07≪ 2017/08 ≫09
12345678910111213141516171819202122232425262728293031
2014-10-19 (Sun)
北海道十勝支庁管内の河川沿いの池で3年前の7月末に撮影した写真です。

マンシュウイトトンボの交尾
 ↑クリックで拡大します。

マンシュウイトトンボ*がヨシの茎にとまって交尾しているところですが、逆光気味で背景がぼやけて、なかなか幻想的なシーンになっている、私の撮ったものとしては芸術的ではないかと自賛している1枚です。

♂の色彩パターンはどこにでもいそうな、普通のイトトンボのものですが、♀(写真では下側)の胸部側面から腹部第1節にかけてのピンクがかった薄紫色は、幻想的な雰囲気を一層盛り立てています。

翅胸(しきょう)前面の肩黒条(前脚と中脚の付け根の間から前翅の付け根とをつなぐ黒い帯状の紋)は、♂にはありますが、この♀にはありません。

トンボでは(ヒトと逆、トリとは一緒で)♂のほうがオシャレですが、このマンシュウイトトンボの♀は、ヒトの♀に負けていないと思いませんか。

面白いのは、「男装」する♀が、このマンシュウイトトンボにもいて、その♀は肩黒条も黒々と立派なものを持っていますし、胸部側面も腹端も鮮やかなブルーです(外部リンク画像阿波蜻蛉さんのサイト)。男装といっても、生まれつきですが。

つまり、♂と♀の間の色彩パターンの違い(性的二型)に加えて、♀の表現型に♂色彩型(同色型)と♀独自の色彩型(異色型)の二型があるということになります。

♀の二型は、マンシュウイトトンボの専売特許ではなく、トンボに広く見られます。これまでのこのブログでとりあげたシオカラトンボギンヤンマ、それに同属のアオモンイトトンボも♀の二型を持ちます。

アオモンイトトンボ属(参考記事)の♀の多型は遺伝解析を交えながらヨーロッパ***でかなり研究されています。興味深い研究ですので、その概要をこのブログでも機会をみてご紹介したいと思います。

注:
*マンシュウイトトンボ(Ischnura elegans)の種小名**は前回記事のオオヤマトンボのものととまったく同じです(エレガントな、という意味)。オオヤマトンボよりもマンシュウイトトンボのほうがエレガントだと思いますが、人によって感じ方が違いますし、同じ属の他種とくらべて種小名がつけられますから、目くじらを立てても仕方ないですね。

**属名は、動物(脊椎動物、無脊椎動物すべて)の記載分類ですでに使われているものは、新しい属の名称として使用できません(もし使用すると、判明した時点で無効となります)。それに対して、種小名は同じ属の中で使われていなければ、問題なく新種の命名に使えます。

***マンシュウイトトンボは、ヨーロッパから極東までユーラシア大陸に広く分布していて、日本で見つかる前に満州(中国東北部)から記録されたためにこのような和名がつけられていましたが、その後、北海道東部、北部のごく限られた場所からも発見され、正真正銘の日本産の種となりました。北海道の既知産地で個体群絶滅が起きる一方で、新産地も少しずつ追加され、最近では青森県からも発見されています。


ブログランキング(↓):両方ともクリックで応援してください。



にほんブログ村 科学ブログ 生物学・生物科学へ
にほんブログ村

| トンボ:生態写真 | COM(0) | | TB(-) |
コメント







管理者にだけ表示を許可する