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2014-10-14 (Tue)
前回の記事「アキアカネの連結産卵」の続きです。

下の写真は、前回の連結産卵のペアのうちの♀と同一個体です。

アキアカネの単独産卵
 ↑クリックで拡大します。

そのペアによる連結産卵を、一眼レフでバシャバシャと撮影していたのですが、ある程度産卵したところで突然♂が連結をほどき(つまり♂の尾部付属器のピンセットを緩め)、♀をそのままにして、池の外へと飛び去ってしまいました。

ずいぶん淡泊な♂だなと思いましたが、おなかでも空いたのでしょうか。
以前、北海道でアキアカネの連結産卵を見ていたときには、♀が疲れてヨレヨレになっていたのに、しつこく連結打水産卵を続けていた♂を見たこともありましたが!

余談はさておき、残された♀は、何事もなかったかのように、同じ場所で、単独で打水(打泥)産卵を続けました。

当然のことですが、♀は♂にリードされなくても卵を産めます。
そして、♂に産まさせられるよりもずっと晴れ晴れとした様子で、リズミカルに湿った泥面や浅い水面を、腹先でたたいていました。

写真左、中、右の順に1分間以内に撮影した、ほぼ連続した写真です。

左は、いまや泥面をたたこうと意を決した瞬間で、腹のうしろ半分がわずかに背方に反っています。
泥面を叩く際には、当然その面から物理的反作用を受けますから、打撃の瞬間には♀の腹の中では腹側(背側でないほう)の縦走筋が収縮して、打撃による体の損傷を防いでいるはずです。
ですので、左の写真で腹をそらしているのは、野球のバッターでいえばテイクバックをしているのに例えることができるでしょう。

中の写真は打泥の瞬間です。腹が真っ直ぐ伸びていることから、腹の縦走筋が緊張している様子が伝わってきます。
まちがって小石でもたたいたりした場合には、腹先がちぎれかねません。それではたまりませんので、気を抜くことはできないでしょう。

打泥の瞬間の翅はシャッター速度400分の1秒でもブレて写っています。これは、翅を小刻みに震わせて体の位置や角度を調節しているからでしょう。
とはいえ、打水・打泥は一瞬のできごとには違いありません。

ヘリコプターに同じことをやれ、といってもできないでしょうから、トンボの飛翔能力の高さには驚かされます。

右の写真は、1回の打泥の直後に、左の写真とほぼ同じ高さに戻るために、舞い上がろうとしているところです。
弾みがついていますので、打泥・打水の直後の腹部は打泥・打水の瞬間よりも少し下前方(腹側)に折れ曲がりますが、もとの高さに飛び上がる間に、腹部も胸部も背方に振り戻し、水平に近くになります。

この打水・打泥を10回か20回程度行って、♀は池の外へと飛び去りました。

ヒトの女性の出産も大変とは聞いていますが、アキアカネの産卵もそれなりに骨の折れる仕事です。
それでも、餌となる小虫が待っている野原へ戻って行ったこの♀個体も、あの小さな脳(記事「トンボの神経系:産卵行動と神経球統合」参照)のどこかで、一腹の卵を無事産み終えたことによる、ささやかな充実感を感じていたのではないでしょうか?


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