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2018-09-24 (Mon)
今年6月中旬の、関東地方平野部の沼でのトンボ観察に関するシリーズ記事「平野部の沼、初夏のトンボ」、今回は、同じ沼で2日間に観察されたコシアキトンボ Pseudothemis zonata (Burmeister, 1839)をとりあげます。

目 次
 ◆最初のトンボはコシアキトンボのパトロール♂
 ◆産卵する♀の姿勢に注目!
 ◆過去記事「コシアキトンボの産卵」との比較
 ◆なわばり占有♂の静止姿勢
 ◆コシアキトンボの採餌行動
 ◆今回観察を行った沼の景観(再掲)
 ◆謝辞


最初のトンボはコシアキトンボのパトロール♂

アオヤンマの観察を主目的に訪れたこの沼の岸辺で、最初に目に入ったトンボはコシアキトンボ1♂でした(午前10時30分)。

岸に沿って移動しつつ、「これは」という場所でアオヤンマの出現を待っていた私の前に、再びコシアキトンボ♂が現れました(写真1)(11時31分)。

コシアキトンボ♂ 
写真1 コシアキトンボ Pseudothemis zonata ♂、パトロール (トリミング・画像調整後)(写真はクリックで拡大します)

この♂も、ヒシ類などの浮葉植物帯の上空を、ホバリングを繰り返しながら抽水植物帯に沿ってパトロールていました。


産卵する♀の姿勢に注目!

11時34分、同じポイントで、今度はコシアキトンボ♀が産卵をしていました(写真2)。

コシアキトンボ、産卵 
写真2 コシアキトンボ Pseudothemis zonata、産卵 (トリミング・画像調整後)

この♀の産卵行動を狙った、14秒間24ショットの写真の中から、打水の瞬間4ショットを選んだものが写真3a~dです。

コシアキトンボ、産卵、時系列順 
写真3a~d コシアキトンボ Pseudothemis zonata 、産卵、時系列順 (トリミング・画像調整後)

写真3a~dを比べて見ると、打水の瞬間の翅胸部の水面からの高さが、意外に変化に富んでいることがわかります。

とでは2倍くらいの高さの違いがあります。

また、翅胸と頭部を貫く体軸の水平面に対する角度も、時によって変わり、とでは60度くらいの差があります。

ただし、この角度は、これから打水しようとしている際の角度と、打水直後に上昇しようとしている際の角度の相違に過ぎないかもしれません。

動画を撮影してスロー再生すれば、この異なる解釈のいずれが真実に近いかが、判断できるでしょう。

機会があったら挑戦してみたいと思います。


過去記事「コシアキトンボの産卵」との比較

本種の産卵の特性について、過去記事「コシアキトンボの産卵」でもかなり詳しく論じています。

その中で筆者(つまり私)は、本種の産卵を以下の基本動作の繰り返しととらえています。
「(1)卵を産み付ける水草の塊をジッと見据えて、適切な卵の産み付けポイントの見当をつける。
(2)勢いよく体を押し下げ、同時に腹先を折り曲げ、腹先をそのポイントに打ち付けようと準備する。
(3)卵を水草に押し付けるように産み付ける。」

その上で、
「コシアキトンボは水面上だけでなく、水面につかず離れずのように沈んでいる植物体にも卵を産み付けます。しかし、何もそのようなものがなく、打水したら水底深く沈んでしまうような状況での産卵は、私は今のところ見ていません。」
と述べています。

今回撮影した写真3の4シーンの中では、でこそ水面に浮いた植物の茎に♀の腹端(産卵孔がある)が触れていますが、残りのa~cでは、表面・直下のいずれにも茎・葉などがない水面を、腹端が叩いているように見えます。

ということで、過去記事「コシアキトンボの産卵」で、「(本種♀が単なる打水産卵ではなく)『打草産卵』とでもいえる産卵方式になっています」と書いたのは、少数例から帰納的推論をしたことによる(結果としての)誤謬であり、勇み足でした。

ただし、打水ポイントの直下あるいは斜め下の浅いところには植物の茎が横たわっているのが見えていることから、本種♀がそのような所(遊離された卵が付着しやすい水草のある所)を好んで(絶対にということではないが)産卵するという傾向があるようには(現時点では)思います。


なわばり占有♂の静止姿勢

観察初日の午後の部、アオヤンマ観察の合間に、浮葉植物帯をパトロールした後、岸近くの抽水植物帯のヨシ類の葉先にとまるコシアキトンボ1♂がいました(写真4)(13時52分)。

コシアキトンボ♂ 
写真4 コシアキトンボ Pseudothemis zonata ♂ (トリミング)

ヨシ類の半分巻いた葉を抱えるように、器用にとまっています。

この♂は、34秒後には、隣の株の枯れかかった葉にとまり替えました(写真5)。

コシアキトンボ♂ 
写真5 コシアキトンボ Pseudothemis zonata ♂ (トリミング)

ヨシ類の垂れた葉の枯れた葉先の細まっているところを、左右から挟むようにかかえてとまっていて、まるで滑り台の終端近くに四つん這いになっている子供のような態勢です。

腹端を葉面から浮かせていて、交尾相手になる♀あるいはライバル♂が現れたら即座に飛び立てる態勢です。

しばらくヤンマを目とカメラで追ったあとの14時03分に、このコシアキトンボ♂がいたあたりを見ると、今度はヨシ類のほぼ直立した葉にコシアキトンボ1♂がとまっていました。

コシアキトンボ♂
写真6 コシアキトンボ Pseudothemis zonata (トリミング)

この個体はヨシ類の葉の縁を左右(裏表)から挟み付けるようにとまり、体軸は水平に対してほぼ40度の角度を維持しています。

この10分間に個体の入れ替わりがあった可能性は低いので、写真6の♂はおそらく写真4,5と同一個体でしょう。

偶然ですが、以上写真4,5,6で見たように、同じ個体が同じ時間帯に、水平に対して様ざまな体軸の角度をなすように静止しうることが確認できました。

たしかに、なわばりを見守るに適したとまり位置に用意されているとまり場所は、様ざまな態様をなしており、トンボのほうも好き嫌いを言っている場合ではないことが多いと思います。

それを考えれば、このような多様なとまり方は、トンボたちが持つ柔軟な行動戦略の中のカードの1枚1枚だったと言えるでしょう。

裏返していえば、1回や2回の観察や撮影で、「この種のトンボはこれこれのとまり方をする」と半ば断定したような表現をする書き方は、あとでその結論が誤りとわかる危険性を伴うという教訓・自戒ともなります。

※コシアキトンボの腹部の「白帯」の生物学的意義については、過去記事「コシアキトンボ♂」で論じています。一度ご笑覧ください。


コシアキトンボの採餌行動

写真4,5,6を撮影したポイントから岸づたいに数十m移動したところの、低木の細い枝先にほぼ水平にとまったコシアキトンボを見付け、撮影しました(写真7)(15時12分)。

コシアキトンボ♂、林内のギャップ 
写真7 コシアキトンボ Pseudothemis zonata ♂、岸辺の低木にとまる (トリミング・画像調整後)

とまり場所の水面・地面からの高さは3,4mあることから、なわばり監視というよりも、採餌モードにはいっているように見受けられました。

これが初日に見た最後のコシアキトンボとなりました。

翌日の観察2日目、ひとしきりアオヤンマを観察・撮影した後の11時36分頃、写真7の撮影地点を通りかかった際に、コシアキトンボが高さ3~4mのところを飛んでいました。

これも、水面・地面からの高さから考えて採餌行動の可能性が高いと思います。
ちなみに天候は曇っていたものの、雲がそれほど厚くなく、少し明るい感じでした。

11時55分に岸から少し離れた細竹の林の中のギャップ(写真8)の高さ3~4mをコシアキトンボが飛んでいました。

コシアキトンボ、アオヤンマの採餌空間の例
写真8 コシアキトンボ、アオヤンマの採餌空間の例

ついでに言えば、同じギャップの中の高さ4~5mをアオヤンマも通り過ぎていきました。

その後、岸沿いでのアオヤンマの観察を若干行い、昼食休憩に戻る途中の細竹林のこのギャップ(写真8)を通りかかると、コシアキトンボ3個体が高さ4mほどのところを飛び交っていました(写真9)。

コシアキトンボ♂、林内のギャップの空を飛ぶ 
写真9 コシアキトンボ Pseudothemis zonata ♂、林内のギャップの空を飛ぶ (トリミング・画像調整後)

その際に小さな虫を追いかけている場面も見られました。

写真9は、ホバリングなしに飛び回るのを写したため、ピントが甘いだけでなく、高速シャッター(ISO=2000, SS=1/8000)で撮影したために粒子が粗いですが、翅基部の暗褐色斑や脚をしっかり畳んでいる様子は分かります。

※コシアキトンボの採餌(摂食)飛翔については、過去記事「コシアキトンボの摂食飛翔:熟練すること3億年」でも取り上げています。興味のある方は一度ご笑覧ください。


今回観察を行った沼の景観(再掲)

今回観察を行った関東地方平野部の沼の景観がわかる写真を前々回記事から再掲しておきます(写真10)。

アオヤンマほかのトンボが観察された沼 
写真10 コシアキトンボほかのトンボが観察された、関東地方平野部の沼。(前々回記事から再掲)

次回記事では、この沼で見られたその他の種のトンボについて取り上げる予定です。


謝 辞
観察地についての情報を提供された、夏目英隆さんに感謝の意を表します。


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2018-09-23 (Sun)
今年6月中旬の関東地方平野部の沼でのトンボ観察に関するシリーズ記事「平野部の沼、初夏のトンボ」。今回は、第1報の「(1):アオヤンマとの出会い(その1)」に引き続き、観察2日目にに見られたアオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883 (写真1過去記事から再掲)の行動を取り上げます。

それらの行動の中には、観察初日(前回記事)同様のものもあれば、私にとって初めて見るものもありました。

観察順にそれらを記述した後、最後に文献からの情報と照合して、若干の考察を行います。

アオヤンマ♂ 
写真1 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂ (トリミング・画像調整後)(過去記事から再掲)(写真はクリックで拡大します)


目 次
 ◆岸の樹の枝先を覗き込むアオヤンマ♂
 ◆ヨシ・マコモ群落に没入するアオヤンマ
 ◆観察されたアオヤンマ♂の行動を文献と照合
 ◆観察されたアオヤンマ♀の行動を文献と照合
 ◆アオヤンマの未成熟期の行動および採餌行動を文献で探る
 ◆今回観察を行った沼の景観
 ◆謝辞
 ◆引用文献


岸の樹の枝先を覗き込むアオヤンマ♂

観察2日目、午前8時過ぎからこの沼(写真5)での観察を開始し、前日同様に岸のいくつかのポイントのいずれかに張り付いて、アオヤンマの出現を待ちました。

すると、8時58分、ヨシ・マコモ類のゾーン(写真2)(仮称:A地点)にアオヤンマ1♂が現れ、茎頂と水面の中間高度で株間を縫うようた探索飛行を開始しました。

アオヤンマが多く観察された抽水植物群落 
写真2 アオヤンマが多く観察されたヨシ・マコモの類の抽水植物群落 (前回記事から再掲)

