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2017-07-21 (Fri)
昨年6月18日、「四万十市トンボ自然公園」(別名「トンボ王国」)を初訪問し、園地内でわずか1時間そこそこで4科14種のトンボを観察・撮影することができました(3回前の記事「トンボ王国訪問記(1):多彩なトンボ達に迎えられ」参照)。

それに続いて、同行の飯田貢さん、山本桂子さん(ともにアマチュア昆虫写真家)とともに、杉村光俊氏(トンボ王国に併設の「四万十川学遊館」の館長)のご案内のもと、園地外の貴重な生息地2地点に移動しました。
そこでは、シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi Yamamoto, 1955カラスヤンマChlorogomphus brunneus Oguma, 1926(四国を含む本土産のものは以前は亜種和名ミナミヤンマが使われていた)、ヒメサナエSinogomphus flavolimbatus (Matsumura in Oguma, 1926)などの生息環境と成虫の行動の一端を垣間見ることができました(前々回記事「トンボ王国訪問記(2):ヒメサナエと小さな虫たち」参照)。
シコクトゲオトンボの撮影では空振り三振に終わりましたので、リベンジを誓ったことでした。

その翌日(6月19日)の午前中は、梅雨空のもと、「四万十市トンボ自然公園」の園地内での2回目の観察・撮影を行い、ハグロトンボAtrocalopteryx atrata (Selys, 1853)を撮影できたことで、2日間で5科15種のトンボ撮影を達成できました(前回記事「トンボ王国訪問記(3):梅雨時の草間にトンボ見え隠れ」参照)。

さて、今回の記事は、19日の午後の園地外の生息地2カ所へのトンボ探訪記です。

午後の最初のポイントは、杉村館長にご教示いただいたグンバイトンボPlatycnemis foliacea Selys, 1886の生息地です。
そこでのグンバイトンボの観察、撮影についてはすでに以前の記事「グンバイトンボの軍配は何のため?」に報告済みですので、ここでは写真2枚(写真1,2)を再掲するにとどめておきます。

グンバイトンボ♂
 写真1 グンバイトンボPlatycnemis foliacea♂。四国、2016年6月。(再掲)(写真はクリックで拡大)

グンバイトンボ♀
写真2 グンバイトンボ♀。四国。2016年6月。(再掲)

グンバイトンボのポイントでは、ハグロトンボ(写真3,4)も観察・撮影できました。

ハグロトンボ♂、四国
写真3 ハグロトンボAtrocalopteryx atrata

 ハグロトンボ♀、四国
写真4 ハグロトンボAtrocalopteryx atrata

そのほか、ウスバキトンボ Pantala flavescens (Fabricius, 1798)が川岸の上をスクランブルしているところも観察できました(写真5、再掲)。

ウスバキトンボの群飛、四国、6月中旬 
写真5.ウスバキトンボ Pantala flavescensの群飛 (コントラスト調整後)(再掲)

この写真は以前の記事「ウスバキトンボ、今年の初見日はいつ?」中に掲載済みです。

1・2時間でこのポイントでの観察を切り上げ、飯田さん、山本さんと共に、前日も訪れたシコクトゲオトンボのポイントに向いました。

前々回の記事に書いたように、そこは山林の中に谷川の支流の源流部が入り込んだような場所です。
樹陰で薄暗い中に歩を進めると、シコクトゲオトンボがこの日も出迎えてくれました。

まずは、赤い細枝にひっそりととまる♂です(写真6)。

シコクトゲオトンボ♂(1) 
写真6 シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi 

なんとか、人に見せられる写真を撮らせてくれました。
翅を開いています。
薄暗い林内に、漆黒の胸部や腹部がうまく紛れ込んでいます。

写真7は、同じ♂を横から撮ったものです。

シコクトゲオトンボ♂(2)
写真7 シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi 同一 

胸部の肩のあたりと側面に黄白色の斑紋があり、黒っぽい体の中でアクセントとなっています。
脚はオレンジ色系で、頭部胸部腹部の漆黒とは好対照になっています。

少し歩くと、今度は♀が木の葉の上にとまっています(写真8)。

シコクトゲオトンボ♀(1)
写真8 シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi 未熟 

羽化からそれほど時間が経っていないのでしょう、写真6,7の♂と比べても、腹部の黒化があまり進んでいません。翅も閉じています。
脚の色はどちらかといえば薄い茶褐色で、上の♂のオレンジ色の脚とは大違いです。

