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2017-06-03 (Sat)
最初に、今回記事のスト―リ―の主役、ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus (Ris, 1916) ♂のご紹介です(写真1)。

ホソミオツネントンボ♂、5月末 
写真1 ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus (Ris, 1916) ♂(写真はクリックで拡大します)

ホソミオツネントンボは、オツネントンボ Sympecma paedisca (Brauer, 1877) 同様、アオイトトンボ科に属している成虫越冬種です。
体の色は草木の枯れる冬を越す時期には背景の中に溶け込む淡褐色を呈していますが、越冬後の繁殖シーズンには写真のように、薄いブルーに身を染め、婚活に励みます。

私が以前住んでいた北海道では、ホソミオツネントンボは道南の一部で偶発的に見つかっているだけの超レアな存在であったため、今回が私との初対面となりました。
小さな感激でした。

続いて、敵役(失礼!)のホソミイトトンボ Aciagrion migratum (Selys, 1876) ♂をご紹介します(写真2)。

ホソミイトトンボ♂、5月末
写真2 ホソミイトトンボ Aciagrion migratum (Selys, 1876) ♂

ホソミイトトンボはイトトンボ科に属する成虫越冬種で、昨年5月に私に軽いショックを与える出会いを用意してくれました。
その詳細については「以前の記事」をご参照ください。

さて、今回のストーリーの舞台は、「前回記事」の中の最初の池(ヒシの生育する溜め池)です(写真3、再掲)。

ヒシのある溜め池(2017年5月末) 
写真3.ホソミオツネントンボとホソミイトトンボの♂間で確執が見られた溜め池。ヒシが生育する。

この池の堤体の水辺(写真3では、左)に私が降りた際にコサナエが出迎えてくれたことを枕に、その日のコサナエの行動についての私の気づきを「前回記事」にしたためました。

その最初のコサナエを観察・撮影中にも、岸のより水面に近いレベルでは青色系のイトトンボ類の活発な動きが私の視野に入っていたのでした(写真4)。

ホソミオツネントンボとホソミイトトンボのとまり場争い(1)
写真4 異種イトトンボ間の執拗なハラスメント

写真4のように、水面上に突き出す枯草の垂れた先端近くに細いイトトンボ類が静止し、その静止した個体に別のより青味の強いイトトンボ類が接近を繰り返しています。
人間の世界でこのような行動をしたらハラスメントとして訴えられそうです。

ズームアップしてカメラのファインダー越しに注視すると、それは胸の側面に特徴的なパッチ状の黒斑があり、ホソミオツネントンボであることがわかりました(写真1)。

腹の先端近くに産卵管がなく、アオイトトンボ科の♂に特徴的な尾部付属器があることから、♂であることもすぐわかります。

写真5の3枚連続写真は、写真4の続きです。
 
ホソミオツネントンボとホソミイトトンボのとまり場争い(2)
写真5 ホソミオツネントンボ♂に接近後、すぐ近くにとまるホソミイトトンボ♂

写真5上段に見るように、けっこうしつこく青味の強い接近個体がこのホソミオツネントンボ♂に接近を繰り返しています。
接近といっても、連結をしかけたり、つかみかかったりといった物理的な接触にまではいたらない、一定の空間距離を残しながらの接近です。

その後、接近していた方の個体は、20cm程度情報の別の草にとまりました(写真5中段、下段)。
接近していた方の個体はホソミイトトンボ♂でした(写真5下段)。

ホソミイトトンボは、ホソミオツネントンボとは属どころか、科まで異なる全く別の種なのですが、どうやら、この♂にとって、あのホソミオツネントンボ♂がとまっている場所が大変魅力的で、自分がそこにとまりたいようなのです。

1分もしない間に、またホソミイトトンボ♂が同じホソミオツネントンボ♂に接近しています(写真6)。

ホソミオツネントンボとホソミイトトンボのとまり場争い(3)
写真6 ホソミイトトンボ♂に接近され、腹部を下に曲げ、背面を見せつけるホソミオツネントンボ♂

写真6の上段は接近する前、下段は接近している際のカットです。
接近された際に、ホソミオツネントンボ♂は翅を少し開いて、更に腹部を基部で下方に少し折り曲げ、真っ直ぐ伸びたままの腹部背面を相手に誇示しているかのような動作を示しました。

写真7~9は、写真6から13~14分経過後のシーンですが、写真7と写真8は、ホソミイトトンボ♂に接近されたホソミオツネントンボ♂が翅を開いて警戒を示しているところです。

ホソミオツネントンボとホソミイトトンボのとまり場争い(4)
写真7 ホソミイトトンボ♂に接近され、翅を開くホソミオツネントンボ♂(1)

ホソミオツネントンボとホソミイトトンボのとまり場争い(5) 
写真8 ホソミイトトンボ♂に接近され、翅を開くホソミオツネントンボ♂(2)

写真9は、このとまり場所を手にいれようとするホソミイトトンボ♂の態度がいかに執拗であるかを伺わせます。

ホソミオツネントンボとホソミイトトンボのとまり場争い(6)
写真9 執拗にホソミオツネントンボ♂のとまりばを狙うホソミイトトンボ♂

以上の観察から、ホソミオツネントンボ♂とホソミイトトンボ♂はとまり場所の選好性がよく似ていて、今回の観察地のように、適当なとまり場が少ない状況のもとでは、しつこくハラスメントをくりかえし、あわよくばとまり場所を横取りしようという行動がありうるということがわかりました。

それでも、追い立てをくらっていたホソミオツネントンボは涼しい顔で翅と腹部の動作による威嚇でそれを跳ね返し、とまり場所を(少なくとも私が見ている間)守り切っています。

逆にホソミイトトンボが先にとまっている状況で、ホソミオツネントンボが追い立て行動をとるかどうかは今回観察できていないので、実際のところは不明です。
ただ、同様の行動が起こることは十分予想できますし、体が少し大型な分、ホソミオツネントンボ♂がホソミイトトンボのとまり場所を奪うことが起こりうるかもしれません。

今後機会があったら、注目してみたいと思います。

今回、この両種の交尾行動も観察・撮影しましたが、それについては次回の記事で触れたいと思います。


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