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2014-10-03 (Fri)
9月29日に、さいたま市東部の園地の池で撮影しました。

ベニイトトンボ ♂ ←クリックで拡大します。

ベニイトトンボ*という名前のとおり、体全体が深い紅色を含む赤色から橙色に染まったイトトンボ科の種です。

ただし、♀は淡橙色から黄緑色で、彩度が低いだけでなく、くすんだ印象を与えます。

日本では宮城県と関東・東海以西、鹿児島県までという分布パターンを示し、寒さには弱い種のようです。
近年、地域絶滅が起きていて、国のレッドデータでは準絶滅危惧種に指定されています。
国外では朝鮮半島、中国にも分布しています。

同属で近縁のリュウキュウベニイトトンボ**が南九州と南西諸島から知られています。こちらは、国外では朝鮮、中国、台湾を経て東南アジアまで分布しています。

私が昨年まで住んでいた北海道では、イトトンボ科といえばエゾイトトンボやルリイトトンボといった、♂の成熟色が青色になるものが主流です。そのため、私の目には、ベニイトトンボの紅色はより一層鮮やかに映りました。

ベニイトトンボの紅色も、ルリイトトンボの瑠璃色も、その鮮やかさは♂で誇張されていますが、♀では強く抑えられ、枯草や若草に近い地味な色になります。

コシアキトンボ♂の記事の中で書いたように、♂の派手な色彩や斑紋パターンは♀へのアピールとなり、♀に気に入られる色彩・パターンを持つ♂がより多くの交尾、したがってより多くの子孫をゲットすることができるはずです。

ベニイトトンボの濃い赤色はこのような性淘汰によって発達したものと考えられます。♀でも少し赤くて(捕食者に)目立ってしまうのは、この♂の形質進化に引きずられて生じたものと思われます(コシアキトンボ♀の記事参照)。

それにしても赤いイトトンボは目立ちますね。
捕食者(鳥)の眼をもってすれば楽勝で探せるのではないでしょうか?
それでも食い尽くされずに生き続けているのはなぜ?
今後の私の謎解きのテーマの一つとしたいと思います。

注:
*ベニイトトンボの学名はCeriagrion nipponicumagrion は開けた野外に住むものという意味でイトトンボ類の属名の語幹によく用いられます。接頭辞のceri はギリシャ語でロウソクを意味しますが、これは属模式種のCeriagrion cerinorubellumの胸部が半透明っぽく、命名者であるオーストリアの昆虫学者Friedrich Moritz Brauerの眼にはロウのように見えたからかもしれません。種小名 nipponicumは日本のトンボ学の礎を築かれた故朝比奈正二郎先生が新種と認めて1967年に命名したものです。

**リュウキュウベニイトトンボの学名はCeriagrion auranticum。種小名の auranticumは、橘黄色の、橙色の、という意味です。ベニイトトンボと異なり、♂の複眼は緑色、尾部下付属器が長いのが特徴です。ごく最近、神奈川県、東京都で発見され、水草に不着したかたちでの人工的移入と考えられています。外来種ですので、在来の準絶滅危惧種であるベニイトトンボを駆逐する恐れもあり、侵入地では駆除が試みられています。


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