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2017-04-19 (Wed)

川岸の上をスクランブル飛行するウスバキトンボ Pantala flavescens (Fabricius, 1798)たちです(写真1)。


ウスバキトンボの群飛、四国、6月中旬 
写真1.ウスバキトンボの群飛 Pantala flavescensの群飛

昨年6月19日に四国で撮影したものです。
翅の位置取りや動作を可視化するために、輝度を下げ、コントラストを上げています。
動体の撮影不慣れなため、ピントは激甘です。

ウスバキトンボについては、当ブログに次のような過去記事があります。
よろしければ御笑覧ください。

このほか、
という紹介記事もあります。

その新井さんが、今年もウスバキトンボの初見日を集約するそうです。
全国ウスバキトンボ初見日調査:

今年、すでに沖縄で1月に、鹿児島、千葉の両県で4月中旬に見たという報告が寄せられているそうです。
2017年度ウスバキトンボ初見日速報 4月18日更新:

トンボを観察しておられる方がおられましたら、ご自身の初見日を新井さんにレポートされてはいかがでしょうか? 

ちなみに、昨年の集約結果は下記サイトで閲覧可能です。
全国一斉ウスバキトンボ調査報告書 2015:


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2017-04-09 (Sun)
前回の記事「世界のグンバイトンボ類、軍配サイズ番付」で公表した「世界のグンバイトンボ類、軍配サイズ番付」では、ラオス産のグンバイトンボ属の種、Platycnemis phasmovolans Hämäläinen, 2003(図1、2;再掲)が見事、東の正横綱の地位を確保しました。

Platycnemis phasmovolans _ photo taken by Dr Matti Hamalainen 
図1.Platycnemis phasmovolans, photo taken by Dr. Matti Hämäläinen. 
   (Platycnemis phasmovolans♂の標本写真。Dr. Matti Hämäläinen提供)
  (写真はクリックで拡大します)

Platycnemis phasmovolans, teneral male _ photo taken by Dr Matti Hamalainen
図2.Platycnemis phasmovolans teneral male, photo taken by Dr. Matti Hämäläinen.
  (Platycnemis phasmovolans未熟♂の貴重な生態写真(Dr. Matti Hämäläinen提供)。 


そこで、今回は、この種を新種として記載した、Matti Hämäläinen博士が、このトンボと出会ったときの生き生きとした印象をその記載論文(Hämäläinen, 2003)からご紹介します。

「横井博士の助けを借りて、私は2002年の4月末、ベトナム国境付近の2,3の小川を訪れることができた。」

Platycnemis属のこの新しい種と私の最初の出会いは、私のこの訪問中のもっともスリリングなものであった。」

「小川の薄暗いブッシュの中で、私はとてもゆっくりとダンスをしながら近づいてくる白い団扇の一群を目にした。」

「はじめは、このゴーストのようなものが何なのか分らなかったが、その後、近ずいたことで、それがとてつもなく幅広い脛節をもつイトトンボだと分かった。」

「横井博士は2001年5月に、すでにこれと同じ種の若干の標本を同じ小川から得ていた。」

「彼は、この魅惑的な昆虫―空飛ぶゴースト―を私が記載することを承諾してくれた。心より感謝する。」

「この種の脛節は、Platycnemis phyllopoda Djakonov, 1926, グンバイトンボP. foliacea Selys, 1886 およびマダガスカルのP. alatipes McLachlan, 1870のそれよりも、比率上ずっと幅広い。」

この論文を書いた時点で、Hämäläinen博士はPlatycnemis phasmovolansの軍配サイズを横綱級と認定していたことになります。

前回記事で、私が網羅的に同属種(他属へ移行した種を含む)の軍配サイズを調べ、リンク付きで紹介しましたが、これを読まれたHämäläinen博士から、
「あなたが列挙したリンクによりいくつかの興味深い写真、たとえばP. alatipesを見られるのは楽しい」、
という言葉を頂きました。

Hämäläinen博士の著作からは、私も学ぶところが多く、これからも交流させていただくつもりです。

Platycnemis phasmovolansの写真の当ブログへの掲載を許可されたHämäläinen博士にあらためてお礼申し上げます。


種の学名の語源(Hämäläinen, 2003)
「Phasma(ギリシャ語の「ゴースト」)+volans(ラテン語の「飛行」)。」
「極端に幅広い白い羽のような脛節をもつ♂がゆっくり飛行している際のゴーストのような印象から。」


引用文献:
Hämäläinen, Matti (2003): Platycnemis phasmovolans sp. nov.—an extaordinary damselfly from Laos with notes on its East Asian congeners (Odonata: Platycnemididae). TOMBO, Matsumoto, 46 (1/4): 1-7. 


