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2018-05-07 (Mon)
当シリーズ記事の第1報では、ムカシトンボ Epiophlebia superstes (Selys, 1889) の単独♂が渓流上で婚活飛行している様子を写真(初撮影)つきでレポートしました。

今回の第2報では、後日別の沢で、婚活飛行中に♂が♀を空中で捕捉するシーンや、♀が産卵動作をとるシーンを目撃できましたので、その前後の状況と合わせて報告します。


目 次
◆婚活飛行に勤しむ♂たち
◆右折する時にトンボも顔を右に向ける?
◆不慣れなアングルファインダーの悲劇
◆婚活成功!そして撮活失敗(?)
◆午後の渓流は銀座通り?
◆すわっ、産卵


婚活飛行に勤しむ♂たち

今年のゴールデンウィーク早々にあたる、4月下旬の快晴の日、昨年ムカシトンボの撮影の機会が得られなかった(目撃1回のみ;関連記事)沢を約1年ぶりに再訪しました。

午前10時45頃、林道の途中の幅員のある場所に到着、そこから徒歩で上流方向に向いながら、沢の草木越しに流面を覗き込み、ムカシトンボ、さらには他種トンボの姿をスキャンしました。

かなり上流部まで登ってきたところで、ついに渓流上低い位置をホバリングを交えて飛行しているムカシトンボ♂を発見しました(12時02分)。

より広い範囲での状況を確認するために、その♂の継続観察はせずに、更に上流を目指しました。

そして、12時17分には、流れの水が伏流水となっているところまで上り詰めました。
そこで周囲を見回しましたが、トンボの姿はありません。

再び下流方向へ少し戻り、流畔に草木が乏しく見通しのよい一角(写真1)に陣取り、丁度良い座り場所になる倒木に腰かけて、サンドイッチをほおばりながら、通りかかるトンボを観察することにしました(12時30分)。

ムカシトンボ♂のホバリングの見られた渓流の一角 
写真1 ムカシトンボ♂のホバリングの見られた渓流の一角

私がそこに陣取って5分もしないうちに、1頭のムカシトンボ♂が下流方向からやってきて、私の横を通り過ぎて上流方向へと飛び進んで行きました。

その7分後と14分後にも、同様の下流から上流方向への飛行が見られました。

13時02分頃、この場にやってきた1頭の♂は、私の眼の前の水面(というより、石のすきまに水面がある場所;写真1の画面下半分の一帯)上空で、頻繁にホバリングを交えながら低空飛行を続けました。

これは、前回記事(別の水域の沢の上流部)に登場した1頭の♂とほとんど同様の行動で、他の♂のように通過してしまうのではなく、渓流上のこの一角に留まるという行動選択をした上で、上から見て直径2メートルにも満たない範囲内を飛びながら♀の到来を待ち受けている行動であるといえます。

観察者の私は、このような観察を続けながら、前回記事同様、この♂の姿を捉えるべく、約120回カメラのシャッターを押しました(数撃ちゃ当たる方式)。

そのうちのベストショットが写真2です。

ムカシトンボ ♂ 
写真2 ムカシトンボEpiophlebia superstes (写真はクリックで拡大します)

今回のムカシトンボの写真(写真2~4)は、前回記事に上げた写真とくらべると、ざらついたものとなってしまいました。

なぜかというと、写真1から分かるように、この一角は直射日光が深い谷であるため遮られていて薄暗かったために、ISO感度を上げざるを得なかったからです(ISO=3200)。
また、シャッター速度も遅くなり(1/200秒)、手振れの影響も出たはずです。


右折する時にトンボも顔を右に向ける?

写真3も同じ♂の同じ一角での写真です。

 ムカシトンボ♂
写真3 ムカシトンボ Epiophlebia superstes  (同一個体)

ピントは甘いのですが、頭部が体軸に対して少し右側(写真では手前側)に傾いているように見えたので(写真2の瞬間の頭部と体軸の位置関係[これは通常]と比べてみてください)、掲載することにしました。

「カメラ目線!?」と思ったのですが、写真3では腹部が後端に近づくにつれて(トンボにとって)左右方向に写真のブレが生じています。

これは、体を(上から見て)左右いずれかの方向にターンし始めているからではないでしょうか?

そして、頭部(つまり視線)を体軸の前方よりも(トンボから見て)右側に向けているということは、右方向にターンしようとしていると考えれば、整合性が出てきます。

以前、ハンドルを切る方向にヘッドライトの向きが(車の中心軸よりも先に)動くという技術を採用した自動車があったように記憶していますが、それをトンボでは1億年かそれくらい以前から採用していたと考えると愉快です。


不慣れなアングルファインダーの悲劇

写真4も同じ♂で、やはりピントが甘いのですが、正面を向いた写真が前回記事に欠けていたので、今回、上げておくことにします。

ムカシトンボ♂ 
写真4 ムカシトンボ Epiophlebia superstes  ♂(同一個体)

この♂のホバリングをいろいろな角度から一通り撮ったところで、一眼レフカメラを低く構えることを可能にする「アングルファインダー」(観察の数日前にその中古品を購入して用意したもの)を装着してこの♂を撮ろうと、ごそごそと準備を始めました(13時06分)。

なんと、このごそごその合間に、目の前に1頭のムカシトンボ♀が突然現れ、観察中の♂が、空中で背方からつかみかかり、あっというまに連結して谷斜面の樹林の中に飛び去ったのです。


婚活成功!そして撮活失敗(?)

つまり、この♂の婚活は成功(!)という結果になったわけです。

そして私はムカシトンボの結婚の瞬間のスクープ撮を撮り逃がし、撮活(?)は失敗という結果になりました。

リベンジ、リベンジ!


午後の渓流は銀座通り?

13時20分にこの一角での連続観察を終えて、この渓流上流部に沿って200m程度の範囲を16時15分までの間、2往復半しながらところどころで立ち止まり、トンボの観察を続けました。

その間に、ムカシトンボ(大部分が♂)の渓流上の飛行を13回記録し、そのうち7例が上流方向への、2例が下流方向への飛行でした(これら9例は全て♂)。


すわっ、産卵

また、15時39分には1頭の♀がやってきて、流畔のジャゴケにとまり産卵姿勢をとりました。

これはチャンスと、私がカメラを構えて近づくと、さっと舞い上がって飛び去ってしまいました。

というわけで、今回は、♂の婚活飛行を再確認・撮影することはできましたが、♂による♀の捕捉と、別の単独♀の産卵姿勢については、目撃のみに終わりました。

幸運にも、後日のこの沢での再調査で産卵行動の観察と撮影に成功しましたので、次回記事ではそれについてご紹介することにします。


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