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2017-08-20 (Sun)
夏目英隆さんに同行しての、昨年7月上旬の他県へのトンボ・トリップの最終調査地、丘陵地を刻む河川の中流部で、日本産アオハダトンボ属(現、元)全3種の豪華な揃い踏みが見られはことは2件前の記事に書いた通りです。

その同じ場所で、オナガサナエ Melligomphus viridicostus (Oguma, 1926) が活動している姿を初めて観察し、撮影することができました(写真1~5)。

その最初の出会いは、川をまたぐ橋の下のコンクリート面に、腹先が棍棒状に左右に拡がったサナエトンボの♂が川面方向を向いてとまっているのを発見したところから始まります(写真1)。

オナガサナエ♂、コンクリート面に静止 
写真1 川岸のコンクリート面にとまる、オナガサナエ Melligomphus viridicostus、♂ (写真はクリックで拡大します)

私:「サナエトンボがいますね。」
夏目さん:「オナガサナエですね。」
私:「は~。これがオナガサナエですか。格好いいですね。」

写真1は、逆光気味で、写りはほとんど証拠写真レベルです。

下の写真2は別個体ですが、もう少し明るく写っていて、オナガサナエ♂がどんな形や色彩パターンを有しているかを見るには好都合です。

オナガサナエ♂、枯れ枝に静止
写真2 岸の枯れ枝にとまるオナガサナエ M. viridicostus、♂

帰宅してからパソコンで撮影画像を拡大してみると、「オナガ」サナエだけあって、確かに立派な「尾」(この場合、尾部付属器)を持っています。

尾部上付属器も長大ですが、尾部下付属器はもっと長大です。

この尾部付属器で頭部をグリップされたら、♀も、相手が自分のタイプでなくても、あきらめざるを得ないでしょう。

冗談はともかく、いずれの♂も後脚を伸ばし気味にして、ほぼ真っ直ぐに伸ばした後半身をリフトしています。

写真1の♂は、腹基部を少し反らし気味にして腹部を一層高く挙げ、腹端部を水平気味になるように腹側(下側)に少し曲げています。

この挙上は、腹の先端が指し示す方向が太陽の方向とは全く一致しませんので、体温調節のためのオベリスク姿勢(過去記事参照)とは別の機能を持つはずです。

本種♂は、川面に なわばり を持つといわれていますので(尾園ほか、2012)、この挙上は接近してくる♂に対して、先着の占有者が存在していることをアピールしているのかもしれません。

今後の観察で、接近♂の態度にこの挙上がどう影響するか、確認してみたいところです。

下の写真3は枯れ枝にとまっている♂を正面から写したものです。

オナガサナエ♂、枯れ枝に静止(2)
写真3 岸の枯れ枝にとまるオナガサナエ M. viridicostus、♂ (2)

腹端部が棍棒状に拡張している様子、そしてそれを目立たせるかのように、後半身を挙上している様子がよくわかります。

サナエトンボ科 Gomphidae の英語名(和名に相当する通称名)に、clubtail dragonflies が使われているのも、この特徴から来ています。

今回、オナガサナエ♂が川面の上空数十センチメートルの高さをホバリングを繰り返ししながらパトロールしている様子も撮影できました(写真4,5

オナガサナエ♂、水面上ホバリング、横から
写真4 水面上をパトロールする、オナガサナエ M. viridicostus、♂
オナガサナエ♂、水面上ホバリング、正面から
写真5 水面上をパトロールする、オナガサナエ M. viridicostus、♂

いずれもピント・露出とも不足していて証拠写真レベルですが、それでも本種♂が水面上をパトロールする際に、それこそ棍棒を誇示するかのように後半身、とりわけ腹部を挙上した姿勢でホバリングすることを確認するには十分の情報量を写し込んでいます。

もしかすると、♂同士がなわばり争いをする際には、単に相手を物理的に追い払おうとするのではなく、棍棒の先端を誇示して威嚇しあうのかもしれません。

このことも、機会があったら、直接観察してみたいところです。

もちろん、交尾や♀の産卵行動の観察も将来の課題として残りました。

さて、次回記事では、今回のトンボ・トリップで観察されたヤマトンボ科の種が登場する予定です。


引用文献: 
尾園暁、川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。


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