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2014-10-06 (Mon)
9月29日に、さいたま市東部の樹林のある園地の人工池で撮影しました。

アジアイトトンボ♀の産卵

1匹の♀が、水面に浮かんだヨシの枯れた茎にとまり、腹を強く下側(腹側)に曲げ、腹部第8・9節にある産卵管を、その枯れた茎に差し込もうとしているところです。

アジアイトトンボ*やギンヤンマのように、植物体やその断片の中に卵を産み付ける方式を、植物組織内産卵といいます。

一方、オオシオカラトンボやアキアカネのように水中や泥の中に卵を産み落とす方式を、植物組織外産卵といいます。

植物組織内産卵をするトンボ(均翅亜目の全て、ムカシトンボ亜目、および一部の不均翅亜目[ムカシヤンマ科、ヤンマ科])の♀の腹部第8・9節に備わっている産卵管は、ちょっと複雑な構造をしています。
「管」といってもパイプ状ではなく、ナイフ状の長い弁が3対、合計6枚合わさった構造です。
前から順に産卵弁腹片、産卵弁内片、産卵弁側片と呼ばれる部品からなっています。
側片は固くて動かないもので、いわば刀の鞘のように、残り2対の産卵弁片を衝撃から保護しています。

ドイツのHans K. Pfau氏の論文(1991)**によれば、腹部第9節の中にある丈夫な二つの筋肉を動かすことで、産卵弁内片が腹端方向に突き出したり戻ったりします。産卵弁腹片もそれに引きずられて一緒に前後に動きます。
産卵弁内片の先はノコギリの歯のようになっていて、この動きで植物組織の中に産卵管(側片を除く)が食い込みます。

ウクライナのS.N. Gorb氏の論文(1996)***によれば、産卵弁内片と腹片のいずれも、その内側には微毛が密生しており、しかも微毛の寝ている方向が腹の後端方向にそろっています。このような方向性のある毛並みの弁に挟まれたトンボの卵(ニワトリの卵よりももっと細長いです)は、弁が前後運動をするたびに、産卵管の先端方向に送られます。
こうして、最後は植物組織の中に安置されるというわけです。

産卵管の付け根には、もちろん卵巣で作られた卵が輸卵管、交尾嚢、膣経由で送り届けられるようになっています。

産卵弁で切り裂いた一つの孔に一つの卵を入れ込む、この神経を使う作業を、このアジアイトトンボのお母さんも、てきぱきとこなしていました。

トンボの体、よくできていますね!

※2014年10月8日追記:植物組織内産卵をするトンボの産卵管の構造は複雑で、上記のような言葉だけによる説明ではわかりにくいと思いますので、新たに、「トンボの産卵器の構造:植物組織内産卵用」という記事(産卵管の構造の模式図を添えています)をアップし、その中で再度説明しましたので、ご覧ください。

注:
*アジアイトトンボの学名や分布については同属の2種とあわせて、アジアイトトンボ♂の記事に書いておきました。

**PFAU, H.K.(1991) Contributions of functional morphology to the phylogenetic systematics of Odonata. Advances in Odonatology, 109-141

***Gorb, S.N. (1996)Egg transporting microstructures of the odonate ovipositor. Petalura vol. 2, 1996.


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