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2023-11-26 (Sun)
先日(11月21日)の正午過ぎに、さいたま市西部の水田地帯脇の雑草や低木の茂みを訪れたところ、数頭のアキアカネ Sympetrum frequens (Selys, 1883) 写真)が日光が注ぐ中活発に飛んだりとまったりの採餌行動をとっていました。

アキアカネ♂
写真1 アキアカネ Sympetrum frequens ♂(画像はクリックで拡大します)

写真2は、そのうちの1頭(♂)が、とまっていた低木の葉から飛び立った後、舞い戻る途中のシーンです。

アキアカネ♂
写真2 アキアカネ Sympetrum frequens ♂ ‏時刻:‏‎12:43:58

なんの変哲もない場面ではあるのですが、顔面(頭部)が観察者から見て時計回りに傾いているのにたいし、胸部は反時計回りに傾いているのが気になります。

トンボ類は飛行中に急カーブをする際には頭部はそれまでの進行方向に対してほとんど傾けないのに対し、胸部(腹部はそれに追随)は急カーブ方向に背を向けるように傾けることが知られています。
これにより、羽ばたきによる揚力がカーブ方向への力にも振り向けられるわけです。

この考え方からいけば、写真2の瞬間、この個体は進行方向右(観察者から見て左方向)にカーブしていると解釈されます。

冗談半分になりますが、もしかすると、このトンボ、Uターンしてとまり場所に戻ろうとしたら見慣れぬ霊長類が怪しげな装置を自分に向けていることに気づいて少し避けようとしたのかもしれません。

写真3写真2と同じ個体が低木の葉にとまって、じっと前方を見ているところです。

アキアカネ♂
写真3 アキアカネ Sympetrum frequens ♂ (同一個体)  ‏‎12:44:36

このようにとまっていて、ときどき飛び立って戻るのは、視界にはいった小昆虫の捕獲をねらってのことであることは、いうまでもありません。

‏‎写真4は、静止中のこの個体をじっくり(つまりシャッターを何度も押しながら)撮影した中のベストショットです。

アキアカネ♂
‏‎写真4 アキアカネ Sympetrum frequens ♂ (同一個体)  12:44:28

トンボシーズンもまもなく終わろうとしているこの時期ですが、翅の傷みや汚れが目立たない個体であることがわかります。

日頃の「若活」(そんな言葉ある?)が功を奏したためなのか、それとも遅れて羽化した「若組」なのか、興味は尽きません。

そんな心のつぶやきが聞こえたのか、聞こえなかったのか、このトンボ、首をかしげました(写真1、再掲)。

アキアカネ♂
写真1(再掲) アキアカネ Sympetrum frequens ♂ (同一個体) 12:45:16

本当のところは、視界にはいった小さな虫を目で追った、といったところでしょう。

それにしても、アンパンマンを想起させる愛らしい横顔です。

このあと私はカメラの設定を動画に変更し、この個体の22秒間の動きを記録しました。

三脚も一脚も用意していなかったため、収録画像が不安定なものとなったので、その中から切り出した静止画2枚のみお見せしたいと思います。

動画では、12:46:06にこの個体は写真1(再掲)の位置から飛び立ち、その3秒後に同じ葉の少し基部よりの縁にとまりました(写真5)。

アキアカネ♂
写真5 アキアカネ Sympetrum frequens ♂ (同一個体) 12:46:09

写真5はとまった直後の写真で、とまる直前にこのトンボは脚をこの角度で開きながら着地しました。

写真6はとまってから2秒後ですが、とまった直後と脚の位置がほとんど変わっていません。

すなわち、右中脚のみ前方に置き換えていますが、前脚、後脚はとまった直後のままです。

アキアカネ♂
写真6 アキアカネ Sympetrum frequens ♂ (同一個体)  12:46:10

これは私にはちょっとした驚きです。

なぜかといえば、ぱっと飛びあがって、ぱっととまった瞬間にほぼ最適とまり位置に脚の爪先が着地しているからです。

たとえれば、体操競技で鉄棒の上空で前方2回転1回ひねりをした直後に正しく鉄棒を再度にぎる、くらいの離れ業を、オリンピック選手ではなく、そのへんを歩いているおじさんが平気でできているからです。

別にたとえれば人間がつくったAIドローンが空中で自在に動き回ったあと大きな木の葉の縁にその着陸用の脚(ドローンの中心部下方に附属)でぴたっととまり、その後も安定な静止状態を保つシーンです。


枯れ葉にとまるアキアカネ

写真7は、写真2を撮る2分前に近くの藪で撮影した別個体アキアカネ♂です。

アキアカネ♂
写真7 アキアカネ Sympetrum frequens ♂ (別個体)  12:41:12

翅もカサカサになりかけているトンボが、同じようにカサカサしてきている大きな葉にとまっているのは、秋の深まりを感じさせます。

半枯葉に 翅に艶なき 赤蜻蛉


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著者について:
生方秀紀(うぶかた ひでのり):北海道教育大学名誉教授、トンボ自然史研究所代表、理学博士(北海道大学);専門は昆虫生態学、自然環境教育;著書:『トンボの繁殖システムと社会構造』(共著)東海大学出版会;『坂上昭一の昆虫比較社会学』(共編著)海游舎、『ESDをつくる―地域でひらく未来への教育』(共編著)ミネルヴァ書房、『環境教育』(共編著)教育出版、他(こちらにリスト);訳書:コーベットトンボ博物学-行動と生態の多様性-(共監訳;2007)海游舎。

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