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2017-07-06 (Thu)
                             【7月7日、一部修正】

昨年6月18日、「四万十市トンボ自然公園」(別名「トンボ王国」)での初日の観察を1時間そこそこで切り上げ、杉村光俊氏(トンボ王国に併設の「四万十川学遊館」の館長)のご案内のもと、飯田貢さん、山本桂子さん(ともにアマチュア昆虫写真家)と私はシコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi Yamamoto, 1955、カラスヤンマChlorogomphus brunneus Oguma, 1926(四国を含む本土産のものは以前は亜種和名ミナミヤンマが使われていた)が生息する谷の上流部に向いました。

午後3時過ぎ、私達は目的地に到着しました。
うっそうとした山林が迫る細い谷川と棚田に挟まれた農道上で、杉本館長のカラスヤンマの習性や出現時期の解説が始まりました。

例年であれば、その棚田の上空をカラスヤンマの1頭や2頭が横切ってもおかしくないポイント、時期でしたが、なかなか現れません。

前の年の大雨で谷の環境が変わったことや、飛翔活動に適した温度や湿度の条件が影響していると考えられるとの館長のお話でした。

トンボの飛翔活動に湿度が大きく関係しているということは、館長の他の場面での別の種のトンボの話でも出ていました。

気温や日照、そして風や雨などの気象条件については私も自分の研究で考察したことが幾度かありましたが、湿度については虚を突かれる思いがし、大変勉強になりました。

私達はその場から移動し、今度はシコクトゲオトンボが見られるポイントに案内していただきました。
山林の中に谷川の支流の源流部が入り込んだような場所に、一歩一歩踏み入れます。

いました。
シコクトゲオトンボです。

もちろん、館長はもとより、同行の飯田さん、山本さんも相前後して見つけ出しています。
館長の解説を聞き流しそうになりながら、夢中でカメラレンズを向け、シャッターを押します。

樹陰で薄暗い中に、これまたくすんだ色の小さなイトトンボ(正確には、イトトンボ科とはまったく別のヤマイトトンボ科)がひっそりと止まっているものですから、露出不足だったり、ピンボケだったりの写真しか撮れず、空振り三振でした。
これはリベンジしかありません(明日があるさ!)。

訪問者3名が一通り、撮影し終わったところで、館長に導かれてもう一カ所のカラスヤンマの活動がよく見られる場所に移動しました(写真1)。

ヒメサナエが見られた川、高知県 
写真1 カラスヤンマ、ヒメサナエ等の観察地点 (写真はクリックで拡大します)

そこは、谷というよりも、小さな川の中流部から上流部への移行ゾーンのような景観で、砂礫で埋まった砂防ダム上を清冽な瀬がサラサラと音をたてているところでした。

川と並走する砂利道の脇のイタドリのような植物の葉の上に小さなサナエトンボが止まっていました(写真2)。

ヒメサナエ♂、葉上、右から 
写真2 ヒメサナエSinogomphus flavolimbatus 

ヒメサナエSinogomphus flavolimbatus (Matsumura in Oguma, 1926)♂です。
その場で、杉村館長からすぐ「ヒメサナエ」についての解説が入りましたので、このトンボとは初対面の割にすぐ仲良しになった感じでした。

しばらくすると、私達の頭上をかすめるようにカラスヤンマが通りかかりました。
カメラを構える間もなく、スイーっと視界のかなたに消えてゆきます

その後も、時おり、「ほら来た、こっちからそっちだ・・」と館長の指示がとびます。
高いところを曲線的に自由に飛び回り、ホバリングも交えませんので、私のカメラは空振りどころか、スイングさえほとんどできませんでした(大型のトンボとだけわかる写真が1枚のみ)。

このリベンジは、私の腕が数段、いや十数段も上達しないかぎり、簡単には出来そうもありません。
翌年以降に持ち越しです。

カラスヤンマの撮影こそできませんでしたが、その生態の一端を館長の貴重な解説つきで直接見ることができたのが本種について今回の唯一の収穫でした。

そのよう私の意欲の不完全燃焼から救ってくれたのは、小さなトンボ達でした。

川面に降りると、川中の大石の上にも、2,3頭のヒメサナエ♂が飛んだりとまったりしていました(写真3)。

ヒメサナエ、石上、左から 
写真3 ヒメサナエSinogomphus flavolimbatus 

そのうちの1頭にそっと近づき、正面から撮影したのが写真5です。

ヒメサナエ♂、正面 
写真4 ヒメサナエSinogomphus flavolimbatus 

写真4を部分拡大したのが写真5です。

ヒメサナエ♂とメミズムシ
写真5 ヒメサナエ♂とメミズムシSinogomphus flavolimbatus and Ochterus sp.

