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2015-01-21 (Wed)
前回記事(ハナダカトンボ科のHeliocypha perforataで観察された、前幼虫の産み付けについての論文*内容の紹介)の続きです。

一口で卵胎生といっても、いろいろなタイプがあり、その卵生あるいは胎生との境界にはグレーゾーンがあるようです。

卵生から胎生までの様々な様態は、動物界全体を見渡して、以下の5つの様式(プラス下位様式2つ)に分類されています**。

Ovuliparity(排卵生【仮訳】): 受精は体外でなされる。もちろん卵生の1様式。 【例:硬骨魚類】
Oviparity(卵生): 体内受精だが、卵黄を有する卵として産み出される。卵生の1様式。【例:鳥類】
Ovo-viviparity(卵胎生):受精卵が母親または父親の体内に温存されるが親からの栄養供給はない。広い意味の卵生に属する。【例:タツノオトシゴ】
 ◇Ovolarviparity(卵幼虫生【仮訳】): 輸卵管中で卵の中の胚は
   第1齢幼虫にまで発達していて、産卵後まもなく、しばしば直後
   に孵化してすぐに幼虫は採餌を開始する***。 【例:ヤドリバエ科の一部】
 ◇Larviparity(幼虫生【仮訳】): 第1齢幼虫は産卵の前に孵化し、
   それが母親によって産み付けられる***。
Histotrophic viviparity(組織栄養性胎生【仮訳】): 接合体(受精卵、幼生など)は母親の輸卵管中で発育するが、その栄養は食卵oophagyまたは“兄弟食” adelphophagyから得る。【例:サンショウウオの1種(Salamandra atra)の子宮内共食い】
Hemotrophic viviparity(血栄養性胎生【仮訳】): 栄養は胎盤。【例:哺乳類、トカゲの1種(Pseudomoia pagenstecheri )】あるいはこの機能に特化した鰓。【例:カエルの1種(Gastrotheca ovifera)】を通して、母親から提供される。

以上が動物界における卵生~胎生のスペクトラムの分類です。

Heliocypha perforataの、今回観察が報告された産み方*は、上の分類のうちの、Ovo-viviparity(そのうちのLarviparity)、Histotrophic viviparityのいずれかが該当しそうです。

著者らはどのように考察しているでしょうか?

それは次回記事で取り上げたいと思います(今回、総論に触れたため、予告よりも1回遅くなりますが)。

注:
*Dayananda, H. G. S. K. & Kitching, R. L. 2014: Ovo-viviparity in the Odonata? The case of Heliocypha perforata (Zygoptera: Chlorocyphidae) . International Journal of Odonatology, 17: 181-185

**Thierry Lodé (2001): Les stratégies de reproduction des animaux (reproduction strategies in animal kingdom). Eds Dunod Sciences, Paris.(requoted from: 'Ovoviviparity' in Wikipedia (English)).(ただし、下位様式の追加は下記2つの論文による)

***Capinera, John L. (2008): Tachinid Flies (Diptera: Tachinidae). Encyclopedia of entomology (2nd ed.). Dordrecht: Springer. pp. 3678–3679.(requoted from: 'Ovoviviparity' in Wikipedia (English))

**** Wiman, N.G. & Jones, V.P. (2012): Influence of oviposition strategy of Nemorilla pyste and Nilea erecta (Diptera: Tachinidae) on parasitoid fertility and host mortality. Biological Control, 64 : 195–202.



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