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2019-12-03 (Tue)
11月30日、東京の国立科学博物館上野本館で開催された「第35回国際生物学賞記念シンポジウム」(写真1)に参加し、受賞者のナオミ・エレン・ピアスNaomi E. Pierce博士写真2)の講演 "Insect relationships" をはじめ、ピアス博士とゆかりのある、アメリカ、ドイツ、シンガポールからの7人、日本からの3人による世界トップクラスの研究についての講演を拝聴してきました。

以下、講演順に、各講演のエッセンスと私が受けた印象をご紹介します(当日配布されたシンポジウム予稿集を参考にしています)。

目 次:
 ◆アリ社会における分化、コミュニケーション、出現
 ◆社会的癌と社会的免疫

国際生物学賞記念シンポジウム、プログラムと資料
写真1 国際生物学賞記念シンポジウム、プログラムと資料 (写真はクリックすると拡大します)

国際生物学賞受賞のNaomi Pierce教授
写真2 国際生物学賞受賞のNaomi Pierce博士(レセプション会場にて)


アリ社会における分化、コミュニケーション、出現

最初の講演は、Daniel J. C. Kronauer 博士による "Differentiation, communication, and emergence in ant societies"(アリ社会における分化、コミュニケーション、出現)で、クビレハリアリ Ooceraea biroi を社会性昆虫のモデルシステムとして観察・実験を行った結果の報告でした。

◆ひとつは、幅広い臭い分子受容体(複数)が個体間の化学コミュニケーションを担っており、この受容体の向上進化がアリの社会性の進化に貢献していること。

◆また、インシュリンによる情報伝達におけるイノベーションが、真社会性行動と生殖における分業の萌芽段階において中心的役割をはたしたこと。

◆そして、行動における分業はよく似た個体からなる小集団においても自己組織化し、社会的グループのパフォーマンスは集団サイズの増加につれて劇的に増加し、集団生活の適応的有利性の証左となる。
というものでした。

臭い分子受容体の遺伝子をノックアウトしたり、アリの臭いをたどりながら歩き回るルートを自動描画したりと、新しい実験方法を縦横に駆使しているなというのが私の印象でした。


社会的癌と社会的免疫

次の講演は辻和希博士による”Social cancers and socio-immunity”(社会的癌と社会的免疫)で、

◆単為生殖をすアミメアリ Pristomyrmex punctatus のコロニー内での協力者と遺伝的詐欺師(=フリーライダー)の挙動を追跡したところ、後者(社会的癌に相当)は前者が集団として保持する社会的免疫(前者を峻別し取り締まること)をかいくぐり、生存・繁殖の両面で前者との競争で勝利したこと。

ただし、後者ばかりからなる集団は子孫を残すことができない(公共財のジレンマに該当)こと。

などの内容でした。

辻さんと私とは、伊藤嘉昭博士を偲ぶ会でお会いして以来の再会で、コーヒーブレークや全講演終了後のレセプションの場で、私の恩師、坂上昭一博士の昆虫社会学(評伝出版企画あり)などにも触れながら、じっくり歓談することができました。

次回記事に続く

ハッシュタグ:
#国際生物学賞記念シンポジウム #Naomi Pierce #昆虫社会学 #動物社会学 #アリの行動 #アリの社会 #アリの進化 #昆虫のブログ #昆虫の行動 #昆虫の生態 #坂上昭一


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【追記】
講演タイトルに和訳を添え、小見出し、目次を挿入(2019年12月7日)。

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