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2017-04-01 (Sat)
(この記事の正しい公開日は、2017-04-08 (Sat)です。)


前回の記事「グンバイトンボの軍配は何のため?」では、日本産のグンバイトンボPlatycnemis foliacea Selys, 1886の♂の中脚、後脚の脛節が軍配のように扁平に拡がっていることに注目し、若干の考察をしました。

属の学名Platycnemisの語源が「 扁平な(よろいの)すね当て」であるだけに、グンバイトンボ以外の同属種の中には、グンバイトンボに負けず劣らず立派な「すね当て」を持つ種がいくつか含まれています。

そこで今回は、モノサシトンボ科PLATYCNEMIDIDAEのうち、グンバイトンボ属 Platycnemis Burmeister, 1839に属する種、およびそこから別属Proplatycnemis Kennedy, 1920およびMatticnemis Dijkstra, 2013に移籍された種について、主としてインターネット上の画像を参照し、軍配サイズを比較して見た結果から、相撲の番付風にランキングを試みます。

「軍配サイズ」は、脛節の最大幅を最大長で割った値(幅率)を指すこととし、幅率がより高いほうに「軍配」を挙げることにします。

ランキングに際しては、一般に後脚にくらべて幅率が高い、「中脚の幅率」の値を第一に参照し、それが同等の場合に後脚の幅率を参照することにしました。

属への所属、synonym(同物異名)の取り扱いを含む分類体系は、World Odonata List (https://www.pugetsound.edu/academics/academic-resources/slater-museum/biodiversity-resources/dragonflies/world-odonata-list2/)(2017.4.8.現在)に依拠しました。

画像のうち、Platycnemis phasmovolans Hämäläinen, 2003については、種を記載したDr. Matti Hämäläinenのご厚意により、当ブログへの掲載のための画像データをお送りいただいたものです。
ここに記して感謝いたします。


蒙御免「世界のグンバイトンボ類、軍配サイズ番付」
     行司:生方秀紀(トンボ自然史研究所)


東正横綱:

Platycnemis phasmovolans Hämäläinen, 2003
 中脚幅率=0.46; 後脚幅率=0.40
 参照した画像:
  Dr. Matti Hämäläinenご提供の標本画像データ(図1)。

Platycnemis phasmovolans _ photo taken by Dr Matti Hamalainen 
図1.Platycnemis phasmovolans, photo taken by Dr. Matti Hämäläinen. 
   (Platycnemis phasmovolans♂の標本写真。Dr. Matti Hämäläinen提供)
  (写真はクリックで拡大します)

Platycnemis phasmovolans, teneral male _ photo taken by Dr Matti Hamalainen 
図2.Platycnemis phasmovolans teneral male, photo taken by Dr. Matti Hämäläinen.
  (Platycnemis phasmovolans未熟♂の貴重な生態写真(Dr. Matti Hämäläinen提供)。 


西正横綱:

Proplatycnemis alatipes (McLachlan, 1872)
            Psilocnemis alatipes McLachlan, 1872*
  (*種記載時点(属の所属変更前)の学名。以下同様)
 中脚幅率=0.42(最大0.47) ; 後脚幅率=0.43(最大0.49)
 参照した画像のURL:


大関:

Platycnemis foliacea Selys, 1886 グンバイトンボ
 中脚幅率=0.36; 後脚幅率=0.31
 参照した画像:
 当ブログの前回記事で使用した写真(再掲;図3):

グンバイトンボ♂体前部拡大 
図3.グンバイトンボPlatycnemis foliacea Selys, 1886 ♂(生方秀紀撮影)。

Platycnemis phyllopoda Djakonov, 1926
            Syn Platycnemis ulmifolia Ris, 1930 ←synonym(同物異名)とされた学名(以下同様)
            Syn Platycnemis hummeli Sjöstedt, 1933
 中脚幅率=0.30; 後脚幅率=0.31
 参照した画像のURL:


張出大関:

Proplatycnemis hova (Martin, 1908)
            Platycnemis hova Martin, 1908
 中脚幅率≒0.33; 後脚幅率≒0.26
 (不明瞭な画像の向こう側の脚で計測したため、脛の長さが不確か)
 参照した画像のURL:


関脇:

Proplatycnemis pembipes (Dijkstra, Clausnitzer & Martens, 2007)
            Platycnemis pembipes Dijkstra, Clausnitzer & Martens, 2007
 中脚幅率=0.25; 後脚幅率=0.25
 参照した画像のURL:

Proplatycnemis malgassica (Schmidt, 1951)
            Platycnemis malgassica Schmidt, 1951
 中脚幅率=0.26; 後脚幅率=0.16
 参照した画像のURL:


小結:

Platycnemis latipes Rambur, 1842
            Syn Platycnemis mauriciana Selys, 1863
 中脚幅率=0.23; 後脚幅率=0.18
 参照した画像のURL:


前頭:

Platycnemis pennipes (Pallas, 1771)
            Libellula pennipes Pallas, 1771
            Syn Agrion platypoda Vander Linden, 1823
            Syn Puella nitidula Brullé, 1832
 中脚幅率=0.19; 後脚幅率=0.19
 参照した画像のURL:

Platycnemis dealbata Selys in Selys & Hagen, 1850
            Syn Platycnemis syriaca Hagen in Selys, 1850
 中脚幅率=0.19; 後脚幅率=0.16  
 参照した画像のURL:

Matticnemis doi (Hämäläinen, 2012)
            Platycnemis doi Hämäläinen, 2012
 中脚幅率=0.19; 後脚幅率=0.11
 参照した画像のURL:

Proplatycnemis sanguinipes (Schmidt, 1951)
            Platycnemis sanguinipes Schmidt, 1951
 中脚幅率=0.16; 後脚幅率=0.14
 参照した画像のURL:

Proplatycnemis agrioides (Ris, 1915)
            Platycnemis agrioides Ris, 1915
 中脚幅率=0.16; 後脚幅率=0.12
 参照した画像のURL:


十両以下:

Platycnemis acutipennis Selys, 1841
            Syn Platycnemis algira Kolbe, 1885

Platycnemis echigoana Asahina, 1955 アマゴイルリトンボ
 参照した画像のURL:

Platycnemis kervillei (Martin, 1909)
            Psilocnemis kervillei Martin, 1909
 参照した画像のURL:

Platycnemis subdilatata Selys, 1849
 参照した画像のURL:


休場:
(参照画像が見つからず、番付から暫定的に除外)

Platycnemis foliosa Navás, 1932

Platycnemis oedipus (von Eichwald, 1830)
            Agrion oedipus von Eichwald, 1830)

Platycnemis pierrati (Navás, 1935)
            Copera pierrati Návas, 1935

Platycnemis pseudalatipes Schmidt, 1951

Proplatycnemis aurantipes (Lieftinck, 1965)
            Platycnemis aurantipes Lieftinck, 1965

Proplatycnemis longiventris (Schmidt, 1951)
            Platycnemis longiventris Schmidt, 1951

Proplatycnemis melana (Aguesse, 1968)
            Platycnemis melanus Aguesse, 1968

Proplatycnemis protostictoides (Fraser, 1953)
            Platycnemis protostictoides Fraser, 1953

以上です。
お愉しみ頂けたとしたら幸いです。

なお、以上のランキングはいずれの種もわずか1個体の画像について、それを画面上で拡大して計測したものですので、個体変異、地理的変異、病変、撮影角度、撮影機材のくせなどによる変動をともなっています。

したがって、今後、各種ごとに十分なサンプル量をとってその平均値同士を比較することで、より正確なランキングが得られるでしょう。
地理的変異、個体変異が著しいものについては、それらを特別扱いする必要も生じるかもしれません。

私としても、今後、追加や修正を迫るようなデータが得られましたら、番付表を改訂していきたいと思います。

読者の皆さんも、何かお気づきのことがありましたら、コメント等でお知らせください。


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