もちろん、カメラのレンズを向けて、6秒間に数回シャッターを押しましたが、前日撮影の写真1よりも写りのよいものは得られませんでした。

ただし、その♂は、その‏‎1分40秒後(9時00分22秒)に、私に「おやっ?」と思わせる行動を見せてくれました。

岸辺に立つ広葉樹の枝先に向ってホバリングする行動です(写真3)。

岸の樹枝を探索するアオヤンマ♂ 
写真3 岸の樹枝を探索するアオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂(中央、少し上)(トリミング&画像調整後)

これも、トンボにピントは合っていないのですが、証拠写真として掲げます。

更に、9時13分にも、同じポイントで、アオヤンマ♂が水面から5~6mの高さの樹枝を覗き込みながら、岸に沿って移動して行きました。

そして、9時半にも、高さ10mほどの樹枝を覗き込むアオヤンマが見られました。

この枝先に向ってのホバリングが、♀を探していたものなのか、それとも餌となる昆虫やクモを探していたものなのかについては、確認できませんでした。


ヨシ・マコモ群落に没入するアオヤンマ

10時05分にこのポイント(A地点)での観察を切り上げ、数十メートル移動した先の岸で観察しました。

そこでは、アオヤンマの♀らしい個体がマコモ類群落の水面近くに入り込みました(10時16分)。

見ていた私は、カメラを構えてそーっと近づきましたが、踏み込める範囲からはヤンマの姿は見当たりませんでした。

12時07分から12時40分には、再びA地点で観察しました。

12時24分にも、アオヤンマの♀らしき個体がマコモ類の茂みに入りました。

その後、1分以内に、アオヤンマ♂が現れ、マコモ類のゾーンの外周や、その手前のまばらにヨシの生えた水面上を、何かを探すように飛び、通り過ぎて行きました(写真4)。

アオヤンマ♂ 
写真4 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma 

10分ほど他の岸で観察した後、30分間の昼食休憩をとり、13時21分から再び沼岸に立ちました。

13時30分にはA地点で、マコモ類群落に少し上空から飛び込むように入り込むヤンマが見られました。

これもアオヤンマ♀の可能性があります。

14時40分に、この沼でのトンボの観察を切り上げ、他の生息地に向いました。


観察されたアオヤンマ♂の行動を文献と照合

アオヤンマ♂の配偶行動(なわばり行動、探雌行動など)について、文献(総括的な記述があるトンボ専門図鑑)を参照してみます。

浜田・井上(1985)には、「成熟♂は日中ヨシなどの間を縫うように低く飛んで♀を探す(中略)、♂と出会っても干渉はするが深追いはしない。♀を発見するとつかみかかって空中で交尾態を形成し樹上などに静止する。1時間前後で交尾を完了する(後略)。」とあります。

杉村ほか(1999)には、「縄張りは独立飛翔占有型。成熟♂は沼地にもどり、密生した挺水植物の間をゆっくりと低く飛んでパトロールし、♀をさがす。(中略)ほかの♂とであうと争うがあまり深追いはしない。(中略)広々とした湿地のなかをやや高く広範囲に旋回飛翔して、あたりをみまわることもある。(後略)」とあります。

尾園ほか(2012)には、「成熟♂は抽水植物の間を縫うように探雌飛翔し、♀を見つけるとただちに連結して交尾態となり、周辺の植物に静止する。(後略)」とあります。

以上のことから、今回、2日間に観察された、ヨシ・マコモ類のゾーンで株間を縫うように飛んだ♂は間違いなく、探雌飛行であるといえます。

さらに、初日に観察された、乾いた草むら内の探索も、二日目に観察された沼岸の樹枝の探索も、♂の探雌飛行に該当する可能性が高いといえます(ただし、特に樹枝の探索は、餌探し行動の可能性も排除できません)。

結果として、一度も交尾が観察できなかったのは、少々残念でしたが、またこの沼を訪れるモチベーションを高めてくれた、と前向きにとらえることにします。


観察されたアオヤンマ♀の行動を文献と照合

アオヤンマ♀の行動(産卵行動)についての、文献参照の結果は以下の通りです。

浜田・井上(1985)には、「交尾を完了すると♀は単独でマコモの葉やヨシの茎などに産卵する。(後略)」とあります。

杉村ほか(1999)には、「産卵は単独静止型。密生するヨシやマコモの茎あるいは葉の生体組織内へ産む。(中略)1回の産卵で1本のヨシの茎に数個の産卵痕をつけ、付近のヨシ3,4本に産卵するのを観察したことがある。(後略)」とあります。

尾園ほか(2012)には、「(産卵は)♀単独でヨシやマコモの茎につかまり(中略)、茎内に多くの卵を産みこむ。下方へあとずさりしながら産卵する(中略)。水面から1m以上の高さで行うことも多い。(後略)」とあります。

産卵が単独♀によって、密生する抽水植物群落の中で、その茎や葉の中に行われることは、以上のように文献にも示されています。

このことからも、今回観察された、アオヤンマの単独個体がマコモ類群落内に没入し、観察者から姿が見えなくなった行動は、♀が産卵行動に入る直前の行動と考えて、ほぼ間違いないでしょう。

産卵についても、交尾同様、今回の2日間の観察機会に遭遇することができなかったのは、私の根性不足もあったかもしれません。

抽水植物ゾーンを掻き分けて産卵場所にもっと近づけば、あるいは観察できたかもしれません。

しかし、それは穿いている胴付長靴ごと私が沼の底にはまって動けなくなる危険性を伴い(それに備えてポリパックに入れた携帯電話を胸のポケットに忍ばせてはいましたが)、それに加えて、植生ゾーンに損傷を与えることにもなりかねません。

このような言い訳をするよりも、来シーズン以降、適切な時期を判断して沼を訪れ、粘り強くその機会を待つという方針を固める方がベターでした。
はい、それで行きたいと思います。


アオヤンマの未成熟期の行動および採餌行動を文献で探る

アオヤンマの未成熟期(正確には前生殖期 pre-reproductive period)の行動、および採餌行動についての、文献参照の結果は以下の通りです。

浜田・井上(1985)には、「若い個体は羽化地の近くにいるものが多い。」とあります。

杉村ほか(1999)には、「未熟個体は羽化場所に隣接した背丈の高い草むらでみつかることが多い。成虫には弱いたそがれ活動性も知られ、しばしば(中略)夕方に摂食飛翔するのが観察される。」

尾園ほか(2012)には、「(成熟♂は)大変獰猛で、トンボなどの大型昆虫や(中略)、網を張るクモを(中略)捕えることもある。(中略)薄暮時には活発に摂食飛翔する。」とあります。

これらの記述を参考にすると、アオヤンマ♂が乾いた草むらの中を念入りに探し回ったのは、まだ未熟さの残る♀を交尾相手として探索した可能性があります。

もしかすると、成熟した♀もそのような草むらで休息をすることがあるのかもしれません。

これについては、今後の観察、追加の文献情報に待ちたいと思います。

今回観察された、樹木の枝先を♂が覗き込む行動は、♀の探索ともとれますし、樹枝に張りめぐらされたクモの網に、獲物であるクモがとりついていないかを探す採餌行動ともとれます。

これも、今後の宿題となりました。

さらに薄暮時や薄明時の、しばしば他種のヤンマと交錯しながらの たそがれ飛翔についても今回は観察せずじまいでしたので、機会があれば挑戦したいと思います。


今回観察を行った沼の景観

今回観察を行った関東地方平野部の沼の、景観がわかる写真を再掲しておきます(写真5)。


アオヤンマほかのトンボが観察された沼 
写真5 アオヤンマほかのトンボが観察された、関東地方平野部の沼。(前回記事から再掲)

アオヤンマについては今回ですべて報告しましたので、次回記事ではこの沼で見られた他種のトンボについて取り上げる予定です。


謝 辞
観察地ならびにアオヤンマの生態についての情報を提供された、夏目英隆さんに感謝の意を表します。


引用文献:

浜田 康・井上 清 (1985)  『日本産トンボ大図鑑』。講談社。

尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』。 文一総合出版。

杉村光俊・石田昇三・小島圭三・石田勝義・青木典司 (1999) 『原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑』。北海道大学図書刊行会。


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2018-09-19 (Wed)
今年6月中旬に関東地方平野部の沼を訪れ、私とは初対面となるアオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883 (写真1前々回記事から再掲)ほかのトンボを観察することができたので、アオヤンマを手始めに簡単に報告します。

アオヤンマ♂ 
写真1 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂ (写真8をトリミング)(前々回記事から再掲)(写真はクリックで拡大します)


目 次
 ◆アオヤンマへのあこがれ
 ◆アオヤンマとの出会い
 ◆水気のない草むらにアオヤンマがやってきた
 ◆アオヤンマ♂の草むら潜行飛行の意味
 ◆アオヤンマが口に何かをくわえている
 ◆本格的な探雌飛行を激写
 ◆謝辞
 ◆引用文献


アオヤンマへのあこがれ

ヤンマ科 AESHNIDAE の成虫の外見は、皆、いかにもヤンマという雰囲気を共有していますが、よく見ると、属ごとに微妙な形態の相違が見られます。

前々回記事「日本産ヤンマ科全9属の代表、オンパレード(系統順)」および前回記事「日本産ヤンマ科全9属の代表、顔見世(系統順)」に、日本産ヤンマ各属の外見上の相違を写真つきでまとめ、さらに系統樹の中にも位置づけていますので、未見の方はぜひご覧ください。

それらヤンマ類の中で、アオヤンマは、♂♀ともウエスト(腹部第3節)のくびれがなく、寸胴な印象を与えるトンボです。

コシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883)をはじめ、大部分のヤンマの♂には、腹部第3節に明瞭なくびれが有りますので、その点、アオヤンマや同属の種は、ヤンマ科の中では例外的な形をしていることになります。

アオヤンマは色も薄緑色を基調としていて、他のヤンマ類に慣れた目には違和感を感じさせます。

このようなことから、ヤンマといえば、オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856・ルリボシヤンマ Aeshna juncea (Linnaeus, 1758)・イイジマルリボシヤンマ Aeshna subarctica Walker, 1908にほぼ限られた北海道東部に永く住んでいた私にとって、アオヤンマは気になる存在、一度は観てみたい存在でした。

数年前に定年退職し、関東に住むようになると、北海道では見られなかった多様なトンボの種が日帰り圏でも観察可能となり、初対面となるトンボの種に出会うのは私の愉しみの一つとなっています。


アオヤンマとの出会い

そんななか、今夏、虫友の夏目英隆さんから、関東地方某県の平野部の沼でのアオヤンマの生息状況に触れたメッセージを頂き、好天が予想された6月中旬の1泊2日を、その沼(写真2,4)でのトンボ観察にあてました。

観察初日から、アオヤンマと念願の初対面を果たすとともに、他の数種のトンボとあわせて、その生態を垣間見ることができました。

観察初日の未明に自宅を出発して、高速道・一般道をひた走りし、午前10時過ぎ、現地に到着すると、首にはデジタル一眼、腰には(コンデジながら昆虫撮影に特化しているともいえる)TG-5のいでたちで、沼縁へと歩み入りました。

