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2017-06-28 (Wed)
私の個人フェイスブックの「友達」のうちトンボ写真を手掛けている方のタイムラインや、トンボ関連の「グループ」のタイムラインには、時たま「おやっ」と思う形態や色彩のトンボが紹介されることがあります。

そこに付記されたトンボの種名で画像検索すると、同じ種の個体がさまざまな角度から撮られた写真が閲覧できることが多々あります。
それはトンボ好きの者にとって一つの「花園」状態です。

今回は、それらのトンボの一つ、Oxythemis phoenicosceles Ris, 1910(トンボ科)をとりあげます。

本種はWikipedia英語版(2017.6.28.アクセス):
によれば、ウガンダからガンビアまでの西部・中部アフリカに分布する1属1種で、熱帯から亜熱帯までの湿った低地林や淡水湿原に生息します。

前置きはこのくらいにして、このOxythemis phoenicosceles♂の画像(外部リンク:Oxythemis phoenicosceles photo by KD Dijkstra)(2017.6.28.アクセス):
をご覧ください。

私の友人、アフリカのトンボ分類の権威であるKD Dijkstraさんがリベリアで2011年2月に撮影された♂の個体です。

素晴らしい写りです。

この♂個体の中脚、後脚の腿節には、赤い幅広いバンドがあります。

このトンボを初めて見たトンボのベテラン観察者の方は普通の脚の黒いトンボが赤いイトトンボをつかまえて食べているところと最初誤認したとのことです。
ベテランでも間違うほどの意外性のあるデザインのトンボです。

いつもは脚注に回している学名の由来を、今回はここで本文に挿入することにします。

学名の由来:
属名の Oxythemis はoxy と themis の合成語で、oxy-はギリシャ語のoxysからで、鋭い、尖った、酸の意味を持ち、themisはギリシャ神話のテミス(法・正義の女神)を指し、トンボ(特にトンボ科)の属名の語幹によく使われます。
種小名のうちの phoenico- はギリシャ語 Φοίνικας (phoenix) フェニックスを意味する接頭語で、不死鳥(火の鳥)を意味します。sceles はギリシャ語のσκέλος に由来し、脚を意味します。つまり、種小名の意味はフェニックスの脚となります。
脚の一部(腿節)はたしかに不死鳥からイメージされる炎のように赤いですね。

それでは♀はどうでしょうか
下にリンクした2枚の写真をご覧ください。

Nicolas Mézièreさんの写真その1(ガボン、2011年、外部リンク)(2017.6.28.アクセス):

Nicolas Mézièreさんの写真その2 (ガボン、2011年、外部リンク)(2017.6.28.アクセス):

♂とちがって、♀の脚は赤くならないようです。

ということは、♂だけが脚、それも中脚と後脚の腿節に非常に目立つ赤い帯をもつということになり、日本では見られないタイプの性的二型を示しているようなのです。

となると、このブログの前回記事ならびに前回記事にリンクした過去記事がテーマにしている、♂が着飾って繁殖成功を手に入れる、性選択(性淘汰)の典型的な事例に該当している可能性が大きいようです。

ところで、本種の英名は、Pepperpants(唐辛子ズボン)だそうです。
  出典:The IUCN Red List of Threatened Species: Oxythemis phoenicosceles

性淘汰のために脚に赤い衣服を着用しているのですから、唐辛子ではちょっと物足りないですね。
いっそのこと、炎のパンツ、それも勝負パンツとたとえたほうがピッタリくるのではないでしょうか?!
もちろん、パンツはズボンの意味です(誤解のなきよう、笑い)。

今後、アフリカに長期滞在してこのトンボの行動とその適応上の利益を研究する人が現れるでしょうから、この赤い脚が勝負パンツと呼んでよいものなのかどうなのか、その結果がいずれ聞こえてくるでしょう。
今からが楽しみです。

「あんたが行ったらどうなの?」ですって?
先立つ物と体力が全然足りないですから(笑)。。。


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