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2015-01-23 (Fri)
前回の記事の続きです。

Dayananda & Kitching (2014)* が、自分たちが報告したハナダカトンボ科のHeliocypha perforataの単独雌による、前幼虫の産み付けという驚嘆すべき行動について考察した内容の紹介の続きです(青文字部分)。

次の問題は、この卵胎生が種、個体群、個体の各レベルで、どの程度の拡がりをもつかである。
卵胎生は、産み付け間隔が広がるので生涯産仔数の面で卵生よりも明らかに不利である。
アザミウマ目の1種Elaphrothrips tuberculatusでは、雌個体が条件に応じて胎生の仔と卵生の仔を産み分けるが、胎生の仔は数は少ないが、出生後の生存率が高い(Crespi 1989**)。
もしかすると、Heliocypha perforataもこのような条件に応じた産み分けに該当するかもしれない。

今回の卵胎生の観察は1雌の1回きりのものである。
もっとも補助仮説の少ない仮説は卵胎生である。
しかし、別の仮説も成り立つ。
すなわち、(産卵基質の中に)すでに存在していた前幼虫が、産卵動作中のこの雌の腹端にかかずりあったというもの。
もう一つの仮説は、雌が産卵場所に戻り、脱皮中の前幼虫を手伝うというもの。
他にも(もっともらしさは低下するが)仮説はいろいろ考えられる。

いずれにせよ、このような行動の再確認、生殖器官の解剖、親子の遺伝子型の比較(単為生殖の有無)、個体群生態の精査が今後求められる。


トンボの卵胎生を示唆する観察についてDayananda & Kitchingの論文の紹介は以上です。

トンボの卵胎生が確実なものとして報告されたのではなく、その可能性のある行動が観察されたというのが実際のところだといえます。

注:
*Dayananda, H. G. S. K. & Kitching, R. L. 2014: Ovo-viviparity in the Odonata? The case of Heliocypha perforata (Zygoptera: Chlorocyphidae) . International Journal of Odonatology, 17: 181-185.

**Crespi, B. J. 1989. Facultative viviparity in a thrips. Nature 337: 357-358.


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