流れる水路の日陰部分にはまだ解け残った氷があり、カルガモAnas zonorhyncha Swinhoe, 1866の夫婦もとまどった様子でした(下の写真)。

カルガモの夫婦と水面の氷 
写真:カルガモAnas zonorhyncha Swinhoeの夫婦と水路の氷


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2017-01-07 (Sat)
正月7日、最高気温10度超え予想の好天無風に誘われて、久しぶりにカメラをぶら下げて外出しました(※追記あり)

といっても、歩いて10分程度の、近くの公園です。
そうそう、マダラスズ君のいた公園。

10度超えといっても、1月です。
やはり、公園内外の日の当たる植え込みや立ち木の枝葉をしげしげと見ても、虫たちの姿はありません。セミの抜け殻がしぶとく残っているのは見つけましたが。

しかし、とうとういました。
少し流れのある小さな池の水面にアメンボが1匹。

そばを歩きすぎる人の視線もものかは、マニュアルフォーカスリングをあれこれ動かしながら、シャッターを連写しました。
丁度100枚くらい写した中から選んだ1枚がこれです(下の写真)。

ナミアメンボ170107 
写真:ナミアメンボ(アメンボ)Aquarius paludum (Motsclsky, 1866)(クリックで拡大します)

アメンボはまったくの専門外ですので、書斎から宮本正一氏(1961)の『日本昆虫分類図説 第1集第3部 半翅目・アメンボ科』を引っ張り出し、不足のところはネット検索などもしながら、これがナミアメンボ(アメンボ)Aquarius paludum (Motsclsky, 1866)であることを確認しました。

観察したときの様子は次回記事に譲るとして、以下に、ナミアメンボと同定した際に利用した検索表(抜粋)を添えておきます。


☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

アメンボ科アメンボ亜科検索表(抜粋) 
 ~撮影した個体をナミアメンボと同定する際に参照した部分を、宮本(1961)から抜粋(一部表現を変更・追加)~

1a。体の背面の光沢が強い。  →  セスジアメンボ属Limnogonus参考画像a[外部リンク])> セスジアメンボLimnogonus fossarum (Fabricius,1775)ほか

1b。体の背面の光沢が強くない(参考画像b[外部リンク])。 → 


2a。腹部末端(第7腹板側板の後側角部)が棘状でない(参考画像c[外部リンク])。触角第1節が第2+3節より短い(参考画像d[157頁左下図][外部リンク]。) → ヒメアメンボ属Gerris  ヒメアメンボGerris lacustris (Miyamoto, 1958)ほか

2b。腹部末端(第7腹板側板の後側角部)が棘状(参考画像c[外部リンク])。触角第1節が第2+3節以上(参考画像d[157頁左下図][外部リンク]) → アメンボ属Aquarius → 


3a。大型19-26mmで脚が特に長い。中脚、後脚は非常に細長い(参考画像e[外部リンク])。 → オオアメンボAquarius elongatus (Uhler,1896) 

3b。中型11-16mmで脚が非常に細長いことはない。 → ナミアメンボ(アメンボ)Aquarius paludum (Motsclsky, 1866)


☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

参考文献
宮本正一、1961:日本昆虫分類図説 第1集第3部 半翅目・アメンボ科。北隆館。

☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆  ★  ☆

参考画像
参考画像a:
源五郎:水辺の生き物彩々「ヒメセスジアメンボ」

参考画像b: 
Naturalism notebook:自然観察雑記帳「ナミアメンボ」

参考画像c:
シバラボ:アメンボ研究室「ヒメアメンボ」。

参考画像d:
中谷憲一:日本産陸水生アメンボ科成虫の絵解き検索。環動昆第12巻 第 4号‘ 155-161 (2001) 。

参考画像e:
シバラボ:アメンボ研究室「オオアメンボ」。


※追記(1月8日):1月7日の直近のアメダスポイントのデータで、最低気温は-3℃、アメンボ観察時点の気温は5℃、最高気温は8℃でした

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2017-01-05 (Thu)
謹賀新年。

トンボ自然史研究所、年賀2017 
 左:四万十市トンボ王国の四万十川学遊館。
 上:磐田の桶ヶ谷沼ビジターセンタ―。
 下:グンバイトンボ♂(四国で撮影)。

昨年一年間のご愛読を有難うございました。

今年も、自己研鑽を積みながら皆様に親しまれる記事を書いていきたいと思います。

皆様もそれぞれの分野でご活躍ください。

2017年元旦

トンボ自然史研究所
代表 生方 秀紀


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