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2014-10-22 (Wed)
シオカラトンボの2回目記事の中で、トンボを「武闘派」呼ばわりしましたが、同じトンボでもイトトンボになると、スレンダーなボディーに華奢な肩。どちらかといえば、貴婦人とでも呼びたくなる雰囲気を醸し出します。

下の写真はルリイトトンボ♂*。3年前の7月末に北海道十勝川の川沿いの池で撮影したものです。

ルリイトトンボ ♂
 ↑クリックで拡大します。

英語では、トンボ科やヤンマ科など太い体の不均翅亜目のトンボをdragonflyと、イトトンボ科やカワトンボ科などのほっそりした体のトンボをdamselflyと呼びます。

dragonは竜。まさに武闘派のシンボルといえるでしょう。flyは翅のある昆虫一般に用いられる語幹です。

それに対してdamselは、女の子、身分のある生まれの女性、という意味を持ちますから、武闘よりも舞踏こそが似つかわしいです。

昔のイギリス人も、トンボの醸し出す雰囲気を敏感に感じ取ってネーミングしたことがわかります。

というわけで、同じ池で少し上空をトンボ科、ヤンマ科、エゾトンボ科などの「ドラゴン・フライ」たちがブンブン飛び回っているその下を、スーイ、スーイと静かに飛んだり、とまったりしている「ダムゼル・フライ」たちは、戦闘機が飛び交っているすぐ下を飛んでいるグライダーのような、危なっかしい境遇のもとで生きていることになります。

戦火のもとで逃げ惑う貴婦人の無事を祈らずにはいられない、と思いがちですが、ダムゼルたちも思いの他、したたかです。

それについては、次回以降の記事で見ていきたいと思います。

注:
*ルリイトトンボの学名は、Enallagma circulatum。属名Enallagmaの語源(ギリシャ語)の解釈は諸説に分かれていています。すなわち、「(腹部背面の模様のような)賞盃をもったもの」** 、「(腹部背面の着色における)断片の交替」***、「(イトトンボ科の他の属との)混乱、取り違え」****、「(イトトンボ科の他の属と)異なっている」*****。
enには「中に」、 allagmaには、「交換によって得たもの」という意味がありますので、私は2番目の説***に1票投じておくことにします。
種小名circulatumの意味は「環状の、循環する」ですが、これは各腹節後端が黒紋でリングのようになっていることをさすものと思われます。
ルリイトトンボの分布域は、ロシア、朝鮮半島、日本(北海道、東北、北関東・北信越の高地)であり、北方系の種です。属の分布******をみると、ユーラシア・アフリカ・中南米にも広がっていますが、特に北米では多数の種に分化しています。

注:
** 浜田康, 井上清(1985)『日本産トンボ大図鑑』講談社。

***Nelson, B., Thompson, R. & Morrow, C., (2000). Etymology of latin and greek names[In] DragonflyIreland http://www.ulstermuseum.org.uk/dragonflyireland/

****Romay, C. D., A. Cordero-Rivera, A. Romeo, M. Cabana, D. X. Cabana, M. Á. Fernández-Martínez (2011) Nomes galegos para as libélulas (orde Odonata) da Península Ibérica. Revista Chioglossa, A Coruña, 3: 21-36.

***** Paulson, D. R. and S. W. Dunkle (2012) A Checklist of North American Odonata Including English Name, Etymology, Type Locality, and Distribution. http://www.odonatacentral.org/docs/NA_Odonata_Checklist_2012.pdf

******津田滋(2000) 『世界のトンボ分布目録2000』個人出版。


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