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2017-08-11 (Fri)
今年6月前半の東海地方での、グンバイトンボ Platycnemis foliacea Selys, 1886 の観察記録は、今回の記事が最後となります。

前回までの関連記事が少し長すぎるきらいがありましたので、今回は短く締めたいと思います。

前日に交尾や産卵が見られた同じ場所(小さな小川でヨシ類が茂っている場所)で、私は単独♂が単独♀に対して求愛行動をしているのを観察・撮影する機会を狙って、ゆっくりと歩を進めていました。

しかし、なかなか、というか最後まで、その機会に恵まれませんでした。

そのかわりに、そのヨシ類の茂みの隙間を縫うように飛び回る単独♂が、中・後脚をスラリと伸ばして軍配を目立たせながら飛び回る姿を頻繁に目撃することができました。

10日、11時50分から約10分間の単独♂飛行の観察で、約60回シャッターを押しましたが、その大部分がこのように軍配誇示飛行となっていました。

ピンボケ写真の山を築いた60カットの中で、なんとか見せられるレベルに撮れたもの2カットを写真1,2に掲げます。

グンバイトンボ♂、軍配誇示飛行(1)
写真1 グンバイトンボPlatycnemis foliacea ♂、軍配誇示飛行(1)(写真はクリックで拡大)

写真1のシーンでは、中・後脚を斜め後ろ方向に真っ直ぐ伸ばすだけでなく、左右にも若干拡げていて、ムササビ類が飛膜を拡げて滑空している様子、あるいはスキーのジャンプ選手の手足を左右に半開した空中姿勢を彷彿とさせます。

グンバイトンボ♂、軍配誇示飛行(2)
写真2 グンバイトンボ P. foliacea ♂、軍配誇示飛行(2

写真2も同様の姿勢ですが、左右への拡げ方には若干の抑制が働いているようです。

とりわけ写真1のように綺麗に軍配を見せびらかされると、♀のほうもグッと惹きつけられるのではないでしょうか?

私は、今まで、♂は♀を発見してから軍配を誇示するのだろうと思っていましたが、もしかすると♂は♀のいそうな場所では常にこのように自らの美しく立派な軍配をひけらかすように飛び回り、♀がリアクションを起こすのを狙っているのかもしれません。

軍配の誇示は、♂同士の威嚇にも使われます。
というより、♂同士の威嚇には間違いなく使われています。

以下は私の以前の記事「グンバイトンボの軍配は何のため?」(昨年の四国での観察)からの関連部分の抜粋です。

「(グンバイトンボの♂は)相手の♂の接近に対して立ち向かっていくときに、脚を6本とも下方に垂らし、白い軍配状の脛節が(観察者から見て)大変目立った」

「♂が相手を追いかけ、別れて、戻る時に(も)、軍配面を後方に向け、軍配を「誇示」した」

「杉村ほか(1999)の『原色・日本トンボ幼虫・成虫大図鑑』の「グンバイトンボ」の項に、次のような記述がありました。『成熟雄は<中略>縄張りを保持<中略>ほかの♂にであうと軍配状の真っ白い肢をいっぱいに広げてホバリングしながらにらみあい、体を上下にゆさぶっては徐々に上方へ移行し、頃あいをはかって別れる。♀に対しても、まず肢を思い切り拡げて自己顕示を行う。』」

「ヨーロッパに生息するPlatycnemis latipes Rambur, 1842Platycnemis acutipennis Selys, 1841の♂の中脚、後脚も日本のグンバイトンボよりも少し劣りますが、広がった脛節をもちます(参考サイト:Hyde, 2016)。」

「しかし、これら2種の♂は(少なくともフランスの当該観察地では)求愛の際に拡がった脛節を用いず、飛行中に同種♂を威嚇する際に用いるとのことです(Hyde, 2016)」

この四国での観察でも軍配誇示飛行の撮影も狙ったのですが、ピンボケばかりでした。

以上で、昨年・今年の四国・東海を股にかけてのグンバイトンボ観察の報告を終わりにします。

私が一番強い関心を抱いていた、グンバイトンボ♂が♀に出会った時にどう軍配を見せつけるのかということについては、この目で確かめるのは来年以降に持ち越されることになりました。


下記の関連記事(横綱級の軍配とか世界軍配番付)もお見逃しなく。。。。


引用文献:

Hyde, Bruce  2016 Featherleg Differences.  http://www.ipernity.com/blog/bruce.hyde/4392388

杉村光俊・石田昇三・小島圭三・石田勝義・青木典司 (1999) 原色日本トンボ幼虫・成虫大図鑑。北海道大学図書刊行会。


関連記事:
  1. 横綱級の軍配を持つトンボPlatycnemis phasmovolansは何に見えたか?

    前回の記事「世界のグンバイトンボ類、軍配サイズ番付」で公表した「世界のグンバイトンボ類、軍配サイズ番付」では、ラオス産のグンバイトンボ属の種、PlatycnemisphasmovolansHämäläinen,2003(図1、2;再掲)が見事、東の正横綱の地位を確保しました。
  2. Platycnemis phasmovolans _ photo taken by Dr Matti Hamalainen 
    図1(再掲).Platycnemis phasmovolans, photo taken by Dr. Matti Hämäläinen. 
       (Platycnemis phasmovolans♂の標本写真。Dr. Matti Hämäläinen提供)
      (写真はクリックで拡大します)

    Platycnemis phasmovolans, teneral male _ photo taken by Dr Matti Hamalainen
    図2(再掲).Platycnemis phasmovolans teneral male, photo taken by Dr. Matti Hämäläinen.
      (Platycnemis phasmovolans未熟♂の貴重な生態写真(Dr. Matti Hämäläinen提供)。 
    dranathis.blog.fc2.com/blog-entry-441.html

  3. 世界のグンバイトンボ類、軍配サイズ番付

    (この記事の正しい公開日は、2017-04-08(Sat)です。)前回の記事「グンバイトンボの軍配は何のため?」では、日本産のグンバイトンボPlatycnemisfoliaceaSelys,1886の♂の中脚、後脚の脛節が軍配のように扁平に拡がっていることに注目し、若干の考察をしました。属の学名Pl
    dranathis.blog.fc2.com/blog-entry-437.html

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