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2017-06-07 (Wed)
5月末の好天の日の午前、ヒシの生育する溜め池でホソミイトトンボ Aciagrion migratum (Selys, 1876)の交尾も観察・撮影できました(写真1)。

ホソミイトトンボ交尾5月末(1) 
写真1 ホソミイトトンボ Aciagrion migratum の交尾(1)(写真はクリックで拡大)

前回までの記事でとりあげた、コサナエホソミオツネントンボも観察された同じ場所、同じ時間帯(午前9~11時)です。

溜め池の堤体の水辺の草の葉に交尾態でとまっているところを発見・撮影しました。
この角度からですと、♂、♀の両方に同時にピントがあいませんので、♀にピントを合わせたカットを写真2としてお示しします。

ホソミイトトンボ交尾5月末(2)
写真2 ホソミイトトンボ Aciagrion migratum の交尾(2)。写真1と同じペア。

交尾中、♂は翅を少し開いた状態で、♀はぴたっと閉じた状態となっています。

この時は、この場所での観察時間が短かったこともあり、交尾後の産卵のシーンを見ることはありませんでした。

去年、別のため池でホソミイトトンボの産卵活動中の写真を撮影し、このブログで紹介しました(こちら)。
ただし、そこでは話題は、
産卵そのものではなく、「なぜホソミイトトンボは越冬のために「フトミイトトンボ」という体型を選ばなかったのか?」という自分の疑問に自分で応えようとしたものです。

さて、話をもどします。
今回のこの池、少し歩くと他の池も2,3ありますので、カメラをぶら下げてそちらも見にいきました。
残念ながら、他の池にはトンボはきておらず、1つの池の周りの林内にカワトンボ(地理的位置からアサヒナカワトンボとされます)を1頭確認しただけでした。

そして、今回のこの池(ヒシの生育する溜め池)に戻ると、池の側面通路沿いの岸の草で、ホソミイトトンボの別ペアが交尾していました(写真3)。

ホソミイトトンボ交尾5月末(3)
写真3 ホソミイトトンボ Aciagrion migratum の交尾(3)。写真1、2とは別ペア。

やはり、♂は翅を半分ほど開き、♀は閉じています。

私が撮影角度を変えるために回り込むと、このペアはちょっと飛んでとまり替えました(写真4)。

ホソミイトトンボ交尾5月末(4)
写真4 ホソミイトトンボ Aciagrion migratum の交尾(4)。写真3と同じペア。

今度は♂の翅は少し閉じ気味ですが、それでも少し開いています。

今回、Googleで「ホソミイトトンボ 交尾」をキーワードに画像検索をしたところ、♂が翅を少し開いているものばかりでしたので、種、あるいは広域個体群のレベルでこの翅の仕草が固定している可能性が考えられました*。

イトトンボの♂が交尾中に翅を少し開いていることは、別に珍しいことではありませんが、前回記事で紹介したホソミオツネントンボの連結中の♂が翅を閉じていることが多かったのとは対照的でしたので、それにこだわった記述となりました。

翅を半開きにしている状態は、翅を閉じる筋と開く筋の両方を稼働させていることになりますので、それなりにエネルギーを消費するはずです。
半開きにしていることにはこのコストを支払う以上の利益(適応的価値)を得ているのではないでしょうか。

一つ考えられるのは、前回のホソミイトトンボの♂のように、他個体が接近してから翅を開いて警告するのもよいが、ホソミイトトンボのようにあらかじめ半開きにしておいて他個体に早々と警告信号を出し続ける、ということです。

この仮説を検証するには、翅を開かせないように手を加えた交尾ペアと、翅を半開きにしたまま固定した交尾ペアを同一条件に置き、そこに接近する他個体の行動上の反応のタイプの比率を統計的に比較するという方法が考えられます。


これで、この「ヒシの生育する溜め池」のトンボのネタは尽きました。

次回記事では車で移動した先の別のため池のトンボ、とりわけヤンマ科の個体をとりあげます。

*注:皆さんの中に、「いいや、こちらのホソミイトトンボ♂は交尾中ほとんど翅を閉じているよ」という方がおられましたら、コメント欄等でリアクションしていただけると有難いです。


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