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2019-04-19 (Fri)
ソメイヨシノが葉桜となり、春の進行が感じられる中、虫たちの姿を求めてさいたま市内の園地を訪れて見ました(4月16日午前10~11時;気温17から18℃)。

というのも、昨年4月上旬にその園地の池でアジアイトトンボを確認できたことがあり(こちらの過去記事参照)、今回もうまくいけば見られるかもと淡い期待が膨らんだからです。


ガガンボの1種がお出迎え

残念ながら、その池(真夏にはガマ属の植物が生い茂る浅い池)にトンボの姿はなく、代わりに私の眼を惹いたのはガガンボの1種でした(写真1)。

クロキリウジガガンボ 
写真1 キリウジガガンボ Tipula aino (写真はクリックで拡大します)

ガガンボとまでは分かるのですが、その先(種名)がまるっきりわかりません。

例によってガガンボあるいはガガンボ属の学名Tipulaを検索語にネット検索してみましたが、よく似た種の画像はなかなか見つかりません。

そこで、昆虫写真愛好家のフェイスブック・グループに、写真1、2を含む3点の昆虫写真を投稿して、コメントを待ちました。

その結果、ガガンボの撮影経験をお持ちのYさんから、写真1の個体はキリウジガガンボではないか、類似種にマドガガンボ、近縁種にクロキリウジガガンボもあるが、とのコメントを頂くことができました。

これを受け、ネットでその3種の画像を検索して確認することを試みましたが、ヒットした画像が必ずしも正しく同定されているとは限りませんので、確信が持てません。

そこで、『原色昆虫大図鑑III』が本棚にあったことを思い出し、ひもといてみると、上記3種を含む80種のガガンボ類が横向き標本写真と形態上の特徴についてそれぞれ数行の記述によって解説されていました。

80種の中では、確かにキリウジガガンボの形態的特徴(翅の前縁が褐色、触角の基部3節が黄褐色でそれより先は暗色、など)が、写真1と近いことが分かりました

ここまで自分で調べたところで、専門家(箕面公園昆虫館の中峰 空 館長)からの「触角の基部3節が黄褐色で第4節以降が暗色なのはキリウジガガンボの特徴」および「中胸背面の黒褐色の縦条なども考慮するとキリウジガガンボでいい」との判定結果が、Yさんから私にメッセージで転送されてきました。

こうして、キリウジガガンボ Tipula aino Alexander, 1914 であると確信するに至りました。

種名判定にご協力くださった中峰さんとYさんに心より感謝いたします。


ガガンボのボディーウォッチング

さて、このキリウジガガンボ体形が醸し出す存在感も、なかなかのものです。

胸部が球体状、腹部は先太りの棍棒状、頭部はトンボを見慣れた眼にはこじんまりとしたサイズ。
思わず見とれてしまいます。

球体の胸部のほぼ真横から左右にオールのように突き出した2枚の翅。

その翅の基部には縦脈が束のようにしっかり集まって強度を確かなものにし、前後上下左右へと自由に体を移動させる羽ばたき動作を支えています。

そして、なんといっても、トンボと比べるべくもない異様な長さの脚。

この脚の長さは何に対する適応なのでしょうか?

今考え付くのは、広い葉の裏にぶら下がってとまるのに適しているだろうということ、そして、真っ暗で視覚が効かないときにとまり場所を探索する際の接触感覚をもたらすだろうということくらいです。

ガガンボの暮らしぶりに密着して観察を続ければ、本当の答が見つかるものと思います。

私は今後もトンボを追い続けることにしていますが、機会があったらガガンボの生きざまを横目でチラリチラリと覗き見ることになるでしょう。

この後、蝶3種とミツバチを観察・撮影しましたが、それらについては次回記事で取り上げることにし、この日最後に見たもう1種のハエ目昆虫を紹介します。


アシブトハナアブ

別の池の岸の上の枯れた細枝にハナアブらしき昆虫がとまっていました(写真2)(10時55分)。

アシブトハナアブ 
写真2 アシブトハナアブ Helophilus virgatus

この昆虫は胸部背面が黒く、縦に2本の黄条があること、腹部背面に特徴的な黒色と淡褐色の2色の図形パターンが見られることから、ネット検索により、比較的容易にアシブトハナアブ Helophilus virgatus Coquillett,1898 と同定できました(手持ちの『原色昆虫大図鑑III』の記述とも一致)。

ハナアブ類が主に腹部の斑紋や外形をハチ類(捕食者である鳥獣類に対して攻撃性を示す)に酷似させること(擬態)で、捕食を免れていることはよく知られている事実です。

写真2のような腹部斑紋パターンのハチは果たしているでしょうか?

『原色昆虫大図鑑III』をパラパラとめくったところ、掲載されたハチ類の中では、カバオビドロバチ Euodynerus dantici (Rossi, 1790) に一番似ているようです。

「ヒゲおやじ」さんのブログ「ヒゲおやじの蜂類生態図鑑」中の、カバオビドロバチの記事(外部リンク)に生態写真が掲載されていますので比べてみてください。

実際にカバオビドロバチをモデルにアシブトハナアブの色彩パターンが進化したかといえば、それは多分違うだろうとは思いますが、「もしかして」という気分に一瞬浸らせてくれる存在ではあります。


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引用文献:
安松京三, 朝比奈正二郎, 石原保 監修(1965)『原色昆虫大図鑑第3巻』北隆館。

ハッシュタグ:
#ハエ目 #ガガンボ科 #ハナアブ科 #昆虫写真 #春の昆虫

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