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2018-09-13 (Thu)
前回記事で「日本産ヤンマ科の系統樹」の最新版ともいえる折衷案を提示しました(図1)。

シリーズ記事5本とも、重箱の隅をつつきながら理屈っぽい内容になってしまいましたので、今回はデザートとして、日本産ヤンマ科 AESHNIDAE 全9属代表種横顔を一気にご紹介することにします。

ただし、うち2属については自前の写真が用意できていませんので、wikimediaから同属種(それも外国産)の写真を拝借して、お茶を濁させてもらいます(ザンネン!)。


目 次
 ◆日本産ヤンマ科の系統樹(折衷案)(前回記事より再掲)
 ◆日本産ヤンマ科全9属の代表種の横顔
 ◆おわりに
 ◆日本のヤンマ科(9属23種)のリスト(ギンヤンマ属の位置を変更後)
 ◆Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)(前回記事より再掲)
 ◆耳より情報!(『トンボ博物学』特価頒布)


日本産ヤンマ科の系統樹(折衷案)前回記事より再掲)

日本産ヤンマ科の系統樹(4論文からの折衷案)分岐番号つき

図1 日本産ヤンマ科の系統樹(紹介済みの4論文のデータを元にした折衷案)(前回記事の図に分岐番号付記)(図はクリックで拡大します) 

図1の系統樹(折衷案)作成のベースとなった4論文は、今回記事の引用文献リストにも再掲しています。


日本産ヤンマ科全9属の代表種の横顔

以下、先頭の数字は筆者提案の系統樹(折衷案)(図1)に付記した分岐順序、ABは当該分岐のそれぞれの枝を意味します。

(※ この分岐番号は今回記事の図1を参照した場合以外には通用しませんのでご注意ください。)

1A サラサヤンマ属 Sarasaeschna Karube & Yeh, 2001
サラサヤンマ♂(3)
写真1 サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri ♂(過去記事より再掲)(写真はクリックで拡大)

サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri (Martin, 1909) は、黒地に細かい黄斑を散らした更紗模様が特徴の一つです。


1B2A3A コシボソヤンマ属 Boyeria McLachlan, 1895
Boyeria irene, male (Photo by Luis Fernandez Garcia) 
写真2 コシボソヤンマ属の1種、Boyeria irene, male (Source: wikimedia). Photo by Luis Fernández García. https://fr.wikipedia.org/wiki/Boyeria#/media/File:Boyeria_irene_20140808.jpg

写真2のコシボソヤンマ属の1種Boyeria irene (Fonscolombe, 1838) は西ヨーロッパ、北アフリカに分布。未熟な♂個体のため淡色部が発色していません。

同属のコシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883) ♂ではとくにウエスト(腹部第3節)が極端にくびれているのが特徴の一つです。

写真2B. irene は横斜め背方からの撮影のため、それほど目立ちませんが、やはりくびれています。


1B2A3B ミルンヤンマ属 Planaeschna McLachlan, 1896
ミルンヤンマ♂ 
写真3 ミルンヤンマ Planaeschna milnei ♂(2016年9月10日、関東地方)

ミルンヤンマ Planaeschna milnei (Selys, 1883) は、翅胸が小さく、腹部の環状黄斑が印象的です。


1B2B3A アオヤンマ属 Aeschnophlebia Selys, 1883
アオヤンマ♂ 
写真4 アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma ♂(2018年6月13日、関東地方)

アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883 は、コシボソヤンマとは真逆に、♂♀とも腹部第3節のくびれがなく、寸胴のが特徴の一つです。


1B2B3B4A カトリヤンマ属 Gynacantha Rambur, 1842
カトリヤンマ♀ 
写真5 カトリヤンマ Gynacantha japonica ♀(2015年8月22日、埼玉県)(前回記事から再掲)

カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909 は、♂の腹部が細く、尾部上付属器が超長いのが特徴的です。


1B2B3B4B トビイロヤンマ属 Anaciaeschna Selys, 1878
Anaciaeschna triangulifera, male (photo by Alandmanson) 
写真6 トビイロヤンマ属の1種、Anaciaeschna triangulifera, male (Surce: wikimedia). photo by Alandmanson. 

