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2014-10-10 (Fri)
前々回の記事「アジアイトトンボの産卵」の続きです。

前々回および前回の記事では、♀の産卵管の重要なパーツである、産卵弁内片と産卵弁腹片の動作と性能について書きました。

アジアイトトンボの産卵(2)

 ↑クリックで拡大します。

上の写真は前々回記事と同じ個体の1分後の連続した2枚からの切り抜きを並べたものです。

6本の脚で植物に乗りかかっている位置は1分前(前々回記事)と同じですが、 (狭義の)産卵管(上左写真で、こげ茶色のタカの爪のように見える曲がった針状の器官:前回記事参照)を突き立てている位置は、前々回記事のときよりも若干後方になっています。

上右の写真では、腹端の位置は植物体に密着したまま変わらず、(狭義の)産卵管はほぼ全体が植物体に差し込まれています。
この瞬間に、卵が植物体の中へ押し込まれているはずです。

この写真2枚からわかることは、腹部7・8・9節が大きく背方に反っていること、逆に腹部5・6節の間は腹方に押し曲げられていることです。
(腹部、3・4・5節は産卵態勢をとっている間、ずっと腹方に強く曲げたままです。)

つまり、卵を産み付けるための産卵管挿入動作においては、腹部7・8・9節の節間の背方の縦走筋の収縮と、腹部5・6節の節間の腹方の縦走筋の収縮が、協調して行われていることになります。

腹部各節の筋肉には同じ節にある神経球*から枝分かれした神経が入り込んでいますが、各腹節の神経球は腹側を走る神経索によって鎖状につながり、最前方で頭部にある脳(食道上神経球)に達しています(次回掲載予定記事参照)。

体全体にわたって統制のとれた産卵動作が行うことができているのは、脳によってコントロールされているからにほかなりません。

「一寸の虫にも五分の魂」といわれますが、虫にも人間に負けない魂があると思いませんか?

注:
*トンボ目では、各腹節の神経球のうち第1節のものは胸部の神経球に併合され、第9,10節のものは第8節の神経球に併合されています(Tillyard 1917**)。
神経球、神経索については、次回の記事で図入りで説明する予定です。

腹部第8・9・10節には生殖にかかわる内部・外部の諸器官が集中していますので、トンボ目が系統分岐した2億5千万年前までの数千万年にわたる進化の過程で、神経機構も局所的に(第8節に)統合されたのでしょう。

**Tillyard, R. J. (1917) The biology of dragonflies (Odonata or Paraneuroptera). Cambridge University Press.  

***Corbet, P. S. (1999) Dragonflies: Behavior and Ecology of Odonata. (日本語版『トンボ博物学‐行動と生態の多様性』(海游舎2007)によれば、原トンボ目が3億2500万年前、トンボ目は2億5000万年前にそれぞれ最初の化石が見つかっています。


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