大きい黒目をクリクリさせ、いたずらっぽく口を開いた幼児を連想させる顔です。

そして、右手前(トンボから見て左下)には小さな虫がいて、じっとこのヒメアカネを見つめているようです。

この小さな虫をさらに拡大したものが写真6です。

メミズムシ 
写真6 ミズギワゴミムシの仲間(7月7日、訂正)

前翅の基部寄りの部分が革質化していることからカメムシ目、カメムシ亜目に属する昆虫であろうというところまではこの拡大写真から判断できます。
それにしても、複眼がクリクリと大きく、カメムシ類としては異様な形をしています。

種はなんでしょうか?
手元の昆虫図鑑で調べても出ていません。
そこで、「大きい目」「カメムシ」でGoogle検索したところ、酷似画像(外部リンク*)を掲載したサイト(シロさんの「自然観察雑記帳」*)が見つかり、種名や和名の由来も添えられていました。

【以下、★印まで、7月7日に書き換えました】

「メミズムシ(眼水虫)。半翅目(カメムシ目)カメムシ亜目(異翅亜目)メミズムシ科。学名 Ochterus marginatus。」(出典:シロさん:「自然観察雑記帳」)

というわけで、ヒメサナエと睨めっこしていたのは、メミズムシOchterus marginatus (Latreille, 1804)か、その近縁種であると判断し、いったんこのブログ記事にそのむね記述しました。

しかし、それをご覧になった、昆虫全般にお詳しい伊藤智さんから「写真の半翅は、触覚が長いことから、ミズギワカメムシの仲間かと思います。」とのご指摘がありました。

たしかに触角の長さがメミズムシとは全然ちがっています。ミズギワカメムシも確かに眼が大きく、触角は短いです。ということでメミズムシと私が判定したのは早計でした。
ここにメミズムシではなくミズギワゴミムシの仲間に訂正いたします。
伊藤さんにこの場を借りて感謝します。 
 ★

前後して撮影した別のヒメサナエ♂の写真を拡大すると(写真7)、小さな虫をムシャムシャとむさぼっていました。

ヒメサナエ♂、小昆虫を捕食中 
写真7 ヒメサナエSinogomphus flavolimbatus 

食べられているほうの小さな昆虫は透明でシンプルな翅脈をもつことからメミズムシでないことは確かです。
翅も腹も柔らかそうで、ヒメサナエは器用に口器をコントロールして、見る見る平らげていきました。

川面に突き出す大石の上にはヒメサナエのほかに、シオヤトンボOrthetrum japonicum (Uhler, 1858)の♀もとまりました(写真8)。

シオヤトンボ♀、高知県 
写真8 シオヤトンボOrthetrum japonicum ♀

かなり老熟した印象の個体です。
こちらは、食事をしていませんね。
腹の先が濡れていませんので、産卵動作をした後の休息でもなさそうです。

私達が観察・撮影を切り上げ、川面から川沿いの砂利道に戻ったところに、人懐こいノシメトンボSympetrum infuscatum (Selys, 1883)♂がやってきて、同行の飯田さんの手のひらにとまり(写真9)、そしてその後、ストローハットにもとまりました。

ノシメトンボ♂、高知県 
写真9 ノシメトンボSympetrum infuscatum ♂ (シオヤトンボと誤記したのを訂正、7月7日)

こちらは、秋が繁殖シーズンということで、6月のこの頃はまだうら若く、翅も艶々(つやつや)しています。

このポイントで、館長に入っていただき記念写真を撮り合い、この日の(拡大)トンボ王国の探訪を締めくくりました。

今回の記事を終えるにあたり、現地への案内ならびにトンボ各種の生態についての解説をして下さった杉村館長、現地への移動等でお世話になった飯田さんに改めて感謝の意を表します。


*外部リンク出典:
シロ:「自然観察雑記帳」: > 動物 > 昆虫・半翅目(カメムシ目) >メミズムシ


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