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2015-12-30 (Wed)
前2回の記事(その1その2)では、私が撮影した動画および静止画をもとに、アキアカネの産卵動作の分析をしました。

高速度撮影した動画のスロー再生を見ることで、動作の分析をより深めることができるはずです。

海野和男氏は、日本を代表する昆虫写真家の一人で、静止画はもとより、動画についても素晴らしい作品をインターネット上で公開しておられます。

その作品の一つ、「アキアカネの産卵 スーパースロー」(2015年10月6日の撮影。10倍スローの映像):
http://www.goo.ne.jp/green/life/unno/movie/movie.html?movieid=1444126234
は、私の期待に応えて余りある情報密度たっぷりの動画です。

以下、その作品を視聴して私が気づくことができたアキアカネの連結産卵の動作の細部について、時系列に沿って記述します。

このアキアカネの雌雄連結したペアは、全部で10回打水(打泥)している(空振りを含む)。

シーンが二度切り替わっているので、最多で三つの別ペアである可能性もある。

1回目、見事に打水。

2回目、空振り。
雄にとって、水面は光を反射するため、泥面にくらべて、自分との距離を測りにくいのかもしれない。
このとき、雌の腹は前下方へカーブしており、雌が出水(打泥)ポイントに腹端を当てようとしていることがうかがえる。
つまり、雄による打水動作によって受動的に振り回されているだけではなく、雌も独自の動作を付け加えていることがわかる。
まさに夫唱婦随、息がピッタリの協調行動をとっていることがわかる。
夫婦といっても産卵が終れば、離れ離れになり、翌日以降は別の個体とカップルになるのだが。

3回目、土の壁を打っており、これもミス。

4回目、藁屑と藁屑の間のスポット水面を狙うも、藁屑を打っており、残念。
そのあとの5,6、7回目は、藁屑の隙間のこれらスポット水面または泥面ををうまく打水(打泥)している。

8,9,10回目では、雌も腹を下前方にスイングしているのが見てとれる。
その際、雌は腹を各節間で折り曲げて全体をカーブさせるというよりも、ほぼ一直線だった胸部の前後軸と腹部の前後軸の間でヘの字型に折れ曲がるようにスイングしている。
つまり、胸部後端と腹部第1節の間をつなぐ筋肉のうち、背側でなく腹側のものが収縮していることになる。

9回目。打水後、飛び上がりながら、向きを変えるとき、雄の頭が先にそちらの方向を向いていることがわかる。

10回目。打水後、雌を引き上げるときの雄は必死なことが翅の羽ばたき頻度の増加や頭部・胸部を左右に揺する動きからうかがえる。

全体を通して、雄雌よく協調して羽ばたいている。

雌は腹部に大量の卵を抱えるため、産卵最盛期には体重は雄よりも、相当程度重くなるに違いない。

雄は、その♀の後頭部中央を尾部付属器でピンセットのように挟み付けて連結し、その♀を上下に打ち振りながら飛び回り、打水動作までするのであるから、人間で言えばスーパーマン並みの体力(瞬発力、持続力、正確さ)を持つ存在である。

現在の人間の工学技術力をもってしても到底足元にも及ばない。
トンボを始め昆虫達のもつ素晴らしい能力には感嘆せざるをえない。


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