曇り空の下、沼の岸沿いをゆっくり歩きながら水辺方向にアオヤンマらしきトンボの姿を求めました。

10時46分、ついにその姿からしてアオヤンマに間違いない1個体が、抽水植物帯の少しオープンになった水面を飛ぶのを発見しました。

しかしながら、その個体はすぐに姿を消し、撮影には至りませんでしたが、幸先よく、1時間足らずでの最初の出会いとなりました。

岸から少し離れた、細い竹が林立する中の踏み分け道を歩いていると、地上1.5mの高さを1頭のアオヤンマがゆっくり飛び過ぎました(11時03分)。

11時19分に、沼の写真2の岸辺のヨシ・マコモの類の群落上を飛ぶアオヤンマ1個体を見た後、岸沿いに移動した別のポイントで、マコモ類の植生沿いの水面上を低く飛ぶ1個体を見つけました。

反射的に、初めてアオヤンマにレンズを向けてシャッターを切りましたが、結果は予想通り空振り(かろうじてヤンマとわかるボケ具合)でした(11時37分)。

アオヤンマほかのトンボが観察された沼 
写真2 アオヤンマほかのトンボが観察された、関東地方平野部の池。
6‎月‎13‎日、‏‎10:27:40

12時13分には、沼中央の水面上で、ヤンマ類(種名不明)の2個体の間で追い合いがありました。


水気のない草むらにアオヤンマがやってきた

12時半を回ったところで、午前中の観察を切り上げ、沼にほど近い路側帯に停めた車中での昼食休憩に入りました。

その最中、すぐ横の草地に突然アオヤンマがやってきて、草むらすれすれの高さを不規則に飛び回り始めました。

慌ててカメラを手に車を降り、草むらの中を縫うように自在に飛び回るヤンマの姿をレンズで追い、シャッターを押しました(12時58分からの14秒間に10ショット)。

突然の出現ということもあって、焦点が合わない上にシャッター速度の遅さも重なったため、得られたのはご覧のようなピンボケ写真4枚でした(写真3a~d)。

乾いた草むらを縫うように飛ぶアオヤンマ♂ 
写真3a~d 乾いた草むらを縫うように飛ぶアオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂(時系列順)(画像調整後)

本来、人にお見せする出来栄えではないのですが、その時のヤンマの様子を知る上では貴重な証拠となると考え、掲げることにしました。

見づらいとは思いますが、この組写真の各写真の中央に、ほぼ水平の姿勢で飛んでいるのが、その個体です。

黄緑系というより水色系の腹部をし、腹端に向った先細りが一様であることから、♂個体であることがわかります。


アオヤンマ♂の草むら潜行飛行の意味

さて、乾いた草むらを縫うようなこの行動は、何の目的で行われたのでしょうか?

餌となる小昆虫を探すのであれば、もっと広い所を楽に飛び回って探したほうがよさそうに思われます。

また、私のほかに危険な動物は近くにいませんでしたし、私から逃げるのなら草むらから高く舞い上がったほうがよほど安全ですので、天敵から逃れようとしていたのでもなさそうです。

そう考えると、この♂個体は、この草むらの中に交尾相手となる♀がいるかもしれないとみて、探し回っていた、という可能性が残されます。

しかし、この解釈には、「水面のない乾いた草むらに♀が潜んでいるのか?」という難問をふっかけられそうです。

ということで、この草むら潜行飛行の理由は、今後、決定的な観察あるいは文献情報入手があるまでの、宿題とします。


アオヤンマが口に何かをくわえている

13時を回り、雲の隙間から陽が射す中、再び沼岸に向い、写真4のような、ヨシ・マコモの類の抽水植物が疎生するゾーンを見おろす岸辺に立ち、午後の観察を開始しました。

アオヤンマが多く観察された抽水植物群落 
写真4 アオヤンマが多く観察されたヨシ・マコモの類の抽水植物群落
6‎月‎14‎日、‏‎14:01:54

13時49分、その抽水植物ゾーンの頂端付近の高度を飛び回るアオヤンマを発見、急いでカメラを向けました。

直後の35秒間に8ショットしたうちの3ショットは、なんとか証拠写真として使えるものになりました(写真5~7)。

アオヤンマ♂ 
写真5 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂ (撮影時刻:13h:49m:52s)

ヨシ類の草丈よりも少し下のあたりを、飛び回っています。

アオヤンマ♂ 
写真6 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂ (‏‎13:50:26)

34秒経過後の同一個体です。

ヨシ類の葉のすぐ上をこちら向きに飛んでいるところですが、口に何か(おそらく昆虫かクモ)をくわえています。

アオヤンマ♂ 
写真7 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂ (‏‎13:50:28)

更に2秒後の同一個体ですが、拡大して見ると、口にはまだ物をくわえているように見えます。

また、両前翅基部付近には、淡赤色の小粒状のものが付着しているようもに見えます。
食べている虫の体液が飛び散って、付着したのかもしれません。

ということで、この個体のこの飛行は、雌探しも兼ねているとは思いますが、採餌を一つの目的としていたことがわかります。

写真5~7のいずれにおいても、ヨシ類の草丈すれすれ付近の高度で、それもヨシ類群落の開放水面側またはそちらに近い側を飛んでいます。


本格的な探雌飛行を激写

引き続き、そのポイントで粘り強く、15時05分まで、アオヤンマに的を絞った観察を継続しました。

継続といっても、いったん姿が見えなくなると、次のヤンマが現れるまでの時間は長く感じられました。

しかし、その間延びした間に4~5回姿を現したアオヤンマは、私にとってまた一つの新しい経験となる行動を示してくれました。

それは、隙間の多いヨシ・マコモ類群落の株間に入り込み、その中を縫うように、草丈の半分程度の高さの水面上を飛び回る、♂の行動です(写真8、写真1)(14時44分)。

アオヤンマ♂、ノートリミング  
写真8 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma (14:44:50)

私が立っていた岸は水面から50cmほど高くなっており、そこからの撮影ですので、トンボから見て相当背面方向(上方向)からの写真になっていますが、それでもヨシ類の草丈に比べて低い位置を飛んでいることは、おわかり頂けると思います。

アオヤンマ♀はヨシやマコモなどの抽水植物の茎につかまって産卵する、ということが知られていますので(尾園ほか 2012)、産卵中の♀、あるいは産卵しようとしている♀を、♂が探すとすれば、当然草丈の半分程度までは飛行高度を下げたほうが、♀の発見効率そして発見後の捕捉確率は上がるはずです。

このことを考えると、写真8における♂の行動は、間違いなく♀の探索であると言えるでしょう。

実際に文献(尾園ほか 2012)にも、♂が抽水植物の間を縫うように飛び回り♀を探して交尾する旨の記述があります。

初日には、その後15時42分まで、沼辺で観察を続けましたが、これといったアオヤンマの動きはありませんでした。

翌日も、同じ沼でアオヤンマを中心に、各種トンボを岸からの観察を継続しましたが、それらについては次回以降の記事で取り上げます。


謝 辞
観察地についての情報を提供された夏目英隆さんに、感謝の意を表します。


引用文献:
尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。


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2018-09-16 (Sun)
日本産ヤンマ科の系統樹」シリーズ記事を受けての、前回記事日本産ヤンマ科全9属の代表、オンパレード(系統順)」では代表となるヤンマの種の写真を1葉ずつ順に紹介しました。

今回記事では、それら日本産ヤンマ科 AESHNIDAE 全9属代表種1枚の組写真にまとめたものを掲げます(写真1)。


日本産ヤンマ科 AESHNIDAE 全9属代表種(組写真)

日本産ヤンマ科全9属の代表、顔見世(系統順) 
写真1 日本産ヤンマ科 AESHNIDAE 全9属代表種(組写真)(写真はクリックで拡大します)


写真1では、9つの属の配列を系統順にしたところが、ポイントです。

前回記事でも明記したとおり、9属のうち2属については、筆者撮影のものではなく、wikimediaから同属種(それも外国産)の写真を拝借(ただし撮影者名明記)したものです。


目 次
 ◆日本産ヤンマ科 AESHNIDAE 全9属の代表種(組写真)
 ◆日本産ヤンマ科の系統樹(折衷案)(前回記事より再掲)
 ◆日本産ヤンマ科全9属の代表種のプロフィール
 ◆Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)(過去記事より再掲)


日本産ヤンマ科の系統樹(折衷案)前回記事より再掲)

日本産ヤンマ科の系統樹(4論文からの折衷案)分岐番号つき

図1 日本産ヤンマ科の系統樹(紹介済みの4論文のデータを元にした折衷案)(前回記事の図に分岐番号付記)(図はクリックで拡大します) 

上掲の系統樹作成のベースとなった4論文は、今回記事の引用文献リストにも再掲しています。


日本産ヤンマ科全9属の代表種のプロフィール

それでは、全9属の代表種を写真2写真1の中の各個写真に図1の分岐番号を付記したもの)と対応させながら簡単に紹介します。

日本産ヤンマ科全9属の代表、顔見世(系統順) 
写真2(写真1の中の各個写真に図1の分岐番号を付記したもの)

以下、先頭の「数字+ABC」は系統の分岐順と姉妹群関係を識別するための分岐番号写真2にも付記)です。

(※ この分岐番号は今回記事の図1を参照した場合以外には通用しませんのでご注意ください。)

1A サラサヤンマ属 Sarasaeschna Karube & Yeh, 2001: サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri  (Martin, 1909)♂過去記事より再掲)。
サラサヤンマ は、黒地に細かい黄斑を散らした更紗模様が特徴の一つです。

1B2A3A コシボソヤンマ属 Boyeria McLachlan, 1895:コシボソヤンマ属の1種、Boyeria irene (Fonscolombe, 1838) , male (Source: wikimedia). Photo by Luis Fernández García. https://fr.wikipedia.org/wiki/Boyeria#/media/File:Boyeria_irene_20140808.jpg
Boyeria ireneは西ヨーロッパ、北アフリカに分布。未熟な♂個体のため淡色部が発色していません。
同属のコシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883) ♂ではとくにウエスト(腹部第3節)が極端にくびれているのが特徴の一つです。

1B2A3B ミルンヤンマ属 Planaeschna McLachlan, 1896:ミルンヤンマ Planaeschna milnei  (Selys, 1883)(2016年9月10日、関東地方)(前回記事から再掲)。
ミルンヤンマは、翅胸が小さく、腹部の環状黄斑が印象的です。

1B2B3A アオヤンマ属 Aeschnophlebia Selys, 1883:アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883 ♂(前回記事から再掲)。
アオヤンマは、コシボソヤンマとは真逆に、♂♀とも腹部第3節のくびれがなく、寸胴のが特徴の一つです。

1B2B3B4A カトリヤンマ属 Gynacantha Rambur, 1842:カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909  ♀(前々回記事から再掲)。
カトリヤンマは、♂の腹部が細く、尾部上付属器が超長いのが特徴的です。

1B2B3B4B トビイロヤンマ属 Anaciaeschna Selys, 1878:トビイロヤンマ属の1種、Anaciaeschna triangulifera McLachlan,1896 , male (Surce: wikimedia). photo by Alandmanson. 
Anaciaeschna trianguliferaは同属のトビイロヤンマ Anaciaeschna jaspidea (Burmeister, 1839) 同様、和名そのままに翅胸部や腹部の地色が褐色です。

1B2B3B4C ギンヤンマ属 Anax Leach, 1815:ギンヤンマ Anax parthenope (Selys, 1839)  過去記事より再掲)。
ギンヤンマをはじめ、同属種の翅胸は、黄緑色で(クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma, 1915 を例外として)黒条がないのが特徴的です。

1B2B3B4D5A ヤブヤンマ属 Polycanthagyna Fraser, 1933:ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883)  ♀(前回記事から再掲)。
ヤブヤンマ は、全体に黒味が強く複眼が青いのが印象的です。

1B2B3B4D5B ルリボシヤンマ属 Aeshna Fabricius, 1775:オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856 ♀(過去記事から再掲)。
オオルリボシヤンマは多くの同属種と同様に、腹部に環状および斑点状の淡色斑(青色、黄色、黄緑色)があるのが特徴的です。

(※それぞれの代表種についての、以上の説明文は前回記事の再掲です。)



Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)過去記事より再掲)

Bechly, G. (1996) Morphologische Untersuchungen am Flügelgeäder der rezenten Libellen und deren Stammgruppenvertreter (Insecta; Pterygota; Odonata) unter besonderer Berücksichtigung der Phylogenetischen Systematik und des Grundplanes der *Odonata. - Petalura, spec. vol. 2: 402 pp, 3 tabls, 111 figs (revised edition with 60 pages English appendix on the phylogenetic system of odonates). (Bechly 2007から間接引用)

Bechly, G. (2007) Phylogenetic Systematics of Euanisoptera / Aeshnoptera.

