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2018-08-23 (Thu)
今年6月上旬に栃木県の農村部の溜池群を訪れ、私とは初対面となるトラフトンボ Epitheca marginata (Selys, 1883) を始め、数種類のトンボを観察することができました。

今回は、その溜池群のトンボについてのシリーズ記事の最終第8報として、コサナエ Trigomphus melampus (Selys, 1869)、モノサシトンボ Pseudocopera annulata (Selys, 1863) 、ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus (Ris, 1916)をとりあげます(シリーズ記事一覧はこちら)。

目 次
 ◆コサナエ
 ◆モノサシトンボ
 ◆ホソミオツネントンボ
 ◆謝辞


コサナエ

まずは、コサナエ♂です(写真1)。

コサナエ♂ 
写真1 コサナエ Trigomphus melampus (Selys, 1869)  (写真はクリックで拡大します)

この溜池群を私が訪れた際に、真っ先に私の前に現れたのがこのトンボです。
(観察初日、午前11時46分)。

シリーズ初回記事で紹介した池の、岸の草の葉の先にほぼ水平にとまっていました。

この♂は、ただとまっていただけではなく、そこから飛びたって、この葉の下の水面上一帯をホバリングして、また同じ葉に止まる行動を示していました。

この個体は、翅が薄汚れてカサカサしていて、右前翅中央部後縁付近に破れがあり、老熟の域に達しつつあることを伺わせます。

とはいえ、上述のホバリング行動は♀を探す行動とみられることから、この♂は、まだ現役の婚活者だということがわかります。

前回記事で取り上げた、クロイトトンボ未熟♀も同じ池のすぐ近くに同じ時間帯にとまっていました。

また、初回記事で詳しくとりあげたトラフトンボ♂も、この岸沿いでパトロールしていました。


※コサナエが主役の過去記事が一つあります:

モノサシトンボ

次は、モノサシトンボ♀です(写真2)。

モノサシトンボ♀ 
写真2 モノサシトンボ Pseudocopera annulata (Selys, 1863) ♀

シリーズ第2回記事の池に接する林内の草地で、折損した木本の先にとまっていました(観察初日の午後1時37分)。

胸部・腹部の淡色部は黄緑色ですが、腹部第9・10節背面や第3~7節前縁部背面は青白くなりかけています。

モノサシトンボ♀には淡色部が黄緑色の個体と水色の個体の2型が知られています(尾園ほか 2012)。

写真の個体は後者に属し、もっとはっきりした水色に変化する途上にあるといえます。

モノサシトンボの♂もいました(写真3)。

モノサシトンボ♂ 
写真3 モノサシトンボ Pseudocopera annulata (Selys, 1863) ♂

シリーズ第2回記事の池の岸辺で、草の葉先に、体重をほとんど感じさせない軽やかさでとまっていました(初日、午後2時12分)(TG-5で撮影)。

胸部・腹部の淡色部にはまだ黄色味が残り、青白さの発色はあまり進んでいないことから、まだ未熟な個体であることがわかります。

その近くには、オオシオカラトンボ成熟♂もとまっていました(第6回記事で既報)。

以上の観察事例から判断して、この溜池群周辺でのモノサシトンボの繁殖期(生殖期)は、もう少し後のようです(6月上旬前半からみて)。


※モノサシトンボが登場する過去記事のご紹介:
  → モノサシトンボの羽化直後個体の写真あり。
  → 婚活モードのモノサシトンボ♂が登場。


ホソミオツネントンボ

最後は、ホソミオツネントンボ♂です(写真4)。

ホソミオツネントンボ♂ 
写真4 ホソミオツネントンボ Indolestes peregrinus ♂ (輝度調整後)

シリーズ初回記事で紹介した池の岸上で、トクサ属植物の茎にとまっていました(初日、2時33分)。

体色に、青味があります。

今年羽化した未熟個体は淡褐色のままとされるので(尾園ほか 2012)、この青味のある個体は、今年羽化したものではなく、昨年羽化して越冬し、すでに生殖行動への豊富な参加経験のある個体であるらしいことがわかります。

翅が白っぽく薄汚れているように見えるのも、このことと符合しています。


今回記事で、全8回シリーズで報告した、栃木県の溜池群での初夏のトンボたちの紹介を終えます。


謝 辞
現地をご案内くださった月井栄三郎さんに、心よりの感謝の意を表します。

引用文献:
尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。


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