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2019-01-17 (Thu)
関東平野の正月。北東の乾いた季節風が、首都圏上空を覆っていた様ざまな大気汚染物質を太平洋上に吹き飛ばし、見通しのよい場所に立つ人の網膜には、はるか彼方に延々と連なる、関東の山並が像を結びます。

前回記事では、昨年年1月7日(快晴の日)の午前11時過ぎに、さいたま市西端の荒川にかかる羽根倉橋から眺望・撮影することができた山々を、15枚のパノラマ写真として並べ、山名つきでご紹介しました。

今回記事から数回にわたって、その時に撮影した山々の一つ一つ(その中には日本百名山に列せられる高峰(たとえば写真1の白根山)から、こんな山もあったんだと思わせるような地味な山までが含まれます)を、望遠クロ―ズアップ写真で紹介してゆきます。

日光白根山~錫ケ岳 
写真1 日光白根山、錫ケ岳 (写真はクリックすると拡大します)

今回は、真北~北北西方向に見える、栃木県と群馬県の県境付近の山々の紹介です。

紹介にあたっては、単に写真を載せるだけでなく、私個人とその山とのかかわりについても触れたほか、山の標高、所属山系、成因、火山であれば活動歴などもネット情報を参考にしながら書き添える方針としました(特記のない場合は大部分ウィキペディアに依拠)。


目 次:
◆雄々しくそびえる男体山
◆東の大関、日光白根山
◆Skyに聳える皇海山(寒い!)
◆武尊山は剣ケ峰から奥は雲隠れ
◆山座同定のテクニック
◆次回予定:
◆引用文献:
◆ハッシュタグ:


雄々しくそびえる男体山

写真2は、羽根倉橋から、ほぼ真北方向にある女峰山~男体山のあたりを、焦点距離123mm(以降の写真もほぼ同様の焦点距離)の望遠レンズで撮ったものですが、パソコンで画像調整する前のものであるため、山の姿が大気中の浮遊物の影響でぼんやり霞んで見えます。

女峰山~男体山(画像調整前) 
写真2 女峰山~男体山(画像調整前)

そこで同じ写真を、前回記事同様、PhotoScapeというフリーソフトでコントラストを強調する一方で輝度を下げる調整をしたものが写真3です。

男体山~女峰山 
写真3 女峰山~男体山

ちょっと強引な処理ですし、仕上がりもザラザラしたものになりましたが、稜線を境に山の色と空の色がはっきりと区別でき、雪渓や山襞も識別できるようになります(以下の写真はすべて同様の画像調整後)。

写真3では、日光連山のうちの、以下の山々が識別できます。

左(西寄り)から右(東寄り)への順に、
1)男体山:2486mの火山;日本百名山の一つ。3万年前から7千年前までの間噴火を繰り返した成層火山(石崎ほか 2014)。
2)大真名子山:2376m;溶岩ドーム; 約90万年前以降.最新の噴火(三岳溶岩ドーム)は1万5000年前より新しい(西来ほか 2014)
3)小真名子山:2323m;第四紀の溶岩円頂丘
4)帝釈山:2455m(福島県境にある同名の山とは別)
5)女峰山:2483m;成層火山,溶岩ドーム;約50万年前~40万年前(西来ほか 2014)。日本二百名山の一つ。
6)赤薙山:標高2010m;火山。

写真3に写っている一連の山々は、火山学界では「男体・女峰火山群」と呼ばれています。

西来ほか(2014)によれば、男体-女峰火山群は約2万5000年前~7500年前に火山活動した成層火山とされます。

地質調査総合センター(2016)のデータベースでは、男体-女峰火山群は複成火山や溶岩ドームから成り、約90万年前以降火山活動があったと推定され、最新の噴火は 7,000年前(男体山)とされています。

この最新の研究成果を受けて、男体山は2017年6月に火山噴火予知連絡会によって、活火山と認定されています(吉川 2019b アクセス)。

男体山は、私個人(群馬県生まれ)にとっては、日光を訪れるときに正面から迎えてくれる山で、それ以上の思い入れはありませんが、栃木県民にとってはシンボル的な山の一つなのではないでしょうか。


東の大関、日光白根山

男体山より左(西寄り)にレンズを向けると、白根山(以下、日光白根山)と錫ケ岳が雪で輝いています(写真1)。

日光白根山~錫ケ岳 
写真1(再掲) 日光白根山、錫ケ岳

日光白根山(奥白根山)は、日光連山に属し、標高2578mと、東日本(関東・東北・北海道)最高峰の山で、日本百名山の一つとされています。

日光白根山は、西来ほか(2014)によれば、約2万年前以降から火山活動をしている活火山(溶岩流および小型楯状火山、溶岩ドーム)で、地質調査総合センター(2016)によれば、最新噴火は1890年です。

錫ケ岳(2338 m)は、西来ほか(2014)によれば、270~210万年前に活動した成層火山とされていますが、地質調査総合センター(2016)では、錫が岳は複成火山となっています。

群馬県の県境付近には東西に一つずつの白根山があり、互いに区別するために日光白根山草津白根山という別称があります。

どちらの白根山も山頂部や雪渓が雪で輝く2000m超級の活火山であり、それを眺める人々に畏敬の念をもたらす存在であり、私に言わせれば北関東の山の中で東西の大関と呼ばれても恥じないだけの威容を持ち合わせています(草津白根山については次回記事で取り上げます)。

私は、日光白根山の西の麓にあたる、群馬県片品村の教員住宅で生まれ、小学校1年までそこで過ごしましたので、当時、近くにある千明牧場(メイズイなどの競走馬を生産)を家族で訪問する機会も数度あり、その時に日光白根山の優美な姿を眺めた記憶が今でも残っています。


Skyに聳える皇海山(寒い!)

