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2014-10-29 (Wed)
トンボは春から夏に幼虫から成虫へと羽化し、1週間程度の成熟期間を置いて、交尾や産卵といった繁殖活動を行い、羽化してから長くとも1、2カ月でその生涯を終えます。

もちろん、トンボにも6000種ほどいますから、中には例外もあります。

今回ご紹介する「オツネントンボ*」は、その名のとおり、年を越す、つまり北半球温帯以北**の冬を「成虫」のステージで越します。
同様の2種を除き、残りのすべての日本産トンボは卵または幼虫のステージで冬を越します。

オツネントンボ ♀
 ↑クリックで拡大します。

上の写真は、今月25日の午前10時過ぎに、長野県の安曇野の小さな池の周りの植え込みで撮影したものです。
これから長野県の厳しい冬を迎え、来年の5月、6月には再び池に現れて繁殖活動を行うはずの個体です。
越冬前の熊と同様、たっぷり腹ごしらえをして長い冬に備えなければなりません。

これまでの私のブログでは、すべて♂は派手な色彩でおしゃれする一方で、♀はより目立たない色彩に甘んじていることをお話してきました。
オツネントンボの場合、色彩における性的二型についても例外となり、♂も♀もほぼ同じ色調、模様をとり、それも枯れ木、枯れ草にそっくりな、冬枯れの迷彩色をしています。

それというのも、成虫として活動する時期も、樹皮の裏や枯草の下などで隠れる時期も、野山は枯れ、葉の色も緑から茶褐色へと変貌し、落葉していきますから、夏から秋に飛ぶトンボの青や赤や緑の体色では目立ってしまい、鳥の格好の餌食になってしまうからです。

上の写真では、緑の葉にとまっていますので、若干目立っていますが、今回、同じ日に同じ場所で撮った写真では、枯草や、木の枝にとまっていて、色彩的には目立たない場合の方が多くありました。
ただ、時々飛び立ったり、腹をウネウネ動かしたりと、動作はやや目立つように感じました。

ぐんと気温が下がって餌となる小虫も飛ばなくなるころ、オツネントンボたちは樹皮の裏側や落ち葉の下側などに身を隠し、じっと春を待ちます。

冬の最中にたまに訪れる暖かい日にトンボが家の中に飛び込むのが見つかったなどとローカルニュースに取り上げられることがありますが、たいていの場合はこのオツネントンボです。

突然の温暖な気候を春先と勘違いして、隠れ家から飛び出した、あわてん坊さん!

冬に見られるイトトンボ(均翅亜目)ですので、ヨーロッパではwinter damsel(冬の貴婦人)という英名が用いられています。

さて、本格的な春になると長い眠りから覚め、再び、餌取りを開始します。
そして、婚活グラウンドである池に現れるときには、♂の胸部背面、すなわち翅の付け根の間は、ライトブルーに輝きます。

プロポーズする者としてのオシャレを決して忘れないと言わんかのようです。

注:
*オツネントンボの学名はSympecma paedisca。属名の意味は、ギリシャ語の σνμ(合わせる)と πικνοσ (密接に)で、4枚の翅を背上でピタリと合わせる、この属のトンボの特徴を表しているようです。本属は、アオイトトンボ科に属しますが、アオイトトンボ科の多数を占めるアオイトトンボ属(Lestes)は翅を半開きにしてとまります(アオイトトンボ♂の記事を参照)。種小名は、ギリシャ語のπαῖς(子供)にΙσκος(形容詞化の語尾)の女性形のついたもので、浜田・井上両氏の『日本産トンボ大図鑑』によれば、属のタイプ種であるSympecma fuscaよりも一回り小さいことに由来するそうとです。

**オツネントンボは、ヨーロッパ、ロシア、中国、朝鮮半島、そして日本(四国・九州の北部、本州、北海道)に分布しています。


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