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2018-02-05 (Mon)
赤とんぼシーズン真っただ中の、昨年9月下旬、地元在住の昆虫研究者お二方、多和田潤治さん、松村 雄さん、の御案内のもと訪れた、関東地方の農業地域の水辺を回るトンボ歩き。

今回は、その第三報に続いて、第四の立ち寄り地「林内の小規模な高層湿原」からのレポートです。

この立ち寄り地は、丘陵地の林内に成立している小規模な高層湿原です(写真1)。

林内の小規模な高層湿原 
写真1 林内の小規模な高層湿原。 (写真はクリックで拡大します)

この写真に写った池塘はこの湿原で最大・最深のもので、他にも数カ所池塘がありますが、それらはいずれも湿性植物とその遺体等で浅く、そして小面積になっていて、トンボの生息地としては先細りしている様子が伺えました。

この日のここまでの3箇所の立ち寄り先とは全く景観の異なる生息地ですので、雰囲気が大きく変わったトンボの種が観察されることも期待できました。

湿原内を、植物をなるべく傷めないようにゆっくり歩きながらトンボの姿を探したところ、写真1の池塘のほとりの、枯れた低木の枝の垂直なとがった先端に、赤化したアキアカネ Sympetrum frequens (Selys, 1883) ♂がとまっていました(写真2)。

アキアカネ♂ 
写真2 アキアカネ Sympetrum frequens  

この池塘の周りには、ほかにも二・三のアキアカネが見られました。
どの立ち寄り先にも必ず登場するとは、アキアカネはさすがポピュラーなトンボです。

もっと、違ったトンボはいないかと、この狭い湿原をゆっくり一回りしたところ、低木が数本侵入していて、草丈も高い湿原周縁部でオツネントンボ Sympecma paedisca (Brauer, 1877) ♂を見つけました(写真3)。

オツネントンボ♂
写真3 オツネントンボ Sympecma paedisca 

翅にも体表にも傷みの出ていない個体です。

晩夏から初秋に羽化して大人の仲間入りをしたわけですが、この後、この成虫の体で長い冬を越し、春先、この地域のどこかの水辺に現れて交尾して子孫に命をつなぐという大きな仕事が待っています。

※当ブログで、過去に数回オツネントンボを主役級でとりあげていて、下記記事にはそのリストを添えています。

さて、この湿原内の探索で、別の小さな池塘のほとりにナツアカネ Sympetrum darwinianum Selys, 1883 ♂の姿を認めました(写真4)。

ナツアカネ♂
写真4 ナツアカネ Sympetrum darwinianum 

枯草の折れた先端にとまっています。

横からの写真なので、胸部側面の黒斑が帯状に上方に伸びる途中が直角に切断されるというナツアカネの特徴が、透明な翅越しに確認できます。

アキアカネと違って、胸部全体、そして頭部も真っ赤に染まっているのもナツアカネ成熟♂の特徴です。

湿原探索を続けると、ポピュラーさにおいてアキアカネのライバルともいえる、ノシメトンボ Sympetrum infuscatum (Selys, 1883) もいました(写真5)。

ノシメトンボ♀
写真5 ノシメトンボ Sympetrum infuscatum 

♀です。
ナツアカネ♂と比べたら、思いっきり地味な色調です。

トンボ類の♀が♂に比べて一般に地味で目立たないのは、当ブログでも繰り返し書いているように、対捕食者対策、つまり、背景の中に紛れることで捕食者に発見されにくくしていると解釈して間違いないでしょう。

それでも、眼のよい、そして勘のよい(この時間帯にこのあたりにお目当ての餌動物がいるはずだと予想できる)捕食者の餌食になることも稀ではありません。

こんなこともあるので、トンボの親が沢山の卵を産んで、その中の運のよい子供だけでも生き残って子孫を残せるようにしているというわけです。

さて、この湿原ではアカネ属の3種はいずれも複数個体が見かけられましたが、湿原特有な、あるいは湿原を好む種は今回観察できませんでした。

とはいえ、好天に恵まれ、6科13種(うち、アカネ属7種)と、多くのトンボ達の元気な姿に接することができました。

最後に池塘のほとりで、多和田さん、松村さんとそれぞれツーショットの記念写真を撮り、現地を後にしました。

素晴らしい経験をプレゼントしてくださった、多和田潤治さん、松村 雄さんに改めて謝意を表して、4報にわたるこの地域での赤とんぼ探訪記を打ち上げとします。


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