Carle, F. L. , K. M. Kjer & M. May. (2015) A molecular phylogeny and classification of
Anisoptera (Odonata). Arthropod Systematics & Phylogeny. 73(2): 281-301.
2018.8.25.アクセス

尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。

von Ellenrieder, N.(2002) A phylogenetic analysis of the extant Aeshnidae(Odonata: Anisoptera). Systematic Entomology (2002) 27, 437-467.
2018.8.25.アクセス


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2018-09-13 (Thu)
前回記事で「日本産ヤンマ科の系統樹」の最新版ともいえる折衷案を提示しました(図1)。

シリーズ記事5本とも、重箱の隅をつつきながら理屈っぽい内容になってしまいましたので、今回はデザートとして、日本産ヤンマ科 AESHNIDAE 全9属代表種横顔を一気にご紹介することにします。

ただし、うち2属については自前の写真が用意できていませんので、wikimediaから同属種(それも外国産)の写真を拝借して、お茶を濁させてもらいます(ザンネン!)。


目 次
 ◆日本産ヤンマ科の系統樹(折衷案)(前回記事より再掲)
 ◆日本産ヤンマ科全9属の代表種の横顔
 ◆おわりに
 ◆日本のヤンマ科(9属23種)のリスト(ギンヤンマ属の位置を変更後)
 ◆Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)(前回記事より再掲)


日本産ヤンマ科の系統樹(折衷案)前回記事より再掲)

日本産ヤンマ科の系統樹(4論文からの折衷案)分岐番号つき

図1 日本産ヤンマ科の系統樹(紹介済みの4論文のデータを元にした折衷案)(前回記事の図に分岐番号付記)(図はクリックで拡大します) 

図1の系統樹(折衷案)作成のベースとなった4論文は、今回記事の引用文献リストにも再掲しています。


日本産ヤンマ科全9属の代表種の横顔

以下、先頭の数字は筆者提案の系統樹(折衷案)(図1)に付記した分岐順序、ABは当該分岐のそれぞれの枝を意味します。

(※ この分岐番号は今回記事の図1を参照した場合以外には通用しませんのでご注意ください。)

1A サラサヤンマ属 Sarasaeschna Karube & Yeh, 2001
サラサヤンマ♂(3)
写真1 サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri ♂(過去記事より再掲)(写真はクリックで拡大)

サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri (Martin, 1909) は、黒地に細かい黄斑を散らした更紗模様が特徴の一つです。


1B2A3A コシボソヤンマ属 Boyeria McLachlan, 1895
Boyeria irene, male (Photo by Luis Fernandez Garcia) 
写真2 コシボソヤンマ属の1種、Boyeria irene, male (Source: wikimedia). Photo by Luis Fernández García. https://fr.wikipedia.org/wiki/Boyeria#/media/File:Boyeria_irene_20140808.jpg

写真2のコシボソヤンマ属の1種Boyeria irene (Fonscolombe, 1838) は西ヨーロッパ、北アフリカに分布。未熟な♂個体のため淡色部が発色していません。

同属のコシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883) ♂ではとくにウエスト(腹部第3節)が極端にくびれているのが特徴の一つです。

写真2B. irene は横斜め背方からの撮影のため、それほど目立ちませんが、やはりくびれています。


1B2A3B ミルンヤンマ属 Planaeschna McLachlan, 1896
ミルンヤンマ♂ 
写真3 ミルンヤンマ Planaeschna milnei ♂(2016年9月10日、関東地方)

ミルンヤンマ Planaeschna milnei (Selys, 1883) は、翅胸が小さく、腹部の環状黄斑が印象的です。


1B2B3A アオヤンマ属 Aeschnophlebia Selys, 1883
アオヤンマ♂ 
写真4 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂(2018年6月13日、関東地方)

アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883 は、コシボソヤンマとは真逆に、♂♀とも腹部第3節のくびれがなく、寸胴のが特徴の一つです。


1B2B3B4A カトリヤンマ属 Gynacantha Rambur, 1842
カトリヤンマ♀ 
写真5 カトリヤンマ Gynacantha japonica ♀(2015年8月22日、埼玉県)(前回記事から再掲)

カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909 は、♂の腹部が細く、尾部上付属器が超長いのが特徴的です。


1B2B3B4B トビイロヤンマ属 Anaciaeschna Selys, 1878
Anaciaeschna triangulifera, male (photo by Alandmanson) 
写真6 トビイロヤンマ属の1種、Anaciaeschna triangulifera, male (Surce: wikimedia). photo by Alandmanson. 

写真6は、アフリカ大陸に分布するトビイロヤンマ属の1種、Anaciaeschna triangulifera McLachlan,1896 ですが、翅胸部や腹部の地色が褐色です。

同属のトビイロヤンマ Anaciaeschna jaspidea (Burmeister, 1839) も、和名そのままに地色が褐色なのが特徴です。


1B2B3B4C ギンヤンマ属 Anax Leach, 1815
ギンヤンマ ♂
写真7 ギンヤンマ Anax parthenope ♂(過去記事より再掲)

ギンヤンマ Anax parthenope (Selys, 1839) をはじめ、同属種の翅胸は、黄緑色で(クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma, 1915 を例外として)黒条がないのが特徴的です。


1B2B3B4D5A ヤブヤンマ属 Polycanthagyna Fraser, 1933
ヤブヤンマ♀産卵 
写真8 ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera ♀(2016年9月1日、関東地方)

ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883) は、全体に黒味が強く複眼が青いのが印象的です。


1B2B3B4D5B ルリボシヤンマ属 Aeshna Fabricius, 1775
オオルリボシヤンマ♀、産卵 
写真9 オオルリボシヤンマ Aeshna crenata ♀(2007年8月30日、北海道東部)

オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856 は多くの同属種と同様に、腹部に環状および斑点状の淡色斑(青色、黄色、黄緑色)があるのが特徴的です。

以上です。


おわりに

前回記事の予告では、今回は通常の野外観察からのレポートになるはずでしたが、少し趣向を変えて、全属の顔見世興行としました。

後日、再びヤンマ科全属のパレードを主催する場合には、自前の役者(自分で撮影したヤンマ)を揃えたいと心に誓っています。




日本のヤンマ科(9属23種)のリスト(ギンヤンマ属の位置を変更後)

サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri (Martin, 1909)(写真1)
オキナワサラサヤンマ Sarasaeschna kunigamiensis (Ishida, 1972)
コシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883)(同属種:写真2)
イシガキヤンマ Planaeschna ishigakiana Asahina, 1951
リスヤンマ Planaeschna risi Asahina, 1964
ミルンヤンマ Planaeschna milnei (Selys, 1883)(写真3)
アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883(写真4)
ネアカヨシヤンマ Aeschnophlebia anisoptera Selys, 1883
カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909(写真5)
リュウキュウカトリヤンマ Gynacantha ryukyuensis Asahina, 1962
トビイロヤンマ Anaciaeschna jaspidea (Burmeister, 1839)(同属種:写真6)
マルタンヤンマ Anaciaeschna martini (Selys, 1897)
ヒメギンヤンマ Anax ephippiger (Burmeister, 1839)
アメリカギンヤンマ Anax junius (Drury, 1770)
ギンヤンマ Anax parthenope (Selys, 1839)(写真7)
クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma, 1915
オオギンヤンマ Anax guttatus (Burmeister, 1839)
リュウキュウギンヤンマ Anax panybeus Hagen, 1867
ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883)(写真8)
マダラヤンマ Aeshna mixta Latreille, 1805
オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856(写真9)
ルリボシヤンマ Aeshna juncea (Linnaeus, 1758)
イイジマルリボシヤンマ Aeshna subarctica Walker, 1908

※(ヤンマ科リストは、尾園ほか[2012]をベースに、ギンヤンマ属の位置を末尾からトビイロヤンマ属とヤブヤンマ属の間に移動)



Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)前回記事より再掲)

Bechly, G. (1996) Morphologische Untersuchungen am Flügelgeäder der rezenten Libellen und deren Stammgruppenvertreter (Insecta; Pterygota; Odonata) unter besonderer Berücksichtigung der Phylogenetischen Systematik und des Grundplanes der *Odonata. - Petalura, spec. vol. 2: 402 pp, 3 tabls, 111 figs (revised edition with 60 pages English appendix on the phylogenetic system of odonates). (Bechly 2007から間接引用)

Bechly, G. (2007) Phylogenetic Systematics of Euanisoptera / Aeshnoptera.

Carle, F. L. , K. M. Kjer & M. May. (2015) A molecular phylogeny and classification of
Anisoptera (Odonata). Arthropod Systematics & Phylogeny. 73(2): 281-301.
2018.8.25.アクセス

尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。

von Ellenrieder, N.(2002) A phylogenetic analysis of the extant Aeshnidae(Odonata: Anisoptera). Systematic Entomology (2002) 27, 437-467.
2018.8.25.アクセス


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2018-09-11 (Tue)
シリーズ記事「日本産ヤンマ科の系統樹」は、前回の第4回で終了の予定でしたが、結局4通りの系統樹を並列してコメントしただけに終わっていて、今一つ生産性が筆者自身にも感じられませんでした。

そこで、今回はこれまで(下記のように)4回にわたって紹介してきた、分岐順の微妙に異なる4つの系統樹から、なるべく矛盾のないようにしながら、1つの折衷案としての系統樹を作成してみます。


ヤンマ科のイメージを再確認したい方のために、カトリヤンマ♀の生態写真を当ブログとしては初掲載しておきます(写真5)。

カトリヤンマ♀ 
写真5 カトリヤンマ Gynacantha japonica ♀(2015年8月22日、埼玉県)(写真はクリックで拡大)



 目 次
 ◆Bechly、von Ellenrieder、尾園ほか およびCarle et al.による系統樹を折衷した系統樹の提案
 ◆今回の折衷案作成の基準
 ◆今回の折衷案作成に際しての具体的な判断内容
 ◆おわりに
 ◆参考にした系統樹(シリーズ記事1~4から再掲)
 ◆日本のヤンマ科のリスト(初回記事から再掲)
 ◆Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)(前回記事より再掲)
 ◆最尤法についての簡単なまとめ(前回記事より再掲)
 ◆引用文献(分子系統学、とくに最尤法関連)(前回記事より再掲)



