FC2ブログ
10≪ 2018/11 ≫12
123456789101112131415161718192021222324252627282930
2018-04-30 (Mon)
本シリーズの過去3回の記事では、ホソミイトトンボ Aciagrion migratum (Selys, 1876)の単独♂による探雌行動、♂♀のカップルによる交尾、産卵行動のそれぞれについて報告しました(シリーズ記事一覧はこちら)。

今回の第4報では、たくましく生きるホソミイトトンボの越冬明けの♂について報告します。


春先の林縁にひっそりと1♂が

ホソミイトトンボの繁殖場所(つまり池の岸辺)での活動は、本種の賑やかな春の到来を告げるに余りあるものでしたので、シリーズ記事では真っ先に取り上げましたが、実はこの日(4月12日)、それに先立って、林縁の草地にひっそりと佇む1頭の♂が観察されていました。

繁殖が見られた溜池から数百メートルの距離にある砂防ダムの直下の沢斜面で、雑木林が迫る草むら(写真3)の幼木(多分)の葉の縁にしがみつくように、その♂はとまっていました(午前10時26分)。

とりあえず数枚撮影して、撮影角度を変えるために私が動いたところ、すぐ近くの草の葉にとまり替えました(写真1)。

ホソミイトトンボ♂、腹部変形 
写真1 ホソミイトトンボ Aciagrion migratum 越冬明けの♂。(写真はクリックで拡大します)

体の淡色部の色彩は、まだブルーの発色が不完全でくすんだ灰色味のある薄い青紫です。

体の黒色部分の黒味も若干不足している感じです。

ホソミイトトンボは成虫で越冬し、春先に淡褐色だった体色が青色に変化することが知られていますので、写真1の個体は越冬明けで青色の発色が開始していますが、まだ完了していない段階であるということになります。


腹部が曲がってるけれど

そして、すでにお気づきのように、腹部第4節と5節の間が「へ」の字形に折れ曲がっています。

そしてその前後の節との間は、それを取り返すかのように反対方向に少しずつ折れ曲がっています。

私が若干角度を変えて撮った写真2でも、同様に曲がっています。

ホソミイトトンボ♂、腹部変形
写真2 ホソミイトトンボ Aciagrion migratum 越冬明けの♂(同一個体)。 

5分30秒間この個体を見続け、約40枚の写真を撮りましたが、腹は折れ曲がったままでしたので、一時的な屈曲によるものではなく、この曲がったままであると判断できます。

曲がった原因は、羽化直後の体が十分固まっていない時期に、なんらかの物体との物理的接触があったことが考えられます。

それによって変形した腹部が、ほぼそのままの形で硬化してしまったのでしょう。

とはいえ、昨秋羽化してその後、半年ほどの期間を、このハンディキャップをものともせず1人で(1頭で)生き抜いてきた頑張り屋さんです。

この後の婚活、そして交尾、産卵のエスコートもやり遂げて、次世代へ祖先からの遺伝子遺産を引渡してくれるのだろうと思います。


越冬明けの♂が見られたポイント

前述したように、この♂は、砂防ダムの直下の沢斜面で、雑木林が迫る草むらにとまっていました(写真3)。

越冬明けのホソミイトトンボの観察ポイント 
写真3 越冬明けのホソミイトトンボが観察されたポイント

この♂は、この後、林野にあって適宜餌昆虫を摂食し、筋力や持続力、そして生殖腺の成熟度を高める生活を続けるのでしょう。

そして、十分成熟した後は、同種の♀がやってきそうな水辺を求めて谷あいをさまようのだと思われます。


☆★☆ ブログランキング(↓):よろしければ両方ともクリックして応援してください。
| 昆虫:形態と機能 | COM(0) | | TB(-) |
コメント







管理者にだけ表示を許可する