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2016-08-01 (Mon)
絶滅危惧種ベッコウトンボLibellula angelina Selys, 1883 (写真1、再掲)は、以前の記事で紹介したように、全国的に生息地の数が減少の一途を歩んでいます。

ベッコウトンボ♂160512a
写真1.桶ケ谷沼のベッコウトンボLibellula angelina ♂。生方秀紀撮影。(クリックで拡大)

そんな中で、静岡県の桶ヶ谷沼では、前回記事でご紹介したように、地元の団体が連携しながら精力的に生息地の保全活動にとりくみが功を奏して、一定数の個体数が維持されています。

筆者が今年5月中旬、桶ケ谷沼とそれに隣接する鶴ケ池を訪れた際には、本種の成虫の行動を観察・撮影したほか、保全策の一端も垣間見ることができました(以前の記事参照)。

沼の周りの遊歩道を歩くと、写真2のように、沼に続く真っ直ぐな水路を眼にすることができます。

桶ヶ谷沼浄化用水路2016May
写真2.桶ヶ谷沼浄化用水路。生方秀紀撮影。(クリックで拡大)

観察した当日は、この沼には昔からこのような水路があったのだろうと軽く考えていた次第ですが、前回記事を執筆するために資料を収集し、読み解いていく中で、この水路が沼の水の浄化のために、岩井里山の会のメンバーが中心になって苦労して掘削したものだと解りました。

このような水路は、沼の上流の集水域からの湧水や地表水を沼本体にスムースに導き、沼の下流側にも同様に水路を設けたことで、沼の水の更新が改善され、富栄養化などを起こす汚濁の原因物質などの濃度を低下させることができるでしょう。

そして、ベッコウトンボの個体数維持に大きく貢献している「生簀」を鉄柵越しに観察・撮影することができました。

生簀を管理する際には、写真3のようなゲートを開錠して入るようになっており、一般利用者は生簀に近づくことができません。
おそらく、大勢の一般利用者が生簀に近づくようになると、生簀の周りを取り囲むザリガニ侵入防止のための網や部材に隙間があくなどして、アメリカザリガニ侵入の危険度を高めるからでしょう。

桶ヶ谷沼トンボ生簀2016May
写真3.桶ヶ谷沼トンボ生簀。生方秀紀撮影。(クリックで拡大)

写真2の水路の右横にも生簀が写っています。

これらの生簀は、前回記事で紹介したように、2008年以降に設置されたものです。
また、水路の掘削は2004年以降に行われました。

ですので、1990年以前の沼の航空写真には、生簀も水路も写っていません(下の写真)。

桶ヶ谷沼航空写真1988-90電子国土Webより
桶ヶ谷沼航空写真1988-90電子国土Webより。(クリックで拡大)

そして2009年の航空写真(下の写真)には、当然ですが、生簀と水路が確認できます。

桶ヶ谷沼航空写真2009電子国土Webより
桶ヶ谷沼航空写真2009電子国土Webより。(クリックで拡大)

下の写真は、航空写真の生簀の部分を拡大したものです。

桶ヶ谷沼トンボ生簀2016GoogleEarthより
桶ヶ谷沼トンボ生簀2016GoogleEarthより。(クリックで拡大)

右側に写真2の水路が、上中央に写真3のゲートが写っています。

この写真を見て思うことは、よくぞこれほどの大きさ、数の生簀を掘削、構築し、その後の維持管理、改良を行っておられるな、ということです。
しかし、これだけのことをしなければ、他の生息地同様、ベッコウトンボは滅んでいくことになるということもまた確かです。

国の環境予算のかなりの部分を除染に費やさざるを得なくしたような政策の失敗を繰り返すことなく、かけがえのない地球上の生命の永続のために予算や人員をもっと振り向ける時代を引き寄せたいものです。

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