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2015-12-13 (Sun)
前回の記事では、私がYouTubeに投稿したアキアカネ Sympetrum frequens の連結産卵の動画をもとに、連結産卵における基本動作のサイクルを分析的に記述してみました。

今回は、上記の動画と同じ場所、同じ時間帯に撮影した多数の静止画を素材に、静止画ならではの各個体の挙動の細部を読み解くことを試みます。

ここで、アキアカネの連結産卵における基本動作のサイクルをまとめておきます。

→ 「水平飛行」 → 「雄主導の水面方向へのダイビング」 →
「雄の動作に促されての雌の腹端の打水(または打泥)」→
「雄主導の上空方向への飛び上がり」 → 「水平飛行」→

このようになっています。

以下、上記のサイクルに沿って、アキアカネの連結産卵の産卵動作における体部の細かい動きや雄雌の連携を、写真に即して見ていきます。
なお、産卵ペアは同一ペアとは限りません。
例によって「である体」での記述になります。
4桁数字は写真ID。

打水と打水の間の水平飛行。典型的な直列飛行になっている。雄雌の息はピッタリで、同じように羽ばたいている。
また、雄雌とも脚をぴったりと翅胸部に密着し、空気抵抗を最小化している。
0495
495_S. frequens_Oviposition


打水の直前。雄は大胆に下前方にダイブしつつ、腹を下方に打ち振り、雌の打水を促す。
雌は雄にひかれるように体を下前方にダイブする。
雌の腹先は鞭の先のように上向きに反っているが、これは打泥した瞬間の腹先への衝撃を和らげる効果があると思われる。
0591
591_S. frequens_Oviposition


打水した瞬間。雄の腹の前方下方への打ち振りにより、雄と雌のなす角度は上下逆のへの字状になっている。
この写真では水が意外に深く(といっても浅いが)、雌の腹は先の3節が水面下にはまっている。
雌の後足の脛節と腿節の角度が緩んでいるのは、雌の若干の焦りの表出か。
0423
423_S. frequens_Oviposition


この打水(打泥)では、適切な高度での打ち付けに成功している。
大部分の打水(打泥)はこのように、うまくいっている。ただし、写真では、たまたま泥の上の枯れ落ち葉を叩いており、雌の産卵弁(産卵孔の前縁についている蓋)へのストレスがかかっている。
朽ちて柔らかくなった枯葉で、柔らかい泥の上にのっているので、たいしたストレスではない。
石やコンクリートを叩くと、ダメージがあるだろう。
もちろん、アキアカネはそのようなことがないように、打水場所を選んではいるが。
0550
550_S. frequens_Oviposition


「おっとごめん!」雄が低空で打水動作をしたためか、雌は顔から水面にぶち当たってしまった。
486
486_S. frequens_Oviposition


この打水(打泥)でも、低空で雄が強く腹を叩きすぎたためか、雌の頭部と胸部が泥に埋まってしまった。
その後も産卵を続けたので、雌も、なんのこれしき、と想定内の出来事であったのだろう。
しかし、幸い、こんなミスが繰り返されることはあまりない。
そのような下手な産卵動作をさせる遺伝子は、産卵数が減ってしまうという罰を受け、次世代で比率(遺伝子頻度)が低下してしまうからだ。
0451
451_S. frequens_Oviposition


通常の打水(打泥)の直後、飛び上がるペア。
この写真では、雄の頭部、胸部はは早々と右上方を向いていていて、雄は打水の前から次の打水地点についてのアイデア(今度は少し右へ行こう)を持っているらしいことをうかがわせる。
0552
552_S. frequens_Oviposition


打水直後、飛び上がるペア。
この写真では雌のはばたき速度が雄のそれに比べて低く、ほとんど雄のはばたきの力だけで上方に飛び上がっていることがわかる。
「男はつらいよ」といいたくなる。
0475
475_S. frequens_Oviposition


打水直後、飛び上がるペア。
この写真では、雌も雄と協調するかのように羽ばたいている。
雄は次の打水に備えて、雌の頭を上方に吊り上げ気味に飛んでいて、この後、強く腹を前方下方に打ち振り雌の打水産卵を誘発することになる。
0549
549_S. frequens_Oviposition


打水と打水の間の水平移動の際、雄の主導で少し右方向へ進路を変更していることが、雄雌の体軸のなす角度からうかがえる。
雄の尾部付属器で雌の頭部天面をしっかりと挟みつけていることも見てとれる。
0499
499_S. frequens_Oviposition


これも雄が右方向に進行方向を変えようとしている。
頭部は微妙ながら、翅胸よりも更に右方向を向いている。
頭部と胸部の間はゴムの細い管のように柔らかいが、どっこい筋肉もはいっていて、やるべきことはやっている。
重い頭をささえ、視線を向けるために自由に頭の向きを変えるし、雌では連結した雄に引っ張られたり振り回されている頭と体重の大部分を占め、空気抵抗の大きい翅を生やした胸部・腹部とがこの細い首のところでちぎれないように、グッと筋肉を緊張させているに違いない。
0504
504_S. frequens_Oviposition


打水を終えて次の打水場所に向けて右にカーブしようとしている雄。
真っ直ぐ進むと稲の切り株にぶつかるので、これは当然の行動。
523
523_S. frequens_Oviposition


これで、アキアカネの連結産卵のサイクルを一通り、見たことになります。
ちっぽけな生きものですが、より身近に感じていただけたとしたら、ブロガー冥利に尽きます。

なお、アキアカネの単独産卵その他いくつかの行動・生態についてもこのブログで記事にしていますので、興味をお持ちの方は、このブログの上右のブログ内検索をご利用ください。


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