Bechlyvon Ellenrieder、尾園ほか およびCarle et al.による系統樹を折衷した系統樹の提案
 
前回記事までに紹介した、Bechly (1996/2007) 、von Ellenrieder  (2002) のそれぞれに基づく形態系統樹2点、および尾園ほか(2012)、Carle et al. (2015) のそれぞれに基づく分子系統樹2点の、計4点の日本産ヤンマ科系統樹(記事後半の「参考にした系統樹」に再掲)を参考に、筆者が新しく描いた日本産ヤンマ科 AESHNIDAE (広義)の系統樹を図6に掲げます。

日本産ヤンマ科の系統樹(4論文からの折衷案) 
図6 日本産ヤンマ科の系統樹(紹介済みの4論文のデータを元にした折衷案)(図はクリックで拡大します) 


今回の折衷案作成の基準

この、折衷案ともいえる系統樹は、より時代的に新しい、そして系統解析のアルゴリズムもソフィストケートされた、分子系統解析の結果に重きを置いて、筆者の判断も加味しながら描いたものです。

「コシボソヤンマ属+ミルンヤンマ属」、「ヤブヤンマ属+ルリボシヤンマ属」、サラサヤンマ属以外の各属の分岐順序は、尾園ほか の系統樹では保留されていましたが、Carle et al.の系統樹では憶することなく分岐の連続として提案されています。

Carle et al.のこの分岐順の提案のうち、尤度*の高いもの(尤度≧70)を筆者も採用し、その一方で尤度がそれに満たないものについては分岐順を保留し、(究極の2分岐ではなく)4分岐のかたちを残しました。

尾園ほか では(分岐順の一部保留のため)6分岐がありましたので、今回の折衷案では分岐2つ分踏み込んだことになります。

(*尤度については、今回記事末尾の「最尤法についての簡単なまとめ」で簡単な説明をしています。)


今回の折衷案作成に際しての具体的な判断内容

以下の判断内容の羅列は、これまでの記事での記述スタイルとは逆に、分岐関係(姉妹群の認定)が相対的に新しい順に、言い換えれば系統樹の枝先から大枝の方向に向かって順に、記述します(以下、「である体」で記述)。

・ヤブヤンマ属 Polycanthagyna とルリボシヤンマ属 Aeshna を姉妹群とすることに関して、尾園ほか を支持。(Carle et al.はヤブヤンマ属を対象としていない。)

・トビイロヤンマ属 Anaciaeschna とルリボシヤンマ属の姉妹群(Carle et al.:尤度50、ベイズ事後確率74)は解消(保留)。

・カトリヤンマ属 Gynacantha と「トビイロヤンマ属+ルリボシヤンマ属」の姉妹群(Carle et al.:尤度67、事後確率100)は解消(保留)。

・「ギンヤンマ属+カトリヤンマ属+トビイロヤンマ属+ルリボシヤンマ属 Anax (+ヤブヤンマ属)」を単系統群とすること(Carle et al.:尤度100、ベイズ事後確率100; von Ellenrieder)を支持。

・「ギンヤンマ属+カトリヤンマ属+トビイロヤンマ属+ルリボシヤンマ属(+ヤブヤンマ属)」の単系統群と Brachytron属を姉妹群とすること(Carle et al.:尤度70、ベイズ事後確率100)を支持。

・アオヤンマ属 Aeschnophlebia については、Carle et al.はを対象としていないが、Bechly および von Ellenriederはアオヤンマ属を Brachytron属と近縁なものと扱ったので、今回この判断を採用。(Bechly は両属を[広義のヤンマ科を狭義のヤンマ科おおびいくつかの科に細分したものの一つである]BRACHYTRONIDAE科を共に構成するとし、von Ellenrieder も両属を同一単系統群に所属させている。)

・コシボソヤンマ属 Boyeriaが「ギンヤンマ属+カトリヤンマ属+トビイロヤンマ属+ルリボシヤンマ属(+ヤブヤンマ属)+Brachytron属」を姉妹群とすること(Carle et al.:尤度100、ベイズ事後確率100)を支持。

・ミルンヤンマ属 Planaeschna をコシボソヤンマ属との姉妹群とする尾園ほか を支持。Bechlyもミルンヤンマ属をコシボソヤンマ属と同一単系統群(TELEPHLEBIIDAE科[広義のヤンマ科を細分した科の一つ]所属[ただし互いに別亜科])に所属させている。(Carle et al.はミルンヤンマ属は対象としていない。)

・サラサヤンマ属 Sarasaeschna の分岐は尾園ほか および、von Ellenrieder(サラサヤンマ属とOligoaeschna属をGOMPHAESCHNINI族(「族」は、亜科の下の分類階級)に所属させている)を支持。Bechly およびCarle et al.はサラサヤンマ属は対象としていないが、Oligoaeschna属を含む単系統群を広義のヤンマ科の中で最初に分岐させている。

以上です。

重箱の隅をつつくような説明でしたが、飲み込めましたら、その理解を念頭にもう一度、今回提案した折衷案の系統樹をご覧になってください。


おわりに

今回の5回にわたるシリーズ記事で、筆者は自分自身で形態の比較観察も、分子の配列データやアラインメントを眺めることもせずに、他の研究者が苦労して組み立てた系統樹のヤンマ科の部分について、それぞれの特徴を紹介し、最後には、それぞれの良いところをつまみ食いするかたちで、日本産のヤンマ科の折衷的な系統樹を提案しました。

おそらく、数年以内に、分子系統解析を実際に行っている研究者が、最新の各種DNAの塩基配列データをもとに、適切な分子系統解析ソフトによる解析をかけて、オリジナルな系統樹を公表するものと思われます。

それを受けて、分子系統学については門外漢である私が、身の程を顧みることなく作成した、今回の系統樹の樹形(トポロジー)を自己採点できる機会を楽しみにしています。

次回記事からは、通常の野外でのトンボ観察・撮影に基づく内容に戻りますが、ヤンマ科の種がクローズアップされ過ぎないように気を付けたいと思います(笑)。



参考にした系統樹(シリーズ記事1~4から再掲)

 日本産ヤンマ科(広義)の分子系統樹(Carle et al. [2015] に依拠) 
図4 日本産ヤンマ科(広義)の分子系統樹(Carle et al. [2015] に依拠)(再掲)

ヤンマ科(広義)の分子系統樹:尾園ほか[2012]に依拠 
図3 ヤンマ科(広義)の分子系統樹:尾園ほか(2012)に依拠(再掲)


日本産ヤンマ科(広義)の系統樹: von Ellenrieder(2002)に依拠 
図2 日本産ヤンマ科(広義)の系統樹(von Ellenrieder [2002]  に依拠)(再掲)


日本産ヤンマ科(広義)の系統樹:Bechly (1996/2007) に依拠 
図1 日本産ヤンマ科(広義)の系統樹(Bechly [1996/2007] に依拠)(再掲) 



日本のヤンマ科のリスト(初回記事から再掲)

日本には、9属23種のヤンマ科の種が分布しています(下記リスト:尾園ほか[2012]による)。

サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri (Martin, 1909)
オキナワサラサヤンマ Sarasaeschna kunigamiensis (Ishida, 1972)
コシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883)
イシガキヤンマ Planaeschna ishigakiana Asahina, 1951
リスヤンマ Planaeschna risi Asahina, 1964
ミルンヤンマ Planaeschna milnei (Selys, 1883)
アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883
ネアカヨシヤンマ Aeschnophlebia anisoptera Selys, 1883
カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909(写真5)
リュウキュウカトリヤンマ Gynacantha ryukyuensis Asahina, 1962
トビイロヤンマ Anaciaeschna jaspidea (Burmeister, 1839)
マルタンヤンマ Anaciaeschna martini (Selys, 1897)
ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883)
マダラヤンマ Aeshna mixta Latreille, 1805
オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856
ルリボシヤンマ Aeshna juncea (Linnaeus, 1758)
イイジマルリボシヤンマ Aeshna subarctica Walker, 1908
ヒメギンヤンマ Anax ephippiger (Burmeister, 1839)
アメリカギンヤンマ Anax junius (Drury, 1770)
ギンヤンマ Anax parthenope (Selys, 1839)
クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma, 1915
オオギンヤンマ Anax guttatus (Burmeister, 1839)
リュウキュウギンヤンマ Anax panybeus Hagen, 1867



Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)前回記事より再掲)

Bechly, G. (1996) Morphologische Untersuchungen am Flügelgeäder der rezenten Libellen und deren Stammgruppenvertreter (Insecta; Pterygota; Odonata) unter besonderer Berücksichtigung der Phylogenetischen Systematik und des Grundplanes der *Odonata. - Petalura, spec. vol. 2: 402 pp, 3 tabls, 111 figs (revised edition with 60 pages English appendix on the phylogenetic system of odonates). (Bechly 2007から間接引用)

Bechly, G. (2007) Phylogenetic Systematics of Euanisoptera / Aeshnoptera.

Carle, F. L. , K. M. Kjer & M. May. (2015) A molecular phylogeny and classification of
Anisoptera (Odonata). Arthropod Systematics & Phylogeny. 73(2): 281-301.
2018.8.25.アクセス

尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。

von Ellenrieder, N.(2002) A phylogenetic analysis of the extant Aeshnidae(Odonata: Anisoptera). Systematic Entomology (2002) 27, 437-467.
2018.8.25.アクセス



最尤法についての簡単なまとめ前回記事より再掲)

・最尤法(最尤系統樹推定)は、分子進化(塩基配列あるいはアミノ酸配列の置換)の確率モデルのもとで、観察されたデータ値の生じる確率の積(「尤度*」likelihood)を目的関数として,その値を最大化するように未知のパラメーター(樹形と枝長)を推定する方法(参考:三中 2009;田辺 2015)。

(*「尤度」は、あるモデルが正しいと仮定した状況で手元のデータが得られる確率[参考:大島 2016])。

・最尤法では、近隣結合法(neighbor-joining)や段階的配列付加法などで生成した初期系統樹と、それを枝交換によって樹形改変してできる系統樹の尤度を計算し、より尤度の高い系統樹が見つかればそれを初期系統樹としてまた同じことを繰り返す(参考:田辺 2015;大島 2016)。

・RAxMLによるブートストラップ(bootstrap)解析は、樹形の信頼性を検討するために、ブートストラップリサンプリングしたデータを用いて系統樹推定を繰り返すことで、各内分枝の再現率を得るもの(参考:田辺 2015)。

・ブートストラップでは、元のアラインメントからランダムにサイトを元の数だけ選んで1組の擬似データとする。その際、同じサイトを複数回選んでもかまわない。多数の擬似データの組について、系統樹を作成し、初期系統樹ののトポロジーが作成された回数を数え、再現率を得る(参考:田辺 2015;川端猛 2010)。

・最尤法の具体的な作業手順については、下平(2003)が参考になる。



引用文献(分子系統学、とくに最尤法関連)前回記事より再掲)

川端 猛 (2010) 「分子系統学基礎」。平成22年度・近畿大学・農学部・生命情報学(講義資料)

三中信宏  (2009) 「分子系統学:最近の進歩と今後の展望」。 植物防疫,63(3): 192-196.

大島研郎 (2016) 「生物配列解析基礎 」。分子系統学の基礎 (講義資料)。

下平英寿 (2003) 「系統樹の推定」。バイオインフォマティクス(分子系統樹の推定)の体験的入門5.