写真6は、アフリカ大陸に分布するトビイロヤンマ属の1種、Anaciaeschna triangulifera McLachlan,1896 ですが、翅胸部や腹部の地色が褐色です。

同属のトビイロヤンマ Anaciaeschna jaspidea (Burmeister, 1839) も、和名そのままに地色が褐色なのが特徴です。


1B2B3B4C ギンヤンマ属 Anax Leach, 1815
ギンヤンマ ♂
写真7 ギンヤンマ Anax parthenope ♂(過去記事より再掲)

ギンヤンマ Anax parthenope (Selys, 1839) をはじめ、同属種の翅胸は、黄緑色で(クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma, 1915 を例外として)黒条がないのが特徴的です。


1B2B3B4D5A ヤブヤンマ属 Polycanthagyna Fraser, 1933
ヤブヤンマ♀産卵 
写真8 ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera ♀(2016年9月1日、関東地方)

ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883) は、全体に黒味が強く複眼が青いのが印象的です。


1B2B3B4D5B ルリボシヤンマ属 Aeshna Fabricius, 1775
オオルリボシヤンマ♀、産卵 
写真9 オオルリボシヤンマ Aeshna crenata ♀(2007年8月30日、北海道東部)

オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856 は多くの同属種と同様に、腹部に環状および斑点状の淡色斑(青色、黄色、黄緑色)があるのが特徴的です。

以上です。


おわりに

前回記事の予告では、今回は通常の野外観察からのレポートになるはずでしたが、少し趣向を変えて、全属の顔見世興行としました。

後日、再びヤンマ科全属のパレードを主催する場合には、自前の役者(自分で撮影したヤンマ)を揃えたいと心に誓っています。




日本のヤンマ科(9属23種)のリスト(ギンヤンマ属の位置を変更後)

サラサヤンマ Sarasaeschna pryeri (Martin, 1909)(写真1)
オキナワサラサヤンマ Sarasaeschna kunigamiensis (Ishida, 1972)
コシボソヤンマ Boyeria maclachlani (Selys, 1883)(同属種:写真2)
イシガキヤンマ Planaeschna ishigakiana Asahina, 1951
リスヤンマ Planaeschna risi Asahina, 1964
ミルンヤンマ Planaeschna milnei (Selys, 1883)(写真3)
アオヤンマ Aeschnophlebia longistigma Selys, 1883(写真4)
ネアカヨシヤンマ Aeschnophlebia anisoptera Selys, 1883
カトリヤンマ Gynacantha japonica Bartenef, 1909(写真5)
リュウキュウカトリヤンマ Gynacantha ryukyuensis Asahina, 1962
トビイロヤンマ Anaciaeschna jaspidea (Burmeister, 1839)(同属種:写真6)
マルタンヤンマ Anaciaeschna martini (Selys, 1897)
ヒメギンヤンマ Anax ephippiger (Burmeister, 1839)
アメリカギンヤンマ Anax junius (Drury, 1770)
ギンヤンマ Anax parthenope (Selys, 1839)(写真7)
クロスジギンヤンマ Anax nigrofasciatus Oguma, 1915
オオギンヤンマ Anax guttatus (Burmeister, 1839)
リュウキュウギンヤンマ Anax panybeus Hagen, 1867
ヤブヤンマ Polycanthagyna melanictera (Selys, 1883)(写真8)
マダラヤンマ Aeshna mixta Latreille, 1805
オオルリボシヤンマ Aeshna crenata Hagen, 1856(写真9)
ルリボシヤンマ Aeshna juncea (Linnaeus, 1758)
イイジマルリボシヤンマ Aeshna subarctica Walker, 1908

※(ヤンマ科リストは、尾園ほか[2012]をベースに、ギンヤンマ属の位置を末尾からトビイロヤンマ属とヤブヤンマ属の間に移動)



Refereces (引用文献:ヤンマ科の系統樹関連)前回記事より再掲)

Bechly, G. (1996) Morphologische Untersuchungen am Flügelgeäder der rezenten Libellen und deren Stammgruppenvertreter (Insecta; Pterygota; Odonata) unter besonderer Berücksichtigung der Phylogenetischen Systematik und des Grundplanes der *Odonata. - Petalura, spec. vol. 2: 402 pp, 3 tabls, 111 figs (revised edition with 60 pages English appendix on the phylogenetic system of odonates). (Bechly 2007から間接引用)

Bechly, G. (2007) Phylogenetic Systematics of Euanisoptera / Aeshnoptera.

Carle, F. L. , K. M. Kjer & M. May. (2015) A molecular phylogeny and classification of
Anisoptera (Odonata). Arthropod Systematics & Phylogeny. 73(2): 281-301.
2018.8.25.アクセス

尾園暁・川島逸郎・二橋亮(2012) 『日本のトンボ』 文一総合出版。

von Ellenrieder, N.(2002) A phylogenetic analysis of the extant Aeshnidae(Odonata: Anisoptera). Systematic Entomology (2002) 27, 437-467.
2018.8.25.アクセス



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