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2014-10-16 (Thu)
トンボのシーズンもそろそろ終わりに近づいてきました。

トンボの産卵。なんの変哲もないようですが、実はこの日のために、トンボは1個の小さな卵として母親から離れて以来、1年も2年も、たった1匹で生き続けてきたのです。
その間に、一緒に生まれた兄弟姉妹たちの99%以上は、被食(捕食者に食べられること)や病気、事故で命を落としていますから、その分まで頑張らなければならない立場にあるといっても過言ではないでしょう。

それだけに、一つでも多くの卵を、少しでもよい場所に産もうと、どのトンボも文字通り一生懸命です。

コシアキトンボの産卵(1)

コシアキトンボの産卵(2)
 ↑クリックで拡大します。

上の写真は今年の7月23日に、さいたま市の樹林のある園地の池で撮影したコシアキトンボ*♀の産卵の、ほぼ連続した3シーンずつを2枚の写真に合成したものです。

9月7日の記事「コシアキトンボ♀」と同じ日、同じ池で写したものですが、それとは別個体です(腰の部分の白帯の色調からもわかります。この個体は黄色味が弱いです)。

本種も、♂の警護のもとで産卵するのがよく見られます。産卵の警護とは、「オオシオカラトンボの産卵と警護」の記事でお話したように、縄ばりを占有している♂と交尾すると♀は、その縄ばりの中の産卵場所で産卵をし、交尾したその♂がすぐ上空をホバリングし、接近する♂を追い払う行動です。

写真の♀は、最初は♂の警護のもとで産卵していましたが、その♂が別の侵入♂を追って離れた場所まで行ったまま戻って来ないなかで、何事もなかったように単独でせっせと産卵を続けていたときのものです。

上段の写真を左から順に見ると、(1)卵を産み付ける水草の塊をジッと見据えて、適切な卵の産み付けポイントの見当をつける。(2)勢いよく体を押し下げ、同時に腹先を折り曲げ、腹先をそのポイントに打ち付けようとしている。(3)卵を水草に押し付けるように産み付けているところ。

以前の記事「アキアカネの連結産卵」と「アキアカネの単独産卵」で見たような、水面(打水)や泥の表面(打泥)を腹端でたたくのではなく(つまり、打水)打泥産卵ではなく) 、水面よりも明らかに上の植物体の表面をたたいています。水面に波紋が見られないことからもそれは証明されます。「打草産卵」とでもいえる産卵方式になっています。

下段の写真も同じ個体です。同じ植物の塊に、別の方向から産卵しているところです。左と中は、上段の左と右にそれぞれ相当する場面です。
下段右は、その打草行動のリズミカルな連続の中で勢い余って「空振り」をしたタイミングをとらえているようです。
サッカーでいえば、フリーキックを思いっきり空振りした珍プレーに相当するかもしれません。

でも笑ってはいけませんね。とっても難しい技なんですから。
人間に翼をつけても真似できません、飛びながらの打草産卵なんて。

さて、コシアキトンボは水面上だけでなく、水面につかず離れずのように沈んでいる植物体にも卵を産み付けます。しかし、何もそのようなものがなく、打水したら水底深く沈んでしまうような状況での産卵は、私は今のところ見ていません。
おそらく、植物体表面に付着した卵から孵化した小さな幼虫は、その植物の表面をはい歩きながら、微小な無脊椎動物を捕食するという生活をするのではないでしょうか。

一方、割合深いところの水面を打水するトンボの種もありますので、そういう種では孵化した幼虫が池の底で生活できる能力を身につけているにちがいありません。
それがどのような能力なのかは、興味がもたれます。

注:
*本種の学名(Pseudothemis zonata)の由来や、腰の部分の白色模様の適応的意義については「コシアキトンボ♂」の記事で触れておきました。


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