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2014-11-22 (Sat)
11月15日~16日に開催された、2014年度日本トンボ学会大会の口頭発表の中で最もショッキングな内容であったのは、苅部治紀氏らによるアメリカザリガニの個体群爆発によるベッコウトンボ個体群の絶滅についての発表でした*。

ベッコウトンボLibellula angelina)[写真、外部リンク]は、環境省レッドリストで絶滅危惧ⅠA類(CR)に指定され、種の保存法に基づく国内希少野生動植物種でもある、存続基盤がぜい弱な種です。 

かつては宮城以南(日本海側を除く**)、鹿児島までの平野部に分布していたのが、現在では十指にも満たない数の生息地に細々と生き残っている状態にまで追いつめられています。

これが、2009年に浜松市南区の工場跡の湿地にまとまった数で見つかり、同時に侵略的外来種であるアメリカザリガニも生息していたことから、発表者のグループはベッコウトンボのモニタリングとアメリカザリガニの駆除に取り組みました。

ところが、2013年にアメリカザリガニが大発生し、同グループのメンバーが緊急捕獲作戦を実行し2万匹の駆除を行ったにもかかわらず水生生物の回復に至らず、2014年シーズには1匹のベッコウトンボも見ることができなかったそうです。

2013年夏は雨不足による渇水の影響もあったそうですが、アメリカザリガニは水生植物を食い荒らし、底の泥をかきまわして多くの水生生物にとっての池の環境を大幅に劣化させる存在であることを改めて浮き彫りにさせる報告でした。

アメリカザリガニは子供にも扱いやすい身近な生き物として理科や生活科で扱われてきましたが、このように外来種として侵入した場所では生態系を大きく劣化させ、生物多様性を崩壊させるギャングとなることを、今後の理科教育の中に浸透させていく必要があるでしょう。

注:
*苅部治紀・油井雅樹・福井順治・吉田正澄・神奈川トンボ調査・保全ネットワーク(2014):静岡県浜松市におけるアメリカザリガニの個体群爆発をおもとするベッコウトンボの絶滅。2014年度日本トンボ学会大会講演要旨集。

**新潟県には過去の記録があります。


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