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2022-09-27 (Tue)
今日(9月27日)の正午過ぎにさいたま市内の河川敷にある園地を訪れ、彼岸明けを物語るように萎れが始まったヒガンバナLycoris radiata (L'Hér.) Herb. の群生が目にはいりました。

その中でまだ元気に咲いている花の群れで、2頭の揚羽蝶が、艶やかさを競うかのように対比的なファッションに身を包んで、せっせと場所替えをしながら吸蜜をしていました(写真1)。

ナミアゲハ Papilio xuthus Linnaeus, 1767 ♀ジャコウアゲハ Byasa alcinous (Klug, 1836) ♀です。

ナミアゲハとジャコウアゲハ
写真1 ヒガンバナLycoris radiata で吸蜜するナミアゲハ Papilio xuthus   ♀(上)と ジャコウアゲハ Byasa alcinous  ♀(下)(画像はクリックで拡大します)

沢山花がある中の2個体ということもあるのでしょう、互いに追い払ったりしないよう、キープ・ディスタンスで長い口吻を花の奥に伸ばしながら吸蜜していました写真1

写真2では、写真1で右下で吸蜜していたジャコウアゲハが飛び立って、上のほうの花で蜜を吸おうかなと舞い上がったところ(A)、そこにいたナミアゲハが「ちょっと、ちょっと(来ないでよ)」と言わんばかりに身構え(B)、先客の存在に気づいたジャコウアゲハが遠慮して隣のヒガンバナの小群に向かった(C)ストーリーを切り出しました。

ナミアゲハとジャコウアゲハ
写真2 ナミアゲハ Papilio xuthus  ♀(静止)と ジャコウアゲハ Byasa alcinous  ♀(飛行)。(同一個体)
撮影時刻: A12:31:34B. 12:31:36‏‎C12:31:36.

以下は、その後のナミアゲハ、ジャコウアゲハの(邪魔されない)吸蜜の様子です(すべて時系列順)。

写真3では、ナミアゲハをキアゲハと区別するのに最もわかりやすい特徴である、前翅の基部に前縁とほぼ平行、そして放射状の細い黄色と黒の縞がよく見えています(キアゲハではその部分が一面の黒色~暗灰色)。

ナミアゲハ♀
写真3 ナミアゲハ Papilio xuthus (同一個体)

写真3でこの個体は、口吻をどこにどう差し込もうかと試行錯誤中のようにみえます。

ナミアゲハとジャコウアゲハ
写真4 ナミアゲハ Papilio xuthus  (同一個体)

写真5おやおや、そこまで鼻面を花の中に突っ込みますか(笑)?

ナミアゲハ♀
写真5 ナミアゲハ Papilio xuthus  (同一個体)

写真6。ジャコウアゲハのほうはヒガンバナの花の群れの下の方の花が好きなんでしょうか?

ナミアゲハがまだ利用しているこのヒガンバナの小群に舞い戻ってきてからも、また下の方にとまって吸蜜を試みます(写真7)。

ジャコウアゲハ♀
写真6 ジャコウアゲハ Byasa alcinous  ♀(同一個体)

ジャコウアゲハ♀
写真7 ジャコウアゲハ Byasa alcinous  (同一個体)

以上、わずか2分30秒間の出来事でした。


ジャコウアゲハのトリビア

ジャコウアゲハの食草はウマノスズクサで、この植物が毒性のあるアリストロキア酸を含んでいるため、この毒物を体内に取り込んで育ったジャコウアゲハは捕食者が敬遠するといわれています(Wikipedia)。

ジャコウアゲハの腹部は赤地に黒い斑点が飛び石状に配列され、まるで毒キノコのような目立ち方です。

捕食者がその毒性・不味に発する忌まわしい体験と捕獲する直前の資格情報を結びつけることで、二度と同じ苦しみを味わわないと学習させる「警告色」の役割をこの毒々しいい色彩パターンが果たしているということです。

さらに、このジャコウアゲハに擬態(ベイツ型擬態)して捕食を免れようとしてきた蝶としが、クロアゲハ Papilio protenorオナガアゲハ Papilio macilentusアゲハモドキ Epicopeia hainesiiがあるとされます(Wikipedia)。

擬態する側は必ずしも体に毒を蓄える必要がないので、いわばタダ乗り的に警告色(この場合は黒っぽい翅の色)を身につけているわけです(ハナアブや一部の蛾が腹部を黒・黄色の横縞にしてハチに擬態しているのも同様)。


ヒガンバナの戦略(?)

アゲハの話ばかりで、ヒガンバナが僻(ひが)んでいる、ですって(笑)?

ちゃんとヒガンバナの話もしましょう。

写真4(再掲)をご覧ください。

ナミアゲハとジャコウアゲハ
写真4(再掲 ナミアゲハ Papilio xuthus  (同一個体)とヒガンバナ

ヒガンバナの雄蕊、すごくないですか?

長いし、上向きに反っているし、簡単には折れそうもないですし。

そしてその先端の葯にはもちろん花粉が虫の体に触れるのを待ち受けています。

あとは何も言わなくとも分かりますね?!

蜜をもらう生き物。花粉を運んでもらう生き物。お互いにウィン・ウィンの関係。

前者はその栄養を自分の活動エネルギーと子孫とな卵や精子に投資。後者は運んでもらった花粉のごく一部がどこかの同種の花の雌蕊の柱頭にたどりついて実をむすぶ。

ヒガンバナの雄蕊のかたちも、このウィンの確率を少しでも高くする形を進化(自然選択)によって獲得した。

最後は、どこか、博士ちゃん的な口調になっていました(笑)。


関連記事へのリンク:

ジャコウアゲハ関連の過去記事はこちらです。
ナミアゲハ関連の過去記事はこちらです。
キアゲハ関連の過去記事はこちらです。
アゲハ関連の過去記事はこちらです。
関連の過去記事はこちらです。
擬態関連の過去記事はこちらです。


引用文献:

Wikipedia (2022.9.27. retrieved) ジャコウアゲハ。
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャコウアゲハ



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