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2014-10-15 (Wed)
このブログで、これまでに、いくつかのトンボの科の名前や亜目の名前が出てきました。

トンボのことを一通り知っている方以外には、とっつきにくかったと思いますので、このあたりで日本産のトンボの科レベルの系統樹をご紹介しておきます。

トンボ目の系統樹(日本産の科に限定)
 ↑クリックで拡大します。

上の系統樹の図は、 下の二つの論文で提示された分岐図から日本産の科を抽出して、私が作図したものです。

均翅亜目:
Dijkstra, K.-D. B., Kalkman, V. J., Dow, R. A., Stokvis, F. R., & van Tol, J. (2013). Redefining the damselfly families: the first comprehensive molecular phylogeny of Zygoptera (Odonata). Systematic Entomology DOI: 10.1111/syen.12035.

不均翅亜目:
Dijkstra, K.-D.B. & Kalkman, V.J. (2012) Phylogeny, taxonomy and classification of European dragonflies and damselflies (Odonata): a review. Organisms Diversity & Evolution, 12, 209–227.


系統樹というのは、生物の血統の枝分かれを相対的な時系列に沿って図式化したものです。
枝分かれが、系統樹の根本(下の図では左端の一本の短い横線)に近いほど(図では左に行くほど)、血縁関係は遠くなります。

逆に、系統樹の樹冠(図では右端)に近いところで枝分かれしたもの同士はお互いに近縁ということになります。

系統解析の対象となる種の標本からDNAを抽出して、特定の部位における塩基配列の変異の共有の仕方を解析することによって、もっともらしい系統樹が得られます。

主に外部形態に基づいて築かれてきた、旧来の系統分類との齟齬の検討を経たものであれば、信頼度は一層高くなります。

今回の系統樹の典拠とした論文の主著者であるDijkstra氏は、トンボの形態学、分類学、生物地理学に関する重厚な研究業績をお持ちの学者(でもまだ若い方です)ですし、共著者も信頼できる面々ですので、現時点では大いに参考にしてよいと思います。

図では、三つの亜目(均翅亜目、ムカシトンボ亜目*、不均翅亜目)を色付きの枠で囲みました。

それぞれの科のトンボがどのような形態をしているかについては、下記のリストの科の名前をクリックしてください。このブログのアルバム「トンボの横顔」からピックアップした生態写真が表示されます。

アルバム未登載の科については、青木典司氏の「神戸のトンボ 」に掲載された画像に外部リンクさせていただきました。
あわせて、参考になさってください。

均翅亜目:
 アオイトトンボ科
 ヤマイトトンボ科の一部:Rhipidolestes
 ミナミカワトンボ科(画像、外部リンク
 ハナダカトンボ科
 カワトンボ科
 モノサシトンボ科
 イトトンボ科

ムカシトンボ亜目*:
 ムカシトンボ科(画像、外部リンク

不均翅亜目:
 ヤンマ科
 ムカシヤンマ科(画像、外部リンク
 サナエトンボ科
 オニヤンマ科
 ミナミヤンマ科(画像、外部リンク
 ミナミヤマトンボ科(画像、外部リンク
 エゾトンボ科
 ヤマトンボ科
 トンボ科

注:
*ムカシトンボ亜目は、翅が前後翅とも同形な点が均翅亜目と共通し、頭から尾までの胴体の基本形態は不均翅亜目とほぼ共通しているということなどから、現存のトンボ目の3番目の亜目として古くから(Handlirsh 1906**; Asahina 1954*** )認められてきていました。
しかし、ここ20年ほどはムカシトンボ科が唯一属する系統群を独立した亜目にはせず、不均翅亜目の中の一群へと「格下げ」する研究成果が幅をきかすようになっていました(たとえば、Bechly 1995****)。
最近出版され、最新の学名などに関して、私も参考にしている「日本のトンボ (ネイチャーガイド)」(尾園 暁, 川島 逸郎, 二橋 亮 著、文一総合出版、2012)でも、2亜目のシステムを採用しています。
興味深いことに、極く最近はムカシトンボ亜目を復活する動きがあり*****、私もこの最新の見解を今回採用しました。
ムカシトンボ亜目問題については、また機会を見てとりあげたいと思います。

**Handlirsh, A., (1906-08). Diefossilen Insekten und die Phylogenie der rezenten Formen. 1430 pp., 51 pis.

***Asahina, Syoziro, 1954. A morphological study of a relic dragonfly Epiophlebia superstes Selys (Odonata, Anisozygoptera). Tokyo, Japan Society for the Promotion of Science.

****Bechly, G. (1994): Morphologische Untersuchungen am Flügelgeäder der rezenten Libellen und deren Stammgruppenvertreter (Insecta; Pterygota; Odonata) unter besonderer Berücksichtigung der Phylogenetischen Systematik und des Grundplanes der *Odonata [Morphological analysis of the wing venation of extant dragonflies and their stemgroup representatives (Insecta; Pterygota; Odonata) with special reference to phylogenetic systematics and the groundplan of crowngroup Odonata]. - unpubl. diploma thesis, Eberhard-Karls-Universität Tübingen; 341 pp., 3 tabls, 111 figs.

*****Dijkstra, K-D. B., G. Bechly, S. M. Bybee, R. A. Dow, H. J. Dumont, G. Fleck, R. W. Garrison, M. Hämäläinen, V. J. Kalkman, H. Karube, M. L. May, A. G. Orr, D. R. Paulson, A. C. Rehn, G. Theischinger, J. W. H. Trueman, J. van Tol, N. von Ellenrieder & J. Ware. (2013). The classification and diversity of dragonflies and damselflies (Odonata). Zootaxa 3703(1):36-45.


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