田辺晶史 (2015) 「分子系統学演習 データセットの作成から仮説検定まで」。


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2018-09-09 (Sun)
シリーズ記事「日本産ヤンマ科の系統樹」、第4回(最終回)の今回は、第1回の「Bechly (1996/2007) による形態系統解析」、第2回の「von Ellenrieder (2002) による形態系統分析」、第3回の「尾園・川島・二橋(2012)による分子系統樹」に引き続いて、Carle et al. (2015) による分子系統樹からヤンマ科 Aeshnidae の属の部分を抜粋したものを紹介し、相互に比較検討します。

日本産ヤンマ科の全9属23種のリストを、今回記事の末尾にも第1回記事から再掲しておきました。
必要に応じて参照してください。

ヤンマ科のイメージを再確認したい方のために、オオルリボシヤンマの生態写真を当ブログとしては初掲載し(写真4)、サラサヤンマ の生態写真を過去記事から再掲しておきます(写真2)。

オオルリボシヤンマ♀、産卵 
写真4 オオルリボシヤンマ Aeshna crenata ♀(2007年8月30日、北海道東部)(写真はクリックで拡大)

サラサヤンマ♂(3)
写真2 サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri ♂(過去記事より再掲)


 目 次
 ◆はじめに:Carle et al. (2015) による分子系統樹
 ◆Carle et al. (2015) による系統解析の方法
 ◆Carle et al. (2015) の分子系統樹に依拠して作画した日本産ヤンマ科の ◆属の系統樹
 ◆Carle et al. の分子系統樹の、尾園ほかによる分子系統樹、Bechlyおよび von Ellenrieder  による形態系統樹との比較
 ◆以上の比較の要約
 ◆日本のヤンマ科のリスト(初回記事から再掲)
 ◆分子系統解析の5つの手法
 ◆最尤法についての簡単なまとめ
 ◆ベイズ分析についての簡単なまとめ
 ◆分岐分類学の専門用語について(再掲)
 ◆シリーズ記事の後書き
 ◆Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)
 ◆引用文献(分子系統学一般)


はじめに:Carle et al. (2015) による分子系統樹

Carle et al. (2015) による分子系統解析は、不均翅亜目全体を対象にした大がかりなものですが、今回は私のこのシリーズ記事のテーマであるヤンマ科に的を絞っているため、その解析結果からヤンマ科の部分のみを抜粋して紹介します。

この論文の共著者は、3人ともアメリカのラトガース Rutgers 大学の研究者で、Dr. Frank Carleはトンボの新種記載を多く手がけている、Dr. Karl M Kjer は分子系統解析の論文を多く公表している、Dr. Michael L Mayは生理生態を中心としてトンボ全体に精通している人物です。


Carle et al. (2015) による系統解析の方法

※解析の方法については専門用語が多いので、一般読者の方には飛ばし読みをお薦めします。

※逆に専門分野の方は、隔靴掻痒感を避けるために、原著を直接参照下さい。

Carle et al. (2015) の論文では、系統解析に必要なデータの大部分の配列を著者達自身が決定した上で、GenBank*のデータも取捨選択して援用しています。

(*注:GenBank(ジェンバンク)は、米国生物工学情報センター(NCBI)が運用している、遺伝子塩基配列データの蓄積・公開のためのデータベース。)

系統解析のために選択されたマーカーは、核rRNA(18S、28S)、介在するVal tRNAを加えたミトコンドリアrRNA(12S -16S)、に加えて、ミトコンドリア シトクロム オキシダーゼ サブユニット1および2(COI & COII)、核ヒストン H3および核伸長因子 サブユニット1α(EF-1α)となっています。

系統解析の前に、外群選択、データの取捨選択、分類群の選択と結合、過誤の削除なども行っっています(詳細は原著を参照)。

系統解析そのものは、一般時間反転可能モデル(general time-reversible:略してGTR**)を、その高速な近似法であるCATモデルで代用して尤度を計算するとともに、最良の系統樹を算出するためにRAxML を用いることで行っています(抄訳に際して、田辺[2015]を参照した)。

(**注:GTRは、いくつかある分子系統解析の手法のうちの「最尤法」(さいゆうほう)のもとでの、最近普及している方法の一つ。)

※最尤法についてもう少し知りたい方は、当ブログ記事の末尾の「最尤法についての簡単なまとめ」をご覧ください。

Carle et al.は、これに加えて、「MRBAYES 3.1.1」を用いてのベイズ分析***も行っています。

(***注:ベイズ分析は、いくつかある分子系統解析の手法の中で、最も新しく現れた方法で、さきほどの「最尤法」とともに最近よく用いられている。)

※ベイズ分析についてもう少し知りたい方は、当ブログ記事の末尾の「ベイズ分析についての簡単なまとめ」をご覧ください。


Carle et al. (2015) の分子系統樹に依拠して作画した日本産ヤンマ科の属の系統樹

以上のような、煩雑だがソフィストケートされた方法による分子系統解析の結果、Carle et al. (2015) はトンボ目のうちの不均翅亜目の系統樹を提案しました。

※Carle et al. のこの系統樹は、最尤法に基づいていることから、単に分岐順序だけでなく、分岐から分岐までの枝長や最後の分岐から当該現生種までの枝長(これは分子進化の変化量の大小の相対比較の尺度になる)を含めた提案となっています(参考:図5;シリーズ記事全体の通し番号)。

最尤法のもとでの有根系統樹の形の一例(イメージ) 
図5 最尤法のもとでの有根系統樹の形の一例(イメージ)(生方、作図)

今回の記事では、シリーズ記事の方針に沿って、その分子系統樹(原著のFig. 1B)から分岐の相対順序のみに着目して(つまり枝長の情報は省いて)、日本産のヤンマ科の属に限った系統樹(分岐図)を描きました(図4)(シリーズ記事全体の通し番号)。

 日本産ヤンマ科(広義)の分子系統樹(Carle et al. [2015] に依拠) 
図4 日本産ヤンマ科(広義)の分子系統樹(Carle et al. [2015] に依拠)(図はクリックで拡大します)

図4に見るように、Carle et al. では分析対象としたヤンマ科の属の分岐順(言い換えれば、単系統群間の姉妹群関係)が、すべて描き出されています。

図4での分岐順を見てみましょう。

時代の古い順に、(サラサヤンマ属Sarasaeschnaと近縁な)Oligoaeschna属、(ミルンヤンマ属Planaeschnaと近縁な)コシボソヤンマ属Boyeria、(アオヤンマ属Aeschnophlebiaと近縁な)Brachytron属の順に分岐し、最後にギンヤンマ属Anax+カトリヤンマ属Gynacantha+ルリボシヤンマ属Aeshna+トビイロヤンマ属Anaciaeschnaが一つの単系統群で残るところまでは、読者の皆さんにもデジャヴ(既視感)を与えているのではないでしょうか?

※Bechlyは形態のみで同様の系統樹を提案し(図1)、Carle et al. は分子のみで系統樹を提案していながら(図4)、結果としてよく似た系統樹が得られたことは(細部でいくつかの不一致があるとはいえ)、素晴らしいことではないでしょうか?

※それだけ、20世紀末までに形態にもとづく系統学が成熟に達していたということが言えるでしょうし、誕生して30年そこそこの間に分子系統学が急速に成長し、形態系統学に追いつき、追い越している状況が目の前で起きているとも言えます。


Carle et al. の分子系統樹の、尾園ほかによる分子系統樹、Bechlyおよび von Ellenrieder  による形態系統樹との比較

 この、Carle et al. (2015) による分子系統解析結果から得られた日本産ヤンマ科の分子系統樹(図4)を、 尾園ほか(2012)による分子系統解析結果(図3;前回記事から下に再掲)、von Ellenrieder  (2002) による形態系統分析結果から得られた日本産ヤンマ科の系統樹(図2前々回記事から下に再掲)、そしてBechly (1996/2007) による形態系統解析結果から得られた日本産ヤンマ科の系統樹(図1初回記事から下に再掲)、と比較してみましょう。


ヤンマ科(広義)の分子系統樹:尾園ほか[2012]に依拠 
図3 ヤンマ科(広義)の分子系統樹:尾園ほか(2012)に依拠


日本産ヤンマ科(広義)の系統樹: von Ellenrieder(2002)に依拠 
図2 日本産ヤンマ科(広義)の系統樹(von Ellenrieder [2002]  に依拠)


日本産ヤンマ科(広義)の系統樹:Bechly (1996/2007) に依拠 
図1 日本産ヤンマ科(広義)の系統樹(Bechly [1996/2007] に依拠) 



Carle et al.による日本産ヤンマ科系統樹の、尾園ほか、von Ellenriederおよび Bechly のそれぞれの系統樹との、共通点・相違点は以下の通りです。

・サラサヤンマ属またはそれに近縁なOligoaeschna属(von Ellenriederでは、サラサヤンマ属をLinaeschna属、Gophoaeschna属とともに単系統群にしている)が一番早く分岐するという点は、尾園を含む4組で一致。

・Carle et al.でのこの部分に関わる尤度、事後確率の値を見てみよう。Oligoaeschna属+Gophoaeschna属の系統群を除く全てのヤンマ科の属を一つの大きな単系統群とすることをサポートする尤度は100、事後確率は100である。
※したがって、ヤンマ科の最初のこの分岐は分子系統解析から見ても疑いの余地の(ほとんど)ないものということがわかる。

・Carle et al.では、(サラサヤンマ属と近縁な)Oligoaeschna属の分岐に続いて、コシボソヤンマ属がBrachytron属よりも先に分岐しているが、BechlyではBrachytron属がコシボソヤンマ属よりも先に分岐している(von Ellenriederでは保留)。

・ミルンヤンマ属(Carle et al.では含まれていない)はBechlyと尾園ほかでコシボソヤンマ属と姉妹群とされているが、von Ellenriederではコシボソヤンマ属の次に残りの群と分岐している。
※Carle et al.がミルンヤンマ属を分子系統解析に加えていたら前者と同じ結果になる可能性のほうがやや高いのではないか?

Brachytron属はCarle et al.ではコシボソヤンマ属よりも後で分岐するが、BechlyではBrachytron属(図1では近縁のアオヤンマ属だけ表示)はコシボソヤンマ属よりも先に分岐する。von Ellenriederおよび尾園ほかでは保留。

・Carle et al.でのこの部分に関わる尤度、事後確率の値を見てみよう。ギンヤンマ属(+Oplonaeschna属+Hemianax属)を加えた上記単系統群(カトリヤンマ属+トビイロヤンマ属+ルリボシヤンマ属(+Rhinaeschna属))がBrachytron属(+Epiaeschna属)と姉妹群であるとする(つまりBrachytron属がコシボソヤンマ属よりも後で分岐することを是とする)尤度は70、事後確率は100である。
※すなわち、尤度が行司であるとすれば軍配は、若干かしげられながらも、Brachytron属がコシボソヤンマ属よりも後で分岐するほうに上がる。

・アオヤンマ属(Carle et al.では含まれていない)は、Bechlyでも、von EllenriederでもBrachtron属と姉妹群となっているので(当シリーズ記事の図1図2にはBrachytron属は描き込んでいないが)、Carle et al.が分子系統解析に加えていたら同じ結果になる可能性は低くないのではないか?

