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2014-11-03 (Mon)
海外文献を調べていたら、オツネントンボの越冬時の生存率の論文*に出会いました。

私のブログの記事とのつながりがよいので、簡単にご紹介しておきます。

オツネントンボ ♀
 ↑この写真(オツネントンボ)は私の以前の記事からの使いまわしです。

オランダの4ヘクタールのヒースで、冬(12月から3月)に翅にマークをつけた個体を、やはり印をつけた越冬場所で毎月2~8回のペースで観察し、記録して得られたデータをMARK v.3.2という統計ソフトで分析し、生存率と再発見確率を求めたものです。

その結果、月あたりの生存率は0.69~0.80と、これまでのどの種のトンボよりも高いことがわかりました。私のブログでは「厳しい冬を過ごす」と表現しましたが、オツネントンボにとって、冬はむしろ生き延び易いという意外な(しかし、考えてみれば当然の)結果です。

ただし、冬全体を通すと0.42となり、それほど高いとはいえなくなります。

ちなみに私が北海道札幌市で調べたカラカネトンボでは、38~50%が羽化した池に戻ってきています**ので、すくなくともそれだけの個体が約9日間***の成熟期(前生殖期)を生き延びています(9日間の生存率0.38~0.50)。

カラカネトンボは、この間、摂食のために林野を飛び回りますので、その間に鳥などに捕食されたり、クモの巣にかかったりする危険は、オツネントンボがじっとして過ごす冬よりもはるかに高いといえます。

Manger、Dingermanse両氏のこの論文によれば、オツネントンボの冬の死亡要因は冬の寒さよりも齧歯類の捕食のほか、犬やヒトによる越冬場所のかく乱とその結果としての齧歯類による捕食が考えられるとしています。

さて、それなら、他のトンボ達も成虫で越冬したらよさそうですが?

実際、成虫越冬するのは日本では、ほかにホソミオツネントンボ(アオイトトンボ科ですが別属)とホソミイトトンボ(イトトンボ科)だけですので、そう簡単なことではなさそうです。

そのへんの秘密については、また次の機会に探ってみることにします。

注:
*R. Manger & N.J. Dingemanse (2009): Adult survival of Sympecma paedisca (Brauer) during hibernation (Zygoptera: Lestidae).. Odonatologica, 38: 55-59.

** Hidenori Ubukata (1981): Survivorship curve and annual fluctuation in the size of emerging population of Cordulia aenea amurensis Selys (Odonata: Corduliidae). Jap. J. Ecol. 31, 335-346.

***Hidenori Ubukata (1973): Life history and behavior of a Corduliid dragonfly, Cordulia aenea amurensis Selys. I. Emergence and pre-reproductive periods. JOURNAL OF THE FACULTY OF SCIENCE HOKKAIDO UNIVERSITY Series VI. ZOOLOGY 19(1), 251-269.


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