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2017-06-18 (Sun)
6月上旬の好天の日、耕作放棄された棚田をかかえる谷戸の最上部のため池にトンボ探しに行きました。
目的地に近づくにつれて、ヨシの群生にクズ(葛)のツルが巻き付くブッシュが行く手をはばむようになりました。手には軍手、頭には帽子とゴーグルを装い、一歩一歩進んで行きます。

一番奥の、池があった場所がヨシ原に埋め尽くされた猫の額のような湿草原で、その草原が谷斜面とぶつかる所は、泥に埋まった細い流れになっています(写真1)。

サラサヤンマ♂の♀探索行動がみられた湿地
写真1 サラサヤンマ♂の♀探索行動がみられた湿地 (写真はクリックで拡大します)

この湿地に足を踏み入れると、小型の黒っぽいヤンマが通りかかりました。

息を止めてカメラを用意している間も、このヤンマは泥面から30~50cmの高さをゆっくり飛行しながら、時々ホバリングしています。

それを高ISO、高速シャッターでがむしゃらに撮影した中のベストショットが写真2と写真3です。

サラサヤンマ♂(1) 
写真2 サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri ♂(1)(トリミング)

サラサヤンマ♂(2)
写真3 サラサヤンマ♂(2)(トリミング)

体サイズ、色調、ロケーションから判断してサラサヤンマ Sarasaeschna pryeri (Martin, 1909) の♂に違いないとその場で判断しました。
帰宅後、図鑑で正解だったことが確認できました。

サラサヤンマとは私が北海道在住時に観察した経験がありますが、その頃は銀塩フィルムの一眼レフの時代で、このような空振り山積みの撮影をすることは考えもしませんでした。

写真2,3とも、トリミングしていますが、ストロボ発光も画像調整もしていないものです。

♂は、このように湿地上の低いところを飛び回りながら、明らかに♀、とくに産卵中の♀を探しているに違いありません。

そして、思いのほか、頻繁に、その飛び回り範囲内の草や木の垂直に近い茎や幹・枝にとまります(写真4)。
その高さは泥面から30~50cmでした。

サラサヤンマ♂(3)
写真4 サラサヤンマ♂(3)(トリミングなし)

写真4と、その直前にクローズアップして撮影した写真5は、いずれも内蔵ストロボを発光させたもので、その分、色調が鮮やかに写っています。

サラサヤンマ♂(4)
写真5 サラサヤンマ♂(4)(大幅トリミング)

写真5のオリジナル画像では複眼を構成する個眼がおりなす網目をとらえることができます。
私としては上出来な写りとなりました。

ついでながら、この個体、複眼に凹み傷がありますね。
しかし複眼の背面部の小さい傷ですので、♀や♂を認識したり追尾する上では問題なさそうです。

探索飛翔の間のとまった回数は、午後2時半の観察開始から3時15分の観察切り上げまでの45分間に丁度10回でした。
とまるたびにシャッターを押しましたので、回数は正確です(笑)。

薄暗い中での飛翔個体の撮影が主体でしたので、この間のシャッターを押した回数は170回となりました。

ストロボ発光で静止個体の写真撮影成功に味を占めて、飛翔個体もストロボでねらいましたが、そのうちこの個体がどこかへ行ってしまったので、ベストショットはなんと「葉隠れ」を彷彿とさせる写真6となってしまいました。

サラサヤンマ♂(5)
写真6 サラサヤンマ♂(5)(トリミング)

写真6は作品としては不合格ですが、サラサヤンマの生態を知る上では、なかなかの舞台づくりになっているといえるでしょう。
つまり、ヨシが疎生している薄暗い湿地の低いところを縫うように飛ぶ本種♂の習性を見てとることができるというわけです。

最後は言い訳じみてしまいました。

冒頭のタイトルを「出会いの場での振舞い(前編)」とした理由は、もちろん、このような場所で見事♂が♀を見つけて交尾に成功するところまで見届けたら「後編」をブログにアップするつもりがあるからです。

この湿地もいずれ乾燥化して生息不適になりそうな予感があり、いつ後編が書けるかのあてはありませんが、今後の楽しみの一つとしておきます。


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