・カトリヤンマ属、ルリボシヤンマ属、ギンヤンマ属、トビイロヤンマ属の4属が(ヤブヤンマ属の扱いは別として)最も多くの派生形質を共有する単系統群という点で、尾園ほかを除く3組で一致。尾園ほかは保留している。

・Carle et al.でのこの部分に関わる尤度、事後確率の値を見てみよう。単系統群(カトリヤンマ属+トビイロヤンマ属+ルリボシヤンマ属[+Rhinaeschna属]+とギンヤンマ属[+Oplonaeschna属+Hemianax属]が姉妹群であるとする尤度は100、事後確率は100となっている。
※というわけで、この単系統群が真に単系統であることの説得力を高めている。

・ヤブヤンマ属(Carle et al.では含まれていない)は、von Ellenriederではカトリヤンマ属よりも早くルリボシヤンマ属とギンヤンマ属を含む単系統群から分岐しているが、Bechlyおよび尾園ほかではカトリヤンマ属よりも後で分岐し、ルリボシヤンマ属と姉妹群(Bechly)または側系統(姉妹群ではないが分岐位置が隣接する)を構成する。尾園ほかではヤブヤンマ属の分岐順を保留していて、側系統の可能性を残す。

・(ヤブヤンマ属は別として、)カトリヤンマ属は、Bechlyとvon Ellenriederではルリボシヤンマ属・ギンヤンマ属・トビイロヤンマ属の3属よりも早く分岐しているが、Carle et al.ではギンヤンマ属が分かれた後にカトリヤンマ属がルリボシヤンマ属+トビイロヤンマ属と分岐している。

Carle et al.による、カトリヤンマ属が単系統群(トビイロヤンマ属+ルリボシヤンマ属(+Rhinaeschna))と姉妹群であるとことを裏付ける尤度は67、事後確率は100である。
※この尤度の値は確率3分の2ということを意味しており、ギンヤンマ属が分かれた後にカトリヤンマ属がルリボシヤンマ属+トビイロヤンマ属と分岐という、Carle et al.による、やや意外な系統関係の支持率は若干心許ないように思われる。

・トビイロヤンマ属は、Bechlyとvon Ellenriederでは、ギンヤンマ属と姉妹群を構成しているが、Carle et al.ではルリボシヤンマ属と姉妹群である。尾園ほかではトビイロヤンマ属の分岐順も保留。

・トビイロヤンマ属とルリボシヤンマ属(+Rhinaeschna)が互いに姉妹群であるとする系統樹の尤度は50、ベイズ事後確率は74とかなり低い。
※ということで、トビイロヤンマ属とルリボシヤンマ属がごく近縁であるという点に関するCarle et al.の結果を確実なものと信じ込まないほうがよさそうだ。


以上の比較の要約

サラサヤンマ属(+Oligoaeschna属)がヤンマ科の中で最初に分岐したということは、形態派2組、分子派2組とも支持しています。

Brachytron属(形態上はアオヤンマ属と近縁)とコシボソヤンマ属の分岐の順序がBechlとCarle et al.で逆転していますが、Brachytron属がコシボソヤンマ属よりも後で分岐するというCarle et al.の結果の尤度は70(確率70%)で、若干の不安を残しています。

ヤブヤンマ属、カトリヤンマ属、ルリボシヤンマ属、ギンヤンマ属、トビイロヤンマ属の5属が単系統群という点において、尾園ほかを除く3組で一致しています。
尾園ほかは保留していますが、Carle et al.の結果の尤度は100であり、信頼度は十分なようです。

Bechlyとvon Ellenriederでは、カトリヤンマ属が、ルリボシヤンマ属・ギンヤンマ属・トビイロヤンマ属の3属よりも早く分岐しているのに対し、Carle et al.ではギンヤンマ属がルリボシヤンマ属+トビイロヤンマ属と分岐しています。
Carle et al.の結果の尤度は67と、あまり高くありません。

トビイロヤンマ属はBechlyおよびvon Ellenriederではギンヤンマ属と姉妹群ですが、Carle et al.ではルリボシヤンマと姉妹群となっています(尤度50)。
尾園ほかがこれに関して保留していることは、この尤度からみて妥当のように思われます。

ヤブヤンマ属の分岐位置は、(対象に入れていない)Carle et al.を除く3者で大きく異なっていて、今後の課題であるといえます。



日本のヤンマ科のリスト(初回記事から再掲)

日本には、9属23種のヤンマ科の種が分布しています(下記リスト:尾園ほか[2012]による)。

サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri (Martin, 1909)写真2
オキナワサラサヤンマ Sarasaeschna kunigamiensis (Ishida, 1972)
コシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883)
イシガキヤンマ Planaeschna ishigakiana Asahina, 1951
リスヤンマ Planaeschna risi Asahina, 1964
ミルンヤンマ Planaeschna milnei (Selys, 1883)
アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883
ネアカヨシヤンマ Aeschnophlebia anisoptera Selys, 1883
カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909
リュウキュウカトリヤンマ Gynacantha ryukyuensis Asahina, 1962
トビイロヤンマ Anaciaeschna jaspidea (Burmeister, 1839)
マルタンヤンマ Anaciaeschna martini (Selys, 1897)
ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883)
マダラヤンマ Aeshna mixta Latreille, 1805
オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856写真4
ルリボシヤンマ Aeshna juncea (Linnaeus, 1758)
イイジマルリボシヤンマ Aeshna subarctica Walker, 1908
ヒメギンヤンマ Anax ephippiger (Burmeister, 1839)
アメリカギンヤンマ Anax junius (Drury, 1770)
ギンヤンマ Anax parthenope (Selys, 1839)
クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma, 1915
オオギンヤンマ Anax guttatus (Burmeister, 1839)
リュウキュウギンヤンマ Anax panybeus Hagen, 1867



分子系統解析の5つの手法

・村上(2009)は分子系統解析の方法を以下のように整理している。
 距離行列法
  平均距離法(UPGMA)
  近隣結合法
 形質状態法
  最節約法
  最尤法
  ベイズ法(最尤法のうち、事前確率を考慮したもの)



最尤法についての簡単なまとめ

・最尤法(最尤系統樹推定)は、分子進化(塩基配列あるいはアミノ酸配列の置換)の確率モデルのもとで、観察されたデータ値の生じる確率の積(「尤度*」likelihood)を目的関数として,その値を最大化するように未知のパラメーター(樹形と枝長)を推定する方法(参考:三中 2009;田辺 2015)。

(*「尤度」は、あるモデルが正しいと仮定した状況で手元のデータが得られる確率[参考:大島 2016])。

・最尤法では、近隣結合法(neighbor-joining)や段階的配列付加法などで生成した初期系統樹と、それを枝交換によって樹形改変してできる系統樹の尤度を計算し、より尤度の高い系統樹が見つかればそれを初期系統樹としてまた同じことを繰り返す(参考:田辺 2015;大島 2016)。

・RAxMLによるブートストラップ(bootstrap)解析は、樹形の信頼性を検討するために、ブートストラップリサンプリングしたデータを用いて系統樹推定を繰り返すことで、各内分枝の再現率を得るもの(参考:田辺 2015)。

・ブートストラップでは、元のアラインメントからランダムにサイトを元の数だけ選んで1組の擬似データとする。その際、同じサイトを複数回選んでもかまわない。多数の擬似データの組について、系統樹を作成し、初期系統樹ののトポロジーが作成された回数を数え、再現率を得る(参考:田辺 2015;川端猛 2010)。

・最尤法の具体的な作業手順については、下平(2003)が参考になる。



ベイズ分析についての簡単なまとめ

・ベイズ法(Bayesian methods)は、パラメーターの事前確率分布(prior distribution)を仮定し,ベイズの定理のもとで尤度を通してデータの情報を加味した事後確率分布(posterior distribution)を目的関数とするベイズ推定を用いた系統樹の作成法(参考:三中 2009;田辺 2015)。

・ベイズ法の計算アルゴリズムとしてのマルコフ連鎖モンテカルロ法(Markov chain Monte Carlo略してMCMC)により,事後確率分布のかたちをうまく推定することにより,その期待値としてベストの樹形を選び出そうとする(参考:三中 2009;田辺 2015)。

・ベイズ法の詳細については、仲田(2006)が参考になる。 



分岐分類学の専門用語について(再掲)

分岐分類学の専門用語について、梶田(2012)は、最節約法に的を絞って、図を添えて簡潔明瞭に解説しています。



シリーズ記事の後書き

シリーズ記事「日本産ヤンマ科の系統樹」を終えるにあたり、蛇足を付け加えておきます。

シリーズ記事を通して、私は分岐順優先の記述をしてきました。

これは、たとえば人類の進化を語る際に、原始的なものから順にたどっていくと理解しやすいという発想を大切にしたからです。

しかしながら、分岐分類および分子系統解析(距離行列法を除く)のいずれにおいても、解析の手順は「派生形質をもっとも多く共有する分類群同士を互いに姉妹群として枝と枝をくっつける作業を繰りかえしながら、系統を古い時代に遡る方向に進みながら系統樹を組み立てていきます。

そのため、今回の記事では、尤度や事後確率の数値を添えて姉妹群を評価する記述を、その直前の記述(分岐順について述べている)と関連づける際に、読者の皆さんに混乱を与えた可能性があったのではと危惧します。

もし、その部分が何を言いたいのか分かりにくかったという印象をお持ちの方は、この分岐分析、分子系統解析の分岐確定手順や尤度について基本を押さえた上でもう一度私の比較検討の記述を読み返されると少しは理解していただけるかもしれません。

私自身は、大学院では昆虫の行動・生態を研究テーマとしてはいましたが、動物系統分類学講座に所属していましたので、様ざまな動物の比較解剖学の実習を受けたり、Hennig(1966)*の分岐分類学の大著(英語)を輪読したりと、系統分類学の理論と実際に関するトレ―ニングも積みました。

とはいえ、私が小規模な地方国立大学に奉職して以降に興隆した分子系統学については、直接遺伝子の抽出や配列決定などに直接携わった経験はなく、共著論文(Masaki et al. 2016 → こちらの過去記事参照)の作成過程で分子系統解析のデータの解釈の議論に参加したり、大学(大正大学、非常勤)での動物生態学の講義に際して教科書中の分子系統関連の記述を学生に簡単に解説した程度でした。

というわけで、今回のシリーズ記事内での分子系統関連の記述には不正確な点や誤解を与える点が含まれているかもしれません。

今後、気づき次第、訂正しますし、読者の皆さんからのご指摘もお待ちしています。


引用文献(後書き関連)

Willi Hennig (1966) Phylogenetic Systematics. (tr. D. Davis and R. Zangerl), Univ. of Illinois Press, Urbana.

Sinzo Masaki, Masayuki Soma, Hidenori Ubukata, Haruo Katakura, Rie Ichihashi, Zhuqing He, Nobuaki Ichijo, Norio Kobayashi & Makio Takeda (2016) Ground crickets singing in volcanic warm “islets” in snowy winter: Their seasonal life cycles, photoperiodic responses and origin. Entomological Science, 19(4), 416-431.



Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)

Bechly, G. (1996) Morphologische Untersuchungen am Flügelgeäder der rezenten Libellen und deren Stammgruppenvertreter (Insecta; Pterygota; Odonata) unter besonderer Berücksichtigung der Phylogenetischen Systematik und des Grundplanes der *Odonata. - Petalura, spec. vol. 2: 402 pp, 3 tabls, 111 figs (revised edition with 60 pages English appendix on the phylogenetic system of odonates). (Bechly 2007から間接引用)

Bechly, G. (2007) Phylogenetic Systematics of Euanisoptera / Aeshnoptera.

