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2015-02-27 (Fri)
トンボに意外なほど多くの光センサー遺伝子が存在し、複眼の部位、幼虫と成虫とで使い分けていることが、産業技術総合研究所、東京農業大学、総合研究大学院大学にまたがる研究グループにより明らかにされました。

http://www.aist.go.jp/aist_j/press_release/pr2015/pr20150224/pr20150224.html

その成果はアメリカの有力ジャーナルPNASの最新号に報告されています。

http://www.pnas.org/content/early/2015/02/18/1424670112.abstract

ヒトを含む多くの動物では色覚に関わる3~5種類のオプシン遺伝子(光センサー遺伝子)を備えていることが知られていましたが、今回の研究で、トンボは15~33種類と大変多いオプシン遺伝子を持つことが判明しました。

アキアカネの複眼の背側では主に紫外線(300 nm)から青緑色(500 nm)の短波長の光によく反応し、一方、腹側では紫外線から赤色(620 nm)までの波長の光に反応することが分かりました。

更に、個々のオプシン遺伝子は、幼虫と成虫のどちらか一方だけで使われているだけでなく、成虫で使われているオプシン遺伝子は、複眼背側、複眼腹側、単眼周辺のどこか一カ所の領域だけで機能していることも判明しています。

 トンボの幼虫は水中であまり動かずに生活するのに対して、成虫は陸上を活発に飛びまわる。したがって幼虫は成虫に比べると視覚や色覚への依存性が低いと予想される。また成虫では、複眼の背側では主に空を背景に物体を認識し、複眼の腹側では主に地表の環境、繁殖相手や餌などを認識する。

以上、産総研の上記サイトからの抜粋でした。

私が昨年11月の日本トンボ学会全国大会で衝撃をうけた二橋亮さんの研究発表とは、この内容でした。まだ論文公表前のようでしたので具体的内容についてのブログでの紹介は避けていたものです。

トンボは触角は退化傾向を示していて聴覚ももちろんないことから、視覚動物であると昔から言われていました。また、♂と♀で異なる色彩をしてセックスアピールしていたり、種ごとに微妙に色彩や斑紋パターンが異なっていることから、色覚があることはだれしもが思っていました。
しかし、基本的に黄色か赤の色しかまとっていないアカトンボがこんなに多くの色を識別していたというのは私にとって驚きでした。

成虫複眼の背側と腹側で見える波長(色彩)が異なるというのも、眼から鱗です。産総研のサイトにも書いてあるように、トンボは背を上に向けて水平に飛びますから大空からの紫外線や青っぽい光を複眼背方から多く受け、複眼腹方(下側)には地面や水面、植生などからの反射光が飛び込んできますので、視覚遺伝子の働き方は要領を得ています。

この論文の第一著者である二橋さんは幼少の頃からトンボを追い続け、その豊富な自然観察体験や持前の洞察力でこの研究をリードしています。
今後も応援していきたい人の一人です。


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