写真9は、同じ♀を反対側から写したものです。

シコクトゲオトンボ♀(2)
写真9 シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi 同一未熟 

腹部の基部(第2節)が少し凹んでいます。
羽化後時間経過が短い段階でその部分が何かにぶつかったか、腹部全体が左から右に風圧などで押されたのかもしれません。

別の♂が、枯れかけた細枝の先にとまっています(写真10)。

シコクトゲオトンボ♂(3)
写真10 シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi 別 

左前脚の脛節前縁で顔面をこすっているところです。
複眼になにか小さなゴミでもついていたのでしょうか。
脛節前縁のこの部分には剛毛が列生していて、ブラシと同じ作りになっていますので、ワイパーとしての機能は十分でしょう。

写真11は別の♀です。

シコクトゲオトンボ♀(3)
写真11 シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi 別 

腹部はかなり黒化していますので、写真8,9の♀よりも成熟が進んでいることがわかります。
翅も大きく開いています。
脚も幾分赤味が表れていますが、♂のオレンジ色と比べれば赤茶色にしか見えません。

尾園ほか著の『日本のトンボ』(文一総合出版)に掲載の生態写真を見ても、成熟♀の脚はオレンジ色というより、くすんだ赤茶色に近いことから、♂♀の間で色彩2型があるようです。

同属他種でも同様の色彩2型があるかどうか気になったので、『日本のトンボ』に掲載の写真を比べ見たところ、ヤンバルトゲオトンボRhipidolestes shozoi Ishida, 2005アマミトゲオトンボRhipidolestes amamiensis Ishida, 2005では、♀も脚に鮮やかな紅色が現れており、♂とそれほど色彩差が見られません。
一方ヤクシマトゲオトンボRhipidolestes yakusimensis Asahina, 1951では色彩差がシコクトゲオトンボ並み、残り3種ではその中間的な差といった印象を受けました。

属全体で見るとはっきりとした性的2型にはなっていないものの、脚以外の黒っぽい体色と脚の赤から赤褐色の鮮やかな色とのコントラストは、同種間の性的アピール、あるいは♂間の威嚇誇示の機能を高めている可能性が考えられます。

個体間の行動で、この脚を誇示しているかどうかが、この仮説のテストになるでしょう。
今度観察機会があれば、このあたりに注目したいところです。

話を戻します。

写真11では、トンボの右前方に小さなカメムシのようなものが写っています。

何だろうと思い、拡大してみましたが、踏ん張っているはずの脚が見えず、触角も見当たりません。
背面も泥と木くずが乾いて固まったような感じで翅や前胸が見えていません。
何かの破片か鳥獣の排泄物の一部だろうと思われます。

撮影者の動きを気にしたのか、この♀は少し飛んで今度はシダの葉にとまりました(写真12)。

シコクトゲオトンボ♀(4)
写真12 シコクトゲオトンボRhipidolestes hiraoi 写真11と同一♀

この日のシコクトゲオトンボ撮影は、こうして、なんとか前日の空振り三振からのリベンジに成功することができましたので、彼らに付きまとうのはこのくらいにし、彼らを再び安穏とした日常に返してあげることにしました。

前日のこの場所でのシコクトゲオトンボの撮影に失敗した主な原因が光量不足であったことに、ホテルの自室でその日の撮影画像をカメラの小さな液晶画面で見直すことで、気づきました。

私が常用している望遠ズームレンズは絞り開放でも5.6にしかならない、入門者用です(中級者なら2.8を使用するところ)。
なので、ズームアップを最大にしてこのトンボをとらえた場合、画角が狭くなるため、内蔵ストロボを発光させただけでは光量が足りなかったというわけです。

そこで、ズームアップを抑え気味にし、カメラをトンボにより近づけて撮影することにしました。
ISO感度やシャッター速度も変えてみましたが、前日の撮影データと比較すると、やはり被写体との距離を縮め、画角を少しでも広くすることが最大の改善ポイントだったことが、後日のパソコン画面での比較検討で分かりました。

リベンジに成功したのを、自分の反省と気づきが奏功した結果であるような書き方をしましたが、2日間とも現地で一緒に撮影した飯田さん、山本さんの撮影テクニックを見習ったり、どのような工夫をしているかの話を聞かせてもらったことも、大いに参考になりました。

名人でなければ撮影不可能な飛翔中のカラスヤンマ(ミナミヤンマ)を除けば、今回のトンボ王国トンボ撮影行は私にとって大変満足のいったものとなりました。

続編、「トンボ王国訪問記(5)」では学遊館の展示の印象や、「トンボと自然を考える会」の活動内容を紹介する予定ですが、それはトンボシーズンが終わってからゆっくりと書くことにしています。

今回の記事を終えるにあたり、現地での貴重な観察の機会を与えられた杉村館長、現地への移動や各種情報の提供などでお世話になった飯田さん、山本さんに改めて感謝の意を表したいと思います。


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