Carle, F. L. , K. M. Kjer & M. May. (2015) A molecular phylogeny and classification of
Anisoptera (Odonata). Arthropod Systematics & Phylogeny. 73(2): 281-301.
2018.8.25.アクセス

尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。

von Ellenrieder, N.(2002) A phylogenetic analysis of the extant Aeshnidae(Odonata: Anisoptera). Systematic Entomology (2002) 27, 437-467.
2018.8.25.アクセス



引用文献(分子系統学一般)

梶田 忠 (2012) 「授業/H24/進化生物学I/系統樹に関する基本用語」。

川端 猛 (2010) 「分子系統学基礎」。平成22年度・近畿大学・農学部・生命情報学(講義資料)


三中信宏  (2009) 「分子系統学:最近の進歩と今後の展望」。 植物防疫,63(3): 192-196.

村上勝彦 (2009) 「分子系統解析」。バイオインフォマティクスの基礎:分子生物学データベース(講義資料)

仲田崇志 (2006) 「Bayes 法(ベイズ法)の原理」。


大島研郎 (2016) 「生物配列解析基礎 」。分子系統学の基礎 (講義資料)。

下平英寿 (2003) 「系統樹の推定」。バイオインフォマティクス(分子系統樹の推定)の体験的入門5.

田辺晶史 (2015) 「分子系統学演習 データセットの作成から仮説検定まで」。


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2018-09-02 (Sun)
シリーズ記事「日本産ヤンマ科の系統樹」、第3回の今回は、第1回の「Bechly (1996/2007) による形態系統解析」、第2回の「von Ellenrieder (2002) による形態系統分析」に引き続いて、尾園・川島・二橋(2012による日本産トンボ目の分子系統樹からヤンマ科の属の部分を抜粋したものを紹介します。

日本産ヤンマ科の全9属23種のリストを、今回記事の末尾にも前々回記事から再掲しておきました。
必要に応じて参照してください。

ヤンマ科のイメージを再確認したい方のために、サラサヤンマ クロスジギンヤンマの生態写真を過去記事その1および過去記事その2から再掲しておきます(写真2、3)。

サラサヤンマ♂(3)
写真2 サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri ♂(過去記事より再掲)(写真はクリックで拡大)

クロスジギンヤンマ♂(1)
写真3 クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma ♂過去記事より再掲)


 目 次
 ◆はじめに:尾園ほか(2012)に掲載された日本産トンボ目の分子系統樹
 ◆尾園ほか(2012)による系統解析の方法
 ◆分子系統解析につての専門家による解説の紹介
 ◆分岐分類学の専門用語について
 ◆尾園ほか(2012) の分子系統樹から抜粋した日本産ヤンマ科の属の系統樹
 ◆尾園ほか(2012) による日本産ヤンマ科分子系統樹の、Bechly (1996/2007)、および von Ellenrieder  (2002) による形態系統樹との比較
 ◆日本のヤンマ科のリスト(前々回記事から再掲)
 ◆Refereces (引用文献)


はじめに:尾園ほか2012に掲載された日本産トンボ目の分子系統樹

尾園ほか(2012) による『日本のトンボ』は、ハンディ―な本であるにもかかわらず、日本産のすべてのトンボの成虫・幼虫の生体の原色写真、成虫の形態のうち同定の鍵となる部位の線画と説明文が生態や分布の情報とともに掲載され、トンボ研究者・観察者が種の同定をする際にたいへん重宝している本です(最新のものは改訂第三版)。

この本の表紙見返しには、日本産トンボ目の全203種の分子系統樹が掲げられています(これは、それまでの日本産のトンボ図鑑類にはなかったことです)。


尾園ほか2012による系統解析の方法

尾園ほか(2012)での分子系統解析は、この本の共著者である二橋亮博士が主に担当していて、同書の解説文「トンボの分類」の「トンボのDNA解析」の項に、その方法の概要が紹介されています(以下に抜粋)。

・「国内のトンボ全種について、核DNA(ITS1領域とITS2領域)とミトコンドリアDNA(16SrRNA領域とCOI領域)の情報が公開されている。」
・これらのDNAの「塩基配列の違いを指標に、異なるグループ間の系統関係を類推する方法から203種の系統関係(進化した道筋)を示す。」


分子系統解析についての専門家による解説の紹介

すぐ上の文章に、DNAの配列データから「異なるグループ間の系統関係を類推する方法」とありますが、どのような方法か一般の方には馴染みがないと思いますので、日本における生物系統学の理論的リーダーの1人である三中信宏博士による解説を紹介しておきます。

三中 信宏 (2009) :分子系統学:最近の進歩と今後の展望. 植物防疫,63(3): 192-196.


分岐分類学の専門用語について

今回のシリーズ記事では、以下のような分岐分類学の専門用語を頻繁に使用していて、解りにくい方も多いと思います。

系統樹/分類群/トポロジー/単系統群/姉妹群/側系統群/外群/形質/共有派生形質/最節約法/ホモプラシー

これらについて、図を添えて簡潔明瞭に解説しているウェブサイトがありますので、必要な方は参照ください。

以上2本の解説内容が難しすぎると感じられた場合は、「分子系統」「方法」でネット検索されるとよいでしょう。


尾園ほか(2012) の分子系統樹から抜粋した日本産ヤンマ科の属の系統樹

尾園ほか(2012)の表紙見返しに掲載された日本産トンボ目の分子系統樹から、ヤンマ科の属を抜粋して作図したものが、図3です(前々回記事前回記事からの通し番号)。

ヤンマ科(広義)の分子系統樹:尾園ほか[2012]に依拠 
図3 ヤンマ科(広義)の分子系統樹:尾園ほか(2012)に依拠(図はクリックで拡大)


尾園ほか(2012)による日本産ヤンマ科分子系統樹の、Bechly (1996/2007) および von Ellenrieder  (2002) による形態系統樹との比較

 この、尾園ほか(2012)による分子系統解析結果から得られた日本産ヤンマ科の分子系統樹(図3)を、Bechly (1996/2007) による形態系統解析結果から得られた日本産ヤンマ科の系統樹(図1前々回記事から下に再掲)、およびvon Ellenrieder  (2002) による形態系統分析結果から得られた日本産ヤンマ科の系統樹(図2前回記事から下に再掲)と比較してみましょう。

日本産ヤンマ科(広義)の系統樹:Bechly (1996/2007) に依拠 
図1 日本産ヤンマ科(広義)の系統樹(Bechly [1996/2007] に依拠) (図はクリックで拡大します)

日本産ヤンマ科(広義)の系統樹: von Ellenrieder(2002)に依拠 
図2 日本産ヤンマ科(広義)の系統樹(von Ellenrieder [2002]  に依拠)

尾園ほか(2012)による日本産ヤンマ系統樹の、Bechly (1996/2007)および von Ellenrieder(2002)のそれぞれの系統樹との共通点・相違点は以下の通りです。

・サラサヤンマ属 Sarasaeschna(またはそれに近縁な Oligoaeschna属)が一番早く分岐する点は3組の業績で一致。

・コシボソヤンマ属 Boyeria とミルンヤンマ属 Planaeschna が姉妹群であるという点で Bechly と一致。

・ヤブヤンマ属 Polycanthagynaが、カトリヤンマ属 Gynacantha と分岐した後で、ルリボシヤンマ属 Aeshna(あるいはルリボシヤンマ属を含む単系統群)と分岐している、という点において Bechlyと一致。

・Bechly、von Ellenriederのいずれも、トビイロヤンマ属 Anaciaeschna とギンヤンマ属 Anax を姉妹群としているが、尾園ほか では関連づけられていない。

・アオヤンマ属 Aeschnophlebia は、 von Ellenrieder 同様に、日本産の他の属と姉妹群にされていない。

以上をまとめると、尾園ほか(2012)では、サラサヤンマ属を除いては、ヤンマ科内での大多数の属の分岐順序が保留されています。

ただし、コシボソヤンマ属とミルンヤンマ属を、そしてヤブヤンマ属とルリボシヤンマ属を、それぞれ姉妹群としています。

とくに、ヤブヤンマ属とルリボシヤンマ属の姉妹群はユニークで、注目されます。

前回記事末尾に宿題としておいた、「ヤブヤンマ属がカトリヤンマ属よりも早く(古い時期に)分岐しているという、von Ellenrieder が導いた結果(Bechlyの結果とは逆)」への支持・不支持という点からいえば、今回の尾園ほか の結果におけるヤブヤンマ属の分岐位置は Bechly の結果とより近い、という結果となりました。

次回の第4回記事では、ヤンマ科についての Carle et al. (2015) によるもう一つの分子系統解析の結果を紹介し、それ以前の3回の記事で紹介した系統樹との比較を行います。
お楽しみに。


日本のヤンマ科のリスト(前々回記事から再掲)

日本には、9属23種のヤンマ科の種が分布しています(下記リスト:尾園ほか[2012]による)。

サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri (Martin, 1909)写真2
オキナワサラサヤンマ Sarasaeschna kunigamiensis (Ishida, 1972)
コシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883)
イシガキヤンマ Planaeschna ishigakiana Asahina, 1951
リスヤンマ Planaeschna risi Asahina, 1964
ミルンヤンマ Planaeschna milnei (Selys, 1883)
アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883
ネアカヨシヤンマ Aeschnophlebia anisoptera Selys, 1883
カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909
リュウキュウカトリヤンマ Gynacantha ryukyuensis Asahina, 1962
トビイロヤンマ Anaciaeschna jaspidea (Burmeister, 1839)
マルタンヤンマ Anaciaeschna martini (Selys, 1897)
ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883)
マダラヤンマ Aeshna mixta Latreille, 1805
オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856
ルリボシヤンマ Aeshna juncea (Linnaeus, 1758)
イイジマルリボシヤンマ Aeshna subarctica Walker, 1908
ヒメギンヤンマ Anax ephippiger (Burmeister, 1839)
アメリカギンヤンマ Anax junius (Drury, 1770)
ギンヤンマ Anax parthenope (Selys, 1839)
クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma, 1915写真3
オオギンヤンマ Anax guttatus (Burmeister, 1839)
リュウキュウギンヤンマ Anax panybeus Hagen, 1867


Refereces (引用文献):

Bechly, G. (1996) Morphologische Untersuchungen am Flügelgeäder der rezenten Libellen und deren Stammgruppenvertreter (Insecta; Pterygota; Odonata) unter besonderer Berücksichtigung der Phylogenetischen Systematik und des Grundplanes der *Odonata. - Petalura, spec. vol. 2: 402 pp, 3 tabls, 111 figs (revised edition with 60 pages English appendix on the phylogenetic system of odonates). (Bechly 2007から間接引用)

Bechly, G. (2007) Phylogenetic Systematics of Euanisoptera / Aeshnoptera.

Carle, F. L. , K. M. Kjer & M. May. (2015) A molecular phylogeny and classification of
Anisoptera (Odonata). Arthropod Systematics & Phylogeny. 73(2): 281-301.

尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。

von Ellenrieder, N.(2002) A phylogenetic analysis of the extant Aeshnidae(Odonata: Anisoptera). Systematic Entomology (2002) 27, 437-467.


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