更に左(西寄り)にレンズを向けると、皇海山袈裟丸山が並んで空に聳えています(写真4)(親父ギャグは繰り返しません〔笑〕)。

皇海山、袈裟丸山 
写真4 皇海山、袈裟丸山

皇海山(2144m)は、足尾山地に属し、西来ほか(2014)によれば約160万~90万年前に活動した成層火山です。地質調査総合センター(2016)では複成火山としています。日本百名山の一つです。

袈裟丸山1961m)は日本三百名山。100万年前前後に活動した成層火山で、皇海火山と活動期が重複しています(西来ほか 2014)。

吉川(2019a アクセス)によれば、皇海山・袈裟丸山周辺の火山岩は、かつての火山が浸食されて山体の形を失い、一部分だけが残っているのことです。

皇海山は、私が学童期(小学2年から高校3年まで)を過ごした群馬県沼田市でも、見晴らしのよい場所からなら眺めることができ、その形から「とっちゃん帽子山」と愛称で呼んでいた記憶が私の頭の中に残っています(当時の成人男性の盛装用に着用した中折れ帽に似ていませんか?)。


武尊山は剣ケ峰から奥は雲隠れ

皇海山・袈裟丸山から更に左(西寄り)に望遠レンズを向けると、武尊山が白い輝きを見せています(写真5)。

武尊山 (前武尊) 
写真5 武尊山(前武尊のみ見えている)

武尊山は、前回記事のパノラマ写真では雲と手前の木立に遮られて見えていませんでしたが、同じ日、橋上の撮影位置をあちこち替えて撮影を繰り返した中で、なんとか写っていました(写真5)。

残念ながら武尊山の全形は雪雲に覆われて見えていませんが、向かって右手前に尾根をこちらに張り出している前武尊をなんとかとらえることができています。

前武尊の一つ奥のピークである剣ケ峰は、襲い掛かる雪雲の縁で見え隠れしています。

2017年1~2月に羽根倉橋から約3km上流側(運動公園北東隅付近)の左岸の土手の上で同様の撮影をした際(過去記事参照)には、武尊山がくっきりと全容をあらわしていました(こちらの写真参照)。

武尊山(2158m)は、越後山脈に属する日本百名山の一つです。西来ほか(2014)によれば、120万~100万年前に活動した成層火山(地質調査総合センター〔2016〕では複成火山)とされます。

私が小学生の頃遊び回った沼田公園(群馬県沼田市)からは武尊山がよく見え(こちらの過去記事および写真を参照)、前武尊・剣が峰などの稜線の凹凸は、当時の私に仰向けの人の顔を連想させました。

当時、私の家に下宿していた(というより、していただいていた)男子高校生が武尊山登山を敢行し、日本武尊(やまと たける)の剣をかたどったシンボルとのツーショット写真を見せてくれたことがあり、いずれ自分も登ってみたいという気持ちにさせられたものです。

その武尊登山は、私が大学入学から定年退職まで北海道で過ごしたため、実現しないままになっています。


山座同定のテクニック:
このシリーズ記事で採用している山座同定のテクニックについては、前回記事に詳しく紹介してありますのでご参照ください。


次回予定:
次回記事では、赤城山、榛名山という群馬の二大シンボル火山、そして草津白根山とそれらの間に見え隠れする上越国境の山々などを取り上げる予定です。


引用文献:

地質調査総合センター(2016):日 本 の 火 山. 
https://gbank.gsj.jp/volcano/index.htm
https://gbank.gsj.jp/volcano/Quat_Vol/volcano_list.html#E

石崎泰男・森田考美・岡村裕子・小池一馬・宮本亜里沙・及川輝樹 (2014):男体火山の最近 17,000 年間の噴火史. 火. 山, 59, 3, 185-206.
https://gbank.gsj.jp/volcano/Quat_Vol/volcano_data/E03.html

西来邦章,伊藤順一,上野龍之,内藤一樹,塚本 斉(@産業技術総合研究所 深部地質環境研究コア)(2014):第四紀噴火・貫入活動データベース:データ一覧.
https://gbank.gsj.jp/quatigneous/index_qvir_datalist.php

吉川敏之(2019a アクセス):栃木県の地球科学:第四紀の火山岩類.
https://finding-geo.info/Tochigi/Quat_volcano.html

吉川敏之(2019b  アクセス):栃木県の地球科学:男体火山の地質.
https://finding-geo.info/Tochigi/Nantai_Volcano.html

ウィキペディア:(各山についての一般的な知識について参照した)。
https://ja.wikipedia.org


ハッシュタグ:
#羽根倉橋から見える山 #さいたま市から見える山 #荒川から見える山 #埼玉県から見える山 #関東の山々 #関東の山並 #栃木県